藤原紀香 撮影/吉岡竜紀

 ♪坊や〜よい子だねんねしな。'75年から'94年まで放送された『まんが日本昔ばなし』。約1400作品の中から厳選された物語が今夏、舞台化される。

身体を酷使するのは“エゴ”だと気づいた

「オファーのお話をいただいたときは、心ときめく思いでした。私も子どものころからテレビで家族と見ていました。

 楽しくて、ちょっぴり怖くて、日本人としての思いやりや優しさ、自分本位ではダメなこと、自然への畏怖の念、動物たちへの思い……気づけばいろいろなことを教えてくれていた物語だったと思います。舞台ならではの躍動感と温もりを通して、先人たちの教えや日本人の心をお届けできたらと思っています」

 と話すのは、藤原紀香。特注の着物で取材に応じてくれた。今回は『十二支の由来』や『三枚のお札』、『雪女』など、4作が上演される。

「時代が変わっても色あせることのないテーマです。令和の子どもたちの中には、この作品を知らない子も多いと思いますので。こうして次の世代へ受け継いでいけることに、大きな意義を感じています。かつ、“劇場ってこんなに楽しいんだ!”と、演劇に対して素敵なイメージを持ってもらえたらいいな♪と思っています」

 6月に55歳を迎えている。心身のメンテナンスについて聞いてみると、

「少し前に体調を崩したことがあって。稽古場や劇場と自宅の往復、帰宅したらすぐメンテナンスをして、とストイックに日々気をつけ続けていても、そうなることもある。改めて健康でいられることのありがたさを、身にしみて感じました」

 自分の身体は神様からの借り物だと思っている、とユニークに例える。

「ガンダムでいえば“モビルスーツ”。酷使したあとは、メンテナンスを。大事に大事に使わないとバチが当たると思います。公私共に忙しいからと、身体を酷使するのはエゴなのだと気づきました。人への感謝とともに、自分の身体にも感謝しながら、大切にしていきたいと思っています」

夫婦生活10年の節目

 健康は自分のためであると同時に、家族のためでもある。今年は片岡愛之助と結婚して10年の節目だ。

「あっという間に感じます。夫の仕事の話を聞くのも好きですし、私の仕事のことも興味を持って聞いてくれます。“今日どうやった?”“仕事楽しかった?”“現場の雰囲気は?”“いい仲間に囲まれてよかった!”みたいな。何げない日常の会話が大切なのですね」

 女優であると同時に梨園の妻もこなしている。

「この10年、“すべて完璧にはできないかもしれないけれど、できることはフルスロットルでやり遂げよう。そして、すべてを学びとして楽しむ”というスタンスでやってきました。事務所とスケジュールを話し合い、夫と相談し、行けるときは劇場での贔屓さん対応、お礼状のこと、着物のこと、日本文化を学ぶ教室、季節の事柄などなど」

 そして、劇場の後ろで芝居を見ることはとても勉強になると話す。

「女形のみなさまの所作なども目に焼きつけたり。久しぶりにご一緒した監督からは“所作、表現力や声色の使い方、着物の着方など、以前と明らかに違いますね”と言っていただいたことがあって。すべてが糧になっているなと感じています」

舞台『まんが日本昔ばなし劇場』8月5日(水)〜9日(日)CBGKシブゲキ!!問 明治座チケットセンター 電話番号:03-3666-6666(10時〜17時)

休むことも大切

 結婚生活において、ふたりでゆっくり旅行をする時間はハネムーン以来ほとんどなかったと振り返る。

「お互い仕事が好きすぎてつい……。でも、夫が大ケガをしたこともあり、“人生何が起こるかわからないから、きちんと時間を定期的に取ろう”とふたりで話しました。アウトプットするからには、インプットしないとですよね」

 今年1月、最愛の父を亡くした。

「新盆もありますし、合わせてお休みを取ろうかと。そして2日でもいいので、緑の多いところでのんびりできたらいいな、と思っています」