「どこか危なっかしくて、はかなげで、触れたら壊れてしまいそうな。真ん中にいる人間ではあるんですけれど、ちょっとふわっとした存在感をどうやって出すか、常に心がけながら演じています」
と話すのは『一次元の挿し木』に主演している山田涼介。
アイドルをどこまで忘れさせられるのか
演じているのは、遺伝子学専攻の大学院生・七瀬悠。担当教授の依頼で200年前の人骨をDNA鑑定すると、行方不明の義妹・紫陽(堀田真由)のDNAと完全一致。
「誰が味方で、敵なのか。見るほどわからなくなっていくドラマだと思います」
紫陽に特別な思いを寄せながら生存を信じる悠、製薬会社社長の義父(佐々木蔵之介)&発生生物学の権威(鈴木保奈美)がひた隠す“ログゼロ”、さらに“ジュモク”、担当教授やジャーナリストの死、狙われる命、戸籍上に紫陽が存在しないという不可解……考察合戦が続いている。
「5話(8月2日放送)では、悠が追ってきた点と点がつながっていきます。“あともう5話残っているのに、どうなるの?”みたいな。あんまり言えないんですよ、すみません(笑)。でも自分自身をかなり追い込んで演じています」
普段は明るい髪色でおでこを出し、その美しい顔を見せることが多い山田だが、本作では目も隠れるほどの長めの黒髪。
「陰が欲しかったんですよね。紫陽がいなくなってからの悠は見た目をさほど気にせず、研究に没頭していて。きっと肌も顔も、ほとんど見せたくなかったはずで。でも(映像的に)そういうわけにはいかないから(笑)、ギリギリの長さを攻めました。妖艶さと、はかなさと、危うさ。そんなこだわりが髪形にも詰まっています」
悠の目に光はなく、いつものまぶしいキラキラ感は封印されている。
「でしょ?(笑) そこは演じるうえで、すごく大切にしている部分です。今までもいろんな役をやらせていただいてきました。『親愛なる僕へ殺意をこめて』('22年)もすごく重い作品で、チャレンジングな役だったと思うんですけど。
僕も33年間生きてきた中で紆余曲折あり、いろんな人を見てきて、いろんな痛みを知って。もうワンステップ、自分の成長に必要な作品が欲しいと思っている中での今作でした。“山田涼介”という、キラキラしたフィルターが1枚外れてくれたらいいなという思いは正直、あります。役者として、そういう年齢なのかなと思っていて」
もちろん、それは見る側の受け取り方次第だ、と前置きをしたうえで、
「“山田涼介ってこんな芝居もできるんだ”“いつもとは全然違うキャラクターだな”と思ってもらえたら、うれしいですね」
本作のクランクインは5月。6月&7月には初の単独ドームツアーも。全力疾走が続いている。疲れを見せないことで有名な山田だが、そのモチベーションはどこから湧いてくるのだろう?
「何ですかね? 仕事が好きなんでしょうね、本当に」
と、穏やかに微笑む。
「お芝居は僕の中で“楽しいな”と思う仕事。お芝居の現場は新たに出会った人と、同じゴールに向かって“よーい、ドン”で走り始める。0から1を生み出し、100に持っていく作業って難しいんですけど、なかなか人生で経験できることではないから。そんな新しい人や仕事との出会いが、今の山田涼介を形作ってきたのかなと思います」
大変さよりやりがいのほうが勝るのかと聞くと、
「大変だからこそ、やりがいを感じているんだと思います。簡単なことは、やりたくないので」
そんな山田が、俳優として目指している像は?
「“誰みたいになりたい”“こういう役がやりたい”っていうのは、あんまりなくて。ただ33歳という年齢になり、“この時期に、こういう見られ方をしたいな”みたいなものは、ざっくりはあります。ただ、言語化は難しいんですけど。アイドルや役者、いろんなお仕事をさせていただいていますが、この“アイドルの部分をどこまで忘れさせられるのか”は、演じるうえで考えていますね」
アイドルと俳優。光と影。強いコントラストが、山田の魅力をさらに際立たせるー。
ハードな日々での体調管理
多忙を極める中、体調管理はどのように?
「気をつけていますよ。食事は大事なので、家でもオーガニックのものを食べたり。間食はするタイプなので、お菓子は食べますけど。(現場の)お弁当もおいしいんですけど、偏ってしまうので、そこを補うものを家で朝からとるようにはしています」
では、自分で料理をすることも?
「作らないです。そんな時間はないです(笑)」
