7月15日から那須でご静養されている天皇、皇后両陛下と長女愛子さま。初日にはご一家でサッカーW杯について語られるなど、心安らかにすごされていたようだが、そんな穏やかな日常に、一報が届けられた。
“白紙に戻せ”の声にも政府が耳を傾ける様子はない
「国会では与党の強引ともいえる推進により、7月17日に皇室典範改正案が可決・成立しました。女性皇族が婚姻後も皇族として残る案や旧宮家の男系男子を養子として迎える案が盛り込まれ、立憲民主党は“改悪”と指摘。宮内庁は栃木県の那須御用邸でご静養中の天皇陛下に改正について報告したそうです」(皇室担当記者、以下同)
`47年に制定されて以来初となる皇室典範の本質的な改正。陛下はどのように受け止められたのだろうか。先月、陛下がお気持ちを表明される場があった。
「欧州訪問前の記者会見で陛下は『国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります』と述べられました。しかし、改正のプロセスはあまりにも早急であり、国民への説明も十分とは思えません」
改正直後に毎日新聞が行った世論調査では女性天皇の支持率は70%を超えている。しかし、今回の改正では“男系男子継承”が再確認される形となった。
「成立翌日の18日は全国紙の社説のほとんどが改正を批判するという異例な出来事が起きました。特に読売新聞は“白紙に戻せ”という強い言葉を用いましたが、政府が耳を傾ける様子はありません」
女性皇族の住民基本台帳への適用は“一般人に近い”と印象付け
さらに、この問題を受けて国連のハク事務総長副報道官の発言も波紋を呼んだ。
「グテレス事務総長の見解として『全ての国に対し、あらゆる地位や職業において女性の権利向上につながる包摂的な政策を奨励する』と言及しました。国際社会からも、皇室における女性の権利向上などに注文がついた格好となっています」
将来に禍根を残す形となった今回の改正について、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉教授はこう指摘する。
「女性皇族が残ったことで将来的な女性・女系天皇への道が完全に閉ざされたわけではないという見解もあり、可能性はゼロではないと考えます。しかし、婚姻後の女性皇族を住民基本台帳に適用するとしたことで、“一般人に近い存在”と印象付け、結果として女性・女系の可能性を排する口実を作ってしまったという捉え方もあります。政府は“ローンを組みやすくするようにするため”という理由付けをしていますが、それは婚姻後の女性皇族が、まるで皇居や御所に住まないことを前提にしているかのように映ります」
そして、繰り返し強調されている“悠仁さままでの皇位継承をゆるがせにしない”というフレーズにも疑問を呈する。
「その言葉を前提条件として議論が進められましたが、“揺るがせにしない”とは一体何を意味するのでしょうか。悠仁さまは皇太子ではなく、現時点で決まっている継承順位に過ぎません。このような言葉が周知の事実のように用いられる背景には“愛子天皇は絶対に認めない”という意図を感じざるを得ません。皇位継承順位2位だった方が3位へと変更された経緯もある中で、“揺るがせにしない”というフレーズには大きな違和感を覚えます」
盛り込まれた女性皇族の待遇と養子案とのどちらも国民に不満を残す形での改正となった。
「改正皇室典範は24日に公布されました。施行自体は3か月後の10月24日と予定されています。あまりにも不誠実な進め方に“その間にやりなおせ”という声もあるほどです」(全国紙社会部記者)
こうした国民の思いは大切にするべきだと、静岡福祉大学の小田部名誉教授は強く説く。
「“白紙に戻せ”という声と姿勢は、その実現性の有無にかかわらず、今後も大事にするべきものと思います。すべてを『白紙』に戻さなくても、女性皇族のお相手とお子さまを皇族とすることへの修正や養子の相手を旧宮家の男子に限定することの違法性の追及などで、部分修正することからはじめる道もあると思います。そして、長子優先の皇位継承の道が正しい道であることを示す改正案をつくり、それを議会で通過させることが大事になります」
“愛子天皇派”と“男系男子派”の対立が激化
しかし、見直しは30年後。そのころには愛子さまは50代になられている。
「改正された皇室典範の内容は、愛子さまが天皇にはなれないと明示されたようなものです。しかし、“愛子さまを天皇に”という声は収まるどころか、むしろ大きくなっているのです」(前出・皇室担当記者)
一方の立場を強行するなら、納得のいく説明が必要だ。そうした誠実さを欠いた進め方に、不満が噴出するのは当然だろう。
「拙速な進め方により、愛子さま支持層と男系男子支持派との分断を深めてしまったのではないでしょうか。愛子天皇の実現を望む国民が納得できるような説明が必要です。例えば、“その点は先送りします”など議論の余地を残していれば希望も持てますが、今回のように“道は絶たれた”と受け取られる強硬的な手法をとれば、双方の対立を激化させるだけです」(河西教授)
では、絶望視される「愛子天皇」の可能性は完全に消えてしまったのだろうか。
「今回の改正案において、女性皇族のお相手とお子さまを皇族とすることへの修正、養子の相手を旧宮家の男子に限定することの違法性の追及などで、部分修正することからはじめていけば、愛子天皇の道は開ける可能性もあると思います」(小田部名誉教授)
那須の豊かな自然の中で、温かな笑顔を見せられる天皇ご一家。笑顔の奥で“国民の理解”を誰よりも願われているのだろう。
ご静養中も宮内庁から皇室典範改正の報告を受けていた天皇陛下
4月29日、“不敬”と物議を呼んだ「昭和100年記念式典」での高市首相
愛子さまや佳子さまも日々公務に邁進されている(宮内庁提供写真)
