夏の夜空を彩る大輪の花火や、太鼓の音とともに踊る盆踊りといった日本の夏に欠かせない「風物詩」が今、大きな転換期を迎えている。
イヤホンで音楽を聴く「無音盆踊り」
近年の報道でも、お祭りや花火大会の中止・縮小が相次いで伝えられている。今年7年ぶりに開催する埼玉県の草加市民納涼大花火大会は、警備費や花火代の高騰で予算が足りず、近年、中止に追い込まれていた。
さらに、お祭りの「音」をめぐる問題も表面化。2023年8月には大阪府四條畷市で行われたお祭りについて、このような苦情が市のホームページに寄せられていた。
《夜中の22時30分を超えても、盆踊りをしていました。盆踊りの音がうるさすぎて、寝れない、子供が寝つかない、などと、騒音が酷いです。来年からは対策願います》
全国の祭りの課題解決に取り組む専門企業「株式会社オマツリジャパン」は、変わりゆく夏祭りの背景について次のように語る。
「一概には言えませんが、人手不足に加え、警備費や設営費といった運営費用の高騰があるといわれています」
また、近隣との摩擦を生む騒音問題についてはこう指摘する。
「お祭りの騒音に関する苦情は、実は昔からあったともいわれており、その背景には、生活環境の変化や、それによるご近所付き合いの希薄化があるのではないかと指摘されています」(株式会社オマツリジャパン、以下同)
最近では花火大会の全席有料化や、個々でイヤホンで音楽を聴きながら踊る「無音盆踊り」(愛知県東海市)なども知られるが、同社はこれらを前向きな変化と捉えているようだ。
お祭りがあるのは当たり前ではない
「まったく何も変えずに続いてきたお祭りは、皆無といっても過言ではありません。ある識者は、どんなに歴史のあるお祭りも、その時々の時代に合わせて変わってきたからこそ、今日まで続けてこられたといいます。
無音盆踊りや全席有料化といった新しい試みも、祭りの本質は変えずに、変わっていくところは時代に合わせて変えていく柔軟性と、勇気の表れだと思います」
では、伝統的なお祭りを今後残していくために、私たちが持つべき視点とは何だろうか。
「まず何より大切なのは、『お祭りは当たり前にあるものではない』という視点だと思います。あるのがついつい当たり前のように感じてしまいますが、実際には、運営してくださる方々の頑張りがあってこそ成り立っています。そのうえで、私たち一人ひとりにできることは決して難しいことではないと考えております。
会場で寄付を募っていれば少しだけ寄付をしてみる、マナーを守る、有料席を購入する、クラウドファンディングで支援する、ボランティアに参加する、SNSで発信してみるなど応援の仕方はさまざまです」
変化を面白がりながら、みんなで笑って過ごせるその時間こそが、いつの時代も変わらない、夏の風物詩なのかもしれない。
