超低金利時代が終わり転換期を迎えている銀行(写真はイメージです)

 長く続いた超低金利時代が終わり、預金金利が少しずつ動き始めた。銀行を取り巻く環境は今、大きな転換期を迎えている。金利や手数料、サービスを比べれば、家計にプラスになることも。暮らしに密着した銀行だからこそ、この機会に自分に合った一行を選びたい。

横並び時代から預金金利に変化の兆し

「銀行なんてどこも同じ」と、何十年も同じ銀行口座を使い続けている人は多いもの。仕事や家事に追われる中、つい「比べるのも面倒だから」とそのままにしてしまう……。

 だが、インフレや金利上昇などにより、銀行を取り巻く状況は確実に変わりつつある。銀行の最新情報に詳しいFPの西山美紀さんは「ここ数年、銀行は、サービスの“横並び”をやめつつあり、金利や手数料などに違いが出てきています。こまめにチェックしていないと、いつの間にかソンをしてしまうことに」と指摘する。

 例えば、メガバンクの普通預金金利は、長年にわたり0・001%と非常に低かったが2年前から徐々に上がり始め、現在は0・3%に。昨今では、より有利な金利や低い手数料を享受できることから、ネット銀行に加え、従来型銀行が提供するネットバンキングにも注目が集まっている。

「これらの中には預金金利が0・5%を掲げるところや、さらにはもっと高いところも登場しています。住信SBIネット銀行やauじぶん銀行などは、メガバンクより金利が有利で、各種手数料も低い傾向にあります」(西山さん、以下同)

 期間限定で実施される高金利キャンペーンも注目。

「今年の夏ボーナス期には定期預金が1年もので1%台になるものもありました。まだ間に合う銀行もあるから、急いで確認してみて」

 他に、新規口座開設をして100万円以上など高額預け入れ向けのキャンペーンを行う銀行も多い。

「ある程度まとまった資金がある人は、置く場所をかえるだけで預金が増えるわけですから、要チェックです」

変動金利の人は返済額がアップ

 金利が上がるのは、預ける人にはうれしいニュースだが、借りる人には不安材料だ。借りるときに金利の比較をするのはもちろん、すでに借りている人でも変動金利型のローンを組んでいる場合、今後返済額がアップする可能性があるので注意。

「まずは借入先に、今後どのくらい利息や返済額が上がりそうかシミュレーションをお願いしましょう」

 なお、ローン金利が上昇しそうだからといって、急いで手元資金をすべてローンの繰り上げ返済に充てるのは禁物だ。

「例えば、定年退職後にまとまった現金が必要になったとしても、現役時代に比べると新たな借り入れが難しくなります。

 またリフォームなど新たにローンを組むことになれば住宅ローンより高い金利が適用されることが一般的なので、焦って返さず、ある程度まとまったお金を手元にキープしておくことをおすすめします。特にまだ教育費がかかりそうなご家庭は、急な出費に対応できるよう多めに確保しておきましょう」

 金利が上がり、返済額が負担になりそうな場合は、まずは家計を見直しつつ、特に固定費を削減することを西山さんは提案する。

「子どもの独立後も高額な死亡保障の保険に入ったままになっていないか、スマホのプランが高いものになっていないか、家計を総点検してください。

気になる銀行選びのポイント

 金利の他にも銀行によって差がつき始めているのが各種手数料だ。例えば振込手数料は、ATMからキャッシュカードで振り込む場合、同じ銀行あてなら無料のところもあり、他銀行あてでは数百円程度の差がつくことも。

「アプリ経由なら条件付きで無料になるケースも。仕送りや家賃振り込みなどをしている人は、一度比較してみてください」

 会社員など、夜や休日にATM利用が多い人は引き出し手数料にも注意。一般的に平日8:45~18:00以外は手数料がかかるが、三菱UFJ銀行は土日祝日を含め8:45~21:00まで無料。ゆうちょ銀行は、銀行内設置のATMなら全時間帯無料など、銀行により異なる。

「金利環境の変化などを背景に、銀行によって各種手数料や無料サービスに違いが出ています。自分の使い方を確認し、生活スタイルに合った手数料体系の銀行を選ぶといいですね」

今こそ見直したい銀行選び(写真はイメージです)

 ここまで、ネット銀行のメリットも多く紹介してきたが、いきなり全資産をネット銀行に移さないほうが安心だ。なぜなら、「通帳がなく、取引内容はオンラインで確認」「スマホを使っての取引」など長年親しんできた方法とは仕様が異なるからだ。

「便利だけじゃない」大注目のネット銀行

「まずはサブの口座として開設して、少しずつキャッシュレスやネットバンキングに慣れていくのがおすすめです」

 従来型の銀行でも、通帳レスやアプリ利用により、数千円ほどの特典が付くキャンペーンも見られる。

「銀行側も支店の窓口はもちろんATMの維持コストが負担になっていて、それだけ力を入れてキャッシュレス化やオンライン化を促したいのでしょう」

 年齢を重ねるほど新しいサービスになじむのが難しくなる。特典のつくキャンペーンが多い今のうちに、少額から利用し、少しでもお得な情報の波に乗れる準備をしておこう。

口座は目的別に“3つ”

 お金をすべて同じ口座にまとめておくと、いつの間にか使い込んでしまいがち。おすすめは、銀行の特性別に口座を作り使い分けること。信号色の「青」「黄色」「赤」のイメージで、3つに分けてみて。

赤口座
将来のためにキープ
教育費や老後資金などキープしたいお金用。簡単に引き出せず、金利の高いネット銀行が◎。積み立て投資用の証券口座もこの仲間。

青口座
日常的な出し入れ用
給料の受け取りや家賃、公共料金、生活費、クレカの引き落としなど、日々の入出金に使う。使い慣れたメガバンクや地銀の口座が向いている。

●黄口座
急な出費や予備費に
家電の買い替えや帰省などに備え、数十万~100万円ほど入れておく。ATMが多く全国どこでも引き出しやすいゆうちょ銀行が便利。

「金利も手数料もこんなに違う」プロ注目の“お得銀行5選”

GMOあおぞらネット銀行
《1つの銀行で口座分けしたい人向け》
 
預金を目的別に管理できる「つかいわけ口座」がユニーク。「生活費用」「教育費用」「投資用」「緊急出費用」など、目的別に最大10口座開設できる。

ソニー銀行
《資産が多い人向け》
 取引内容に応じてステージが変わる優遇プログラムに要注目。投資信託や外貨預金、住宅ローンなどの条件を満たしてプラチナステージになると、Visaデビット付キャッシュカード利用で買い物額の2.0%がキャッシュバック。

auじぶん銀行
《auユーザー向け》
 入金や口座振替など条件を満たした取引でPontaポイントが貯まる。auユーザーならポイントが貯まりやすい。auIDを連携させ、取引内容に応じてステージが上がる「じぶんプラス」を活用するのがコツ。

住信SBIネット銀行
《8/3~のドコモユーザー向け》
 8月3日から名前が「ドコモSMTBネット銀行」に。給与受け取りや口座振替などの利用やドコモ回線とのセットの利用で、dポイントが貯まるおトクな特典を提供予定。

オリックス銀行
《「将来資金用」口座におすすめ》

 定期預金の金利がトップクラス。新規口座開設者限定で、eダイレクト定期預金が1年もので1.5%。ただし、キャッシュカードがなく、引き出すにはいったん他銀行の口座に送金する必要がある。高金利・引き出しにくさで、しっかりキープしたい「赤」口座向け。

西山美紀さん
ファイナンシャルプランナー。All About貯蓄ガイド。日々にうるおいをもたらしてくれるお金の貯め方、使い方を発信中。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)、『お金の増やし方』(主婦の友社)。

取材・文/鷺島鈴香