阪神・藤川球児監督

 7月26日の阪神タイガースと読売ジャイアンツによる“伝統の一戦”。オールスターゲーム前の前半最終戦に登板した、巨人・小笠原慎之介投手(28)が大山悠輔選手(31)に死球を与えると、甲子園球場から地鳴りのようなブーイングが沸き起こった。

 阪神が1-0で勝利を収めた試合後、指揮官の藤川球児監督(46)は、

「セ・リーグで一番与死球が多いのは巨人ですから。それはもう当然分かっていますからね。当然勝負事ですから。そういうふうな勝負にもなっていきますけども」

「一番与死球が多いのは巨人」と名指しして、後半戦からの首位攻防戦が“そういうふうな勝負になる”ことを予言。当然ながら前日に行われた、両軍合わせて3つの死球を出した試合を意識した発言だった。

 25日の試合では3回裏、巨人のルーキー左腕・竹丸和幸投手(24)の投じたストレートが、主砲の佐藤輝明選手(27)の左肘を直撃。すると4回表、今度は阪神の伊原陵人投手(25)が大城卓三選手(33)に死球。7回にも大城は2つ目の死球をもらうと場内は騒然。

 巨人が(7月26日時点)46個の死球を与えている現状にチクリとした藤川監督の発言が、“報復を容認する”発言とも受け取られて、ネットで巨人ファンによる批判の声が高まっているわけだ。

与死球リーグ最少、被死球は最多の阪神

 2試合続けて両軍による“死球合戦”が目立ったが、在阪球団を担当するスポーツライターによると、

「大城に2つの死球を与えたとはいえ、阪神の与死球はここまで26とリーグ最少。一方で被死球数44でリーグ最多と、セ・リーグで一番多く死球をもらっているのが阪神。しかも被死球数トップは森下翔太の12個で、大山も3位となる7死球をもらっている。

 リーグ屈指のクリーンナップだけに他チームから警戒されるのは当然ですが、死球で主力を相次いで欠いている阪神だけに、それは藤川監督もピリピリするというもの」

2025年7月25日、巨人・大城卓三への2個の死球がネット上で物議を醸している

 今季、不動のリードオフマン・近本光司外野手(31)が、4月26日の広島東洋カープ戦で死球による左手首骨折。さらに7月17日、またも広島戦で死球を受けた前川右京外野手(23)が右肩骨折。2人の主力選手が戦線を離脱している。

 とくに近本は、2023年7月2日にも巨人・高梨雄平投手(34)から死球をもらって右肋骨を骨折。プロ野球選手にとってプレーは当然、選手生命や年俸にも影響が出かねないだけに、選手を預かる監督としても気が気でない。

 近本が死球を受けた広島戦後のインタビューで、

「相対的に見てちょっと多いね。デッドボール当てられるケースがね。野球を守らないといけないので、こちらもグッと我慢していますけど」

 冷静に務めつつも静かな怒りを滲ませていた藤川監督。

「野球を守らないといけない」の真意

「現役時代は“火の玉ストレート”を打者に投げ込んでいた藤川監督ですが、NPBでは782試合、935イニングを投げて与死球はわずか32。その高い技術があったからこそ、打者との真っ向ストレート勝負が成立していたのです。

 森下や大山といった強打者であれば内角攻めにあうのは当然のこと。しかし、その技術がままならないにも関わらず内角をつくバッテリー、また指示を出すベンチや首脳陣に腹を立てているのだと思います」(前出・スポーツライター、以下同)

 そして「野球を守らないといけない」の言葉こそ、藤川監督が“報復を容認”していないことの証明だという。

藤川監督は近本、前川に怪我を負わせた広島に対しても、バッテリーに報復を許していません。むしろ、大山が7月19日の試合で再び死球を受けた後も、グラウンドに飛び出して行った選手やコーチをなだめ、場を収めています。

 死球発言はあくまでも、“伝統の一戦”として一筋縄ではいかない厳しい戦いになることを言ったまでで、“報復”を促したわけではありません。ただ巨人側にチクリとしたのは事実で、“野球を守るため”に投手陣の技術向上を求めたのでしょう」

 投手出身の監督だからこそ、投手に求める技術も高いようだ。