左から橋本愛、佐藤二朗、あの、三山凌輝

 もはや炎上の起きない日はない、と言っていいかもしれない現代。今年上半期もボヤから大火事、延焼まで大小さまざまな火が各所で発生した。その炎上と背景を専門家が振り返る。まずは芸能界から。

「事務所がタレントを管理できなくなっている」

 5月、タレントのあのが自身の冠番組にて、「ベッキーの次に嫌いな芸能人は?」と尋ねられ、「鈴木紗理奈」と回答。槍玉に挙げられた鈴木はSNSで怒りをあらわにした。放送したテレビ朝日は謝罪文を発表。あのはXにて番組への苦言と降板を宣言した。

「明らかにテレビ局側に責任があると思う。番組自体も時代遅れの感がある内容で陳腐。そのまま放送したらどうなるか、判断力が欠如しているし、出演者に対する配慮がまるでない」

 そう話すのは芸能ジャーナリストの佐々木博之氏。「ただ、あのちゃんサイドの人間も現場にいたはず。“そこはNG”と、念押ししなかったのか……。しても放送したのか、ちょっと疑問が残ります。また、あのちゃんは局側が今後の方針を発表する前に、降板を自身のXで発表した。ここから見るに事務所側の“管理”の問題もあると思います。あのちゃんに限らず、事務所がタレントを管理できなくなっている」(佐々木氏、以下同)

 管理できなくなっている背景は─。

「今の時代、タレントは事務所を簡単に辞めることができるようになった。ある程度の人気があれば、独立しても仕事はすぐに入ってくる。事務所はそれが怖いから、あまり強くタレントに言えない。強く言うと“じゃあ、辞めます”になりかねない。非常に気を使う、と事務所の人からよく聞きますね」

 上半期の大きな芸能トピックといえば、佐藤二朗橋本愛に対してのハラスメント騒動。ドラマ『夫婦別姓刑事』(フジテレビ系)の撮影中、橋本に身体接触の制限があることを聞かされていなかった佐藤が“アドリブ”で彼女のあごに触れた。後に制限について聞かされた佐藤は橋本の楽屋を訪れ、引退をすすめたと報じられた。

「“事情”があるのなら、プロデューサーが最初に佐藤さんに伝えなきゃいけなかった。佐藤さんの橋本さんに対する“そういう事情があるなら役者は辞めたほうがいい”という発言について、現場の人間は“昔は先輩俳優がそうやって後輩を鼓舞した”と、佐藤さんを悪く言わない。

 だが、時代が違う。俳優2人に罪はなく、いちばん悪いのはちゃんと仕切れていなかった、管理できていなかったプロデューサーでしょう」

多発した『BeReal.』での情報漏洩

 7月には、'25年に女優の趣里と結婚した三山凌輝のスキャンダルがまたもや報じられた。ミュージカル『愛の不時着』で共演している花乃まりあとホテルで密会。人気ユーチューバーとの婚約破棄トラブル&1億円の貢がせ疑惑、同時進行と思われる趣里との交際、結婚。そして今回の騒動と、話題に事欠かない。

「交際してきた女性や、妻である趣里さんは本当に災難な話ですが、もはや見ていて面白いといえるほど。高級車に乗って女性を取っ換え引っ換え。ひと昔前の俳優のようです。彼がしていることの是非はひとまず置いておいて、さまざまな経験を経て、十何年後などいつか良い役者になったりしないか、逆に楽しみな存在ですね」

 芸能人に限らず、炎上の舞台は主にSNSだ。

「俳優やアイドルなどタレントのプライベートは、ファンが知りたいところ。それがSNSでアピールできるようになった。しかし、なんでもかんでも、さらに感情までもタレントが一般人のようにさらけ出しては……。

 田中みな実さんが芸能人のSNS利用について“プライベートを隠そうとしてるのに、SNSでは全部さらけ出してて、意味わかんない”と言っていました、まさにそう思います。うまく使っている人もいますが」

 続いて社会・経済で起きた炎上について。今年上半期、多発したのは『BeReal.』を舞台にした情報漏洩。

若年層を中心に人気のSNS「BeReal.」は、今年上半期に各社で情報漏洩を招いた

 BeReal.は1日1回ランダムに届く通知から2分以内に、スマホの前後カメラで撮影・投稿するSNSアプリ。加工も撮り置きもできない。問題はその“2分以内”という部分。焦って撮っているのか、“見せるべきではないもの”が写り込むことも……。

 4月、西日本シティ銀行下関支店の執務室内を行員が投稿した画像がXで拡散。ホワイトボードには顧客7人の氏名や数値目標が写り込んでおり、それが大拡散され、頭取が謝罪する事態に。病院や小学校でも同種の投稿→漏洩が続出し、Xでは“正社員テロ”なる言葉まで生まれた。

「この手の問題投稿は、実は'13年から繰り返し起きてきた。目新しい、使い慣れていないSNSが広まると、それが“テロ”につながることが多いんですね」

 そう話すのはITジャーナリストの三上洋氏。

“火力”を上げる事後対応のまずさ

 '13年ごろはツイッター(現・X)でコンビニのアイスケースに入るなどのバイトテロ。'19年ごろにはインスタグラムで回転寿司店などでの問題行動。

 今回は若者とはいえ、れっきとした社会人が銀行内を、教諭が学内を、職員が病院内を撮影して投稿して漏洩を起こしている。

「それらがダメだと思わなかった。あくまで身内だけが見るものとして投稿している。ただ、それを友人がスクショしてさらに他人に見せる。友人の友人は他人。どんどん広まっていってしまう」(三上氏、以下同)

「炎上後の対応のまずさ」で三上氏が挙げるのは、スポーツ動画配信サービスのDAZN。6月、DAZNがW杯向けに打ち出した契約プラン「DAZNサッカー」。プランの比較ページには「月額980円」と大きく表示されていたが、実際は年間契約で総額2万6340円。「新手の詐欺」と批判が殺到した。

W杯が「月980円」と煽りに煽って実際は年間契約だったDAZN

「あれはもう詐欺的広告だと言ったほうがいい。“小さく注釈が書いてある”ならともかく、大きく書いてあることが嘘に近い表現だったんです」

 同社は後に謝罪。だが認めたのは「一部、月額プランと受け取れる記載がなされていた」という限定的な事実で、980円の強調表示はその後も継続。

「お詫びも“誤解を招くような表示”という表現をして、さらに炎上した。誤解を招くんじゃなくて、あんたらが詐欺的表現をしているから問題だという、炎上している理由をわからずに謝っている」

 ANAも同じ轍を踏んだ。5月19日の国内線システム移行後、予約もチェックインもできない不具合が続出。そんななか同社社長は陳謝しつつ、運賃刷新について「便利になっている部分はあるはずだ」と発言。

「その部分の発言ばかりが報道されて陳謝は全然出てこない。明らかに社長の発言のミスで、炎上を加速させた。対応で一番重要なのは事後です。きちんと理由を把握してトップが謝罪し、言い訳をしない。それができてないんですね、DAZNもANAも」

 芸能人にとっても一般人にとっても、SNSは便利なツールなのは間違いない。しかし、その使い方を間違えて、炎にのまれることのなきよう……。