西村知美。1970年、山口県生まれ。1986年に芸能界デビューし、今年でデビュー40周年を迎える。明るく親しみやすいキャラクターで、テレビやバラエティー番組など多方面で活躍中。芸能界屈指の資格マニアとしても知られる。

40歳前後に、テレビ番組で睡眠時無呼吸症候群が判明したという西村知美さん。放置しておくとさまざまな健康リスクが高まるだけでなく、心筋梗塞のような命に関わる合併症が引き起こされる危険性もある。とにかく睡眠時の状態を早く知って対策することが肝心だ。なかなか完治が難しいこの症状との、日々の向き合い方と対策を伺った。

 激しいイビキや、睡眠中に突然呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。一般的に肥満による喉まわりの脂肪蓄積、顎が小さいという骨格のほか、扁桃肥大や鼻づまりが要因とされているが、近年、さらにその原因として注目されているのが「更年期」との関係だ。女性ホルモンの分泌量が急激に減少する更年期以降は、気道が狭くなりやすく、SASの発症リスクが閉経前の約3倍に跳ね上がるという。

西村知美さんのSASとの向き合い方

 40歳を迎えたころ、まさにこの病気を告げられ、人知れず恐怖や恥ずかしさと向き合い続けてきた、タレントの西村知美さん(55)。さまざまな対策を試し、今年になってようやく自分に合った改善方法を見つけたという。今回は、西村さんにSASとの向き合い方について話を聞いた。

「昔から『ドラえもん』ののび太くんのように、3秒あれば寝られるのが特技なんです。でも、8時間や9時間しっかり寝ても、朝起きたときにすっきりした感覚がまったくない。『毎日夢を見るから眠りが浅いのかな』と思っていました」

 十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず疲れが残り、日中は強烈な眠気に襲われる。電車で立ったまま寝たり、車で移動中に爆睡したりすることも珍しくなかったという。実は、西村さんとイビキとの関係は幼少期までさかのぼる。

「振り返ると、5~6歳のころからイビキがひどく、病院を受診したところアデノイド(咽頭扁桃)肥大で手術をした経験があります。

 その後は落ち着いていたのですが、アイドル活動で上京した後、家族旅行に行った際に家族がイビキが気になったようで。寝ている姿をビデオカメラに撮って、見せてくれたんです。でも音が小さくて、『クークー可愛い音』くらいにしか聞こえなかったんです」

 そんなイビキの深刻さに気づくきっかけとなったのは、娘のひと言だった。

「娘が幼いころ、夜中に大泣きして私を起こしたんです。『夢の中で大きな狼がものすごい唸り声で追いかけてきたの。でも起きたらママのイビキだったー!』って(笑)」

 わが子を怯えさせるほどの音量に、「これはただごとではない」と大きなショックを受けた西村さん。その後、テレビ番組の企画で一晩、病院で検査を受けることになった。

想像を超える検査結果

 イビキの自覚はあったものの、検査結果は想像を超えるものだった。

「ビックリするくらい長い間、息が止まっていたんです。もともと肺活量が少なくて水泳も苦手だったりするのですが、なんと1回につき30秒間も呼吸が止まっていたんです。しかも、8時間で32回も無呼吸状態を繰り返していたんです」

 無呼吸になっている自覚はなかったものの、思い当たる症状もあった。

「時々、誰かに首を絞められたように苦しくなってガバッと起きることがあったんです。『幽霊の仕業かな』『首を絞められる夢を見ていたのかな』と思っていたのですが、犯人は自分の無呼吸だったんですね。

 私の場合は小柄で気道が小さいことなどが原因でした。もしかしたら、そのまま息が止まっていたかもしれないと思うと、急に恐怖を感じるようになりましたね」

「ありとあらゆるイビキ防止グッズを試しました」と西村さん。しかしなかなか劇的改善とはいかなかった

 SASとは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気。10秒以上息が止まる状態が一晩に5回以上あれば診断される。就寝中に起こるため自覚しにくい一方、放置すると心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気につながる可能性もある。大きなイビキや日中の強い眠気は、そのサインの一つだ。

 SASと判明後、当初、病院からすすめられたCPAP(シーパップ)を2週間自宅で試した。寝ている間にマスクから空気を送り続け、気道を確保するSAS治療のスタンダードな装置だ。

「劇的に改善したんですが、機械が大きくて空気が強いので息苦しいんです。つけた後に顔にチューブのあとが残るし、持ち運べないしで、どうしても長く続けられなかったんです」

情報交換が改善の第一歩

 その後は、ネットで市販のマウスピースや口を閉じるテープ、小顔バンドなど、さまざまな対策グッズを購入し試してきた。

「でも、たいてい朝起きるとどこか遠くのほうへ飛んでいってるんですよね(笑)。お医者さんから『舌が長いため、あおむけで寝ると気道をふさぐ』と言われていたので、苦肉の策でうつ伏せで寝るようにしていました。ただ、イビキは減ったものの、首や肩が凝って、顔に枕のあともついてしまって……」

 友人との旅行では、イビキで迷惑をかけないよう同室の相手が寝るまで起きているなど、気を使う日々が続いたという。

 長年、さまざまな対策を試してきた西村さん。今年の初めに、テレビ番組のロケで寝具店を訪れ、自分の体格や寝姿勢に合わせたオーダーメイド枕を試す機会があった。

「横向き寝に合う高さに調整してもらった枕を使うようになると、寝返りであおむけになりにくく、朝までラクな姿勢で眠れる日が増えました」

テレビ番組で出合った西川のオーダー枕。「10分ぐらいで完成したのに本当に優秀で。横向きがキープされるだけでなく、顔などに寝あとがつかないよう工夫もされていて、手放せません!※枕による効果には個人差があります

 日中の眠気や目覚めの感覚にも変化があり、「娘からも“イビキが気にならなくなったね”と言われるようになりました」と、笑顔を見せる。自分に合う寝具を選ぶことも、睡眠環境を整える一つの方法だと実感したという。

 SASは自覚しにくい一方、放置すると健康に大きな影響を及ぼす可能性がある病気だ。

「何より睡眠の質を高めることは健康のために大事なことですよね。スマホのアプリでイビキを測定できるものもあるので、上手に活用してみては。“イビキをかいているかも”なんて、なかなか人に相談しにくいですが、恥ずかしがらずに家族や友人と情報交換し合うことが、改善への第一歩だと思います」

<取材・文/荒木睦美>