夏の不調の原因の一つは「冷えた腸」。どう対策する…?(※写真はイメージです)

なんとなくだるい、疲れが抜けない、食欲がない─そんな夏の不調、暑さだけが原因ではないかもしれません。冷房や冷たい飲食で腸が冷えると腸内環境が乱れ、全身のコンディションにも影響が。夏を元気に乗り切るカギは「腸活」にあり。そこで注目したいのが、手軽に食べられて食物繊維たっぷりの“あのフルーツ”です。

夏の“冷えバテ”が腸の働きを低下させる

 近年、日本の夏は長期化。梅雨の時季から10月近くまで30℃を超える日もあり、心身に与える影響は少なくない。

「現代人の夏バテは、実は“冷えバテ”なんです。冷房の効いた環境で長時間過ごしたり、冷たい飲み物や食べ物をとりすぎたり、湯船につからずシャワーだけで済ませたりすることで、内臓が冷えてしまうのです」と話すのは、内科医の石原新菜先生だ。

内科医の石原新菜先生

 なかでも、“冷えバテ”の影響を受けやすいのが腸だという。

「冷房の効いた室内と屋外との気温差に加え、暑さによる睡眠不足やストレスは、自律神経の乱れを招き、腸の働きを低下させやすくなります」(石原先生、以下同)

 さらに、身体を冷やす生活習慣が重なることで腸の働きはますますダウン。免疫の働きや代謝の低下を招き、食欲不振や便秘、下痢などの不調につながりやすくなり、メンタル面にも影響を及ぼすという。

「腸内環境が悪くなると、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが不足しがちに。イライラしやすくなったり、睡眠の質が低下することもあります」

栄養素豊富なキウイが夏の腸活にお役立ち

 熱中症対策として冷房は欠かせないが、冷房を使いながらも冷やしすぎないことが大切だ。

「“温活”を意識した腸活を取り入れてほしいですね」と石原先生は提案。

「外出するときは、カーディガンやストールを1枚持ち歩き、冷房の効いた室内では羽織って冷えを防ぎ、温かい飲み物を選ぶようにしましょう。朝起きたときに白湯を飲むのもおすすめです。すりおろしたしょうがを少し加えれば、さらに身体を温める効果が期待できます。腸の働きを促し、身体の内側から温めてくれます」

手軽に栄養を補給でき、腸活にも役立つ食材、キウイ

 一方で、暑さが続く夏は食生活が偏りやすい季節でもある。長時間火を使う調理を避け、そうめんやうどんなどの麺類やパンだけといった簡単な食事で済ませてしまうことも。

 そんなときに、手軽に栄養を補給でき、腸活にも役立つ食材として石原先生がすすめるのがキウイだ。

 キウイには食物繊維をはじめ、ビタミンC、カリウム、ビタミンE、葉酸、ビタミンB6、ビタミンK、マグネシウム、銅など、さまざまな栄養素がバランスよく含まれている。欧州ではグリーンキウイについて「正常な腸機能に寄与する」という健康表示が認可されており、その健康価値は公的に認められている。

「キウイは生で食べることができるので、加熱で失われやすい栄養素もそのまま摂取できます。半分に切ってスプーンですくえば、皮をむく手間もありません。 腸活的なおすすめは、ヨーグルトとの組み合わせ。

 キウイに含まれる食物繊維は、ヨーグルトの乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。また、暑さで汗をかくとミネラルが失われますが、キウイは水分とともにカリウムやマグネシウムなどのミネラルを補給できるため、暑さ対策にも役立ちます。

 さらに、紫外線による、肌ダメージが気になる夏にうれしいビタミンCやビタミンEも豊富。さわやかな酸味があり、食欲が落ちやすいときでも、おいしく食べられるのが魅力です」

 石原先生自身、食卓にはキウイが欠かせない。

「朝、仕事に出かける前に2個食べたり、スムージーにしたり、グラノーラに入れたりもしています」

 朝の腸活は腸の働きにスイッチを入れるが、腸が最も活発に働くゴールデンタイムが夜だ。

「キウイにはタンパク質分解酵素である『アクチニジン』が含まれていて、肉類や魚などのタンパク質を分解してくれます。夜ごはんのサラダや肉料理のソース、食後のデザートとしてキウイを取り入れると、夜の腸活に役立ちます」

スクワットや入浴で血流を促進し冷えを防止

 食事とともに気をつけたいのが運動不足による筋肉量の低下。

「普段、ランニングやウォーキングなどの運動習慣がある人でも、夏は暑さを理由に休みがちになります。筋肉量が減ると血流が滞り、冷えを加速させるだけでなく、腸の働きも鈍くなってしまいます。室内でできるストレッチなどで、こまめに身体を動かしてほしいですね」

 室内で簡単にできる運動として、石原先生がおすすめするのがスクワット。太ももやお尻などの下半身には全身の筋肉の多くが集まっており、効率よく筋肉を鍛えられるという。

「スクワットをすると血流がアップするだけでなく、腹筋や体幹も使うため、腸への刺激にもつながります。風呂とセットにすると習慣化しやすいので、入浴前に30回ほど行うのがおすすめです」

 また、一日冷えた身体を温めるためには、やはり入浴は欠かせない。

「シャワーだけで済ませず、できるだけ湯船につかりましょう。ぬるめのお湯にゆっくりつかることで温まり、リラックス。寝つきの改善にもつながります。メントールなどの清涼成分を配合した入浴剤を使えば、身体を温めながらも湯上がりの肌はひんやりとして、快適に過ごせます」

快腸な毎日を心がけるために必要なこと:「不快な暑さや暑さによる睡眠不足といったストレスで交感神経が過剰になると、腸の働きが鈍くなり、便秘や下痢の原因になります。冷たい食べ物、飲み物もほどほどに」(石原先生)。食物繊維や水分をとり、簡単な運動、入浴習慣で腸をケア

 そして、夜の冷房の使い方もアドバイス。

「冷房をつけて寝ると身体に悪いと思われがちですが、タイマーで切ってしまうと、暑さで夜中に目が覚めてしまうことがあります。冷房は26~28℃くらいの高めの設定にして、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させると、快適に眠りやすくなり、睡眠時間を確保できます。さらに綿やシルクなど、通気性や吸湿性に優れた薄手の腹巻きをすると寝冷え対策に有効です」

 夏は暑さ対策ばかりに目が向きがちだが、“冷えバテ”していることを忘れずに。食事や運動、入浴など、毎日の“温活・腸活”習慣によって、夏を元気に乗り切りたい。

 「快腸」な毎日を心がけて!

 「不快な暑さや暑さによる睡眠不足といったストレスで交感神経が過剰になると、腸の働きが鈍くなり、便秘や下痢の原因になります。冷たい食べ物、飲み物もほどほどに」(石原先生)。食物繊維や水分をとり、簡単な運動、入浴習慣で腸をケア。

石原新菜先生 医師・イシハラクリニック副院長 日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。主に漢方医学、自然療法、食事療法を取り入れた診療を行うほか、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。

 取材・文/小林賢恵