プロも倒れる暑さの中、高校生が戦っている。
「7月22日、さいたま市で行われたロッテ対オリックスの2軍戦は、選手2人が熱中症とみられる体調不良を訴え、4回途中でノーゲームに。試合開始時の気温は36・7度だったそうです」(スポーツ紙記者、以下同)
プロという“大人”ですら試合が成立しない。それが今の日本の酷暑。
熱中症なのに…「頑張ってほしかった」
「3日後の25日、高校野球東東京大会準決勝・二松学舎大附属と帝京の試合が神宮球場で行われました。2年生ながらメジャーからも注目される帝京の目代龍之介外野手が、6回の守備から熱中症のような症状で途中交代し、試合後に救急搬送されました」
この日の東京は熱中症警戒アラート発表下、最高気温は36度の見込みだった。帝京の金田優哉監督は試合後、一部スポーツ紙に次のように語っている。
《(目代選手は)完全に意識がもうろうとしてました。最後の記憶はないと思います。一度ベンチ裏に下げたが、自分の意思で戻ってきた。体力的な部分なのか、大一番でこういう展開になってしまって、本人も悔しいと思う》
実はこのコメント、配信から10数分で一部が削除されている。
「当初、最後の一文は《本人も悔しいと思うけど、今日頑張ってほしかった》というものでした。削除はされましたが、本当にこのように話していたとしたら、生徒を預かる監督として、熱中症の危険性への認識が甘すぎるのではないかと感じます」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
夏の気温が上がり続けるなか、今と昔で甲子園大会は何が変わったのか。そして変わっていないのか。
「開会式は夕方4時、開幕試合は5時30分から。最も暑い時間帯を避ける『2部制』は導入初年の'24年が3日間、今年は計10日間に拡大されました。過去3年で熱中症の疑いや足のつりが起きたのは第2試合が42件と突出。その時間帯を外す狙いです。
'23年に導入された、5回終了後に水分補給と身体の冷却ができるクーリングタイム、サーモグラフィーでの体温測定、シャーベット状のスポーツドリンク『アイススラリー』の提供も行います」
しかし、真夏・屋外(屋根なし)・9イニング・連戦は変わらず、昔のまま。
「考えるべきは、2部制も夕方開幕も、適用されるのは甲子園大会だけ。目代選手が倒れたのは地方大会。全国約3400校が戦う地方大会は、日程も球場も各都道府県高野連の裁量で、対策の水準はバラバラ。倒れるリスクに最も長くさらされているのは、甲子園にたどり着けなかった大多数の高校球児たちです」
白球を追う球児たちの汗は感動を呼ぶ。しかし、彼らを取り巻く環境やルール、現場の大人たちの意識がもっと変わらなければ、尊い汗だと美化ばかりはしていられない。
