自民党福岡県議団の松尾統章会長(本人の公式facebookより)

「被災地が大変なときに、よく笑顔でパーティーなんてできるなと呆れてしまいます。しかも『やってよかった』だなんて、血も涙もないのでしょうか」

 そう憤るのは、福岡県在住の40代の主婦だ。

 7月28日に発生し、多くの犠牲者を出した「令和8年熊本地震」。地震発生直後の28日夜、被災地が混乱と恐怖に包まれている最中に「政治資金パーティー」を開催し、さらに「やってよかった」と言い放っていた政治家がいる。自民党福岡県議団のトップだった松尾統章(まつお・とうしょう=53)会長だ。

 この発言が明るみに出ると世論からは批判が殺到。松尾氏は「不快な思いとご心配をおかけしました」と謝罪したものの火に油を注ぎ、県議団会長を辞任する事態に追い込まれた。

 なぜ、この騒動が国民の激しい怒りを買ったのか。そこには、相次ぐ物価高や増税に喘ぐ庶民の「生活実感」と、政治家たちの「ズレた感覚」の深すぎる溝がある。

大地震後の「パーティー強行」の冷酷さ

「地震直後、現地ではライフラインが途絶え、多くの行方不明者も出ていた。被災者が避難所で不安な夜を過ごし、水や食料すら満足に行き届かない極限状態が続く一方で、華やかな会場でお酒を酌み交わし、芸人による余興に笑い、資金を集める。それだけでも十分信じがたいが、のちにその行為に対し“やってよかった”との発言は、その感覚を疑います。被災者だけでなく全国民を敵に回したといっても過言ではない」(全国紙記者)

 被災者はもちろんのこと、物価高騰に苦しむ国民からは「これだから政治家は信用できない」と政治家の共感生の欠如に呆れている。

 一部とはいえ、なぜ政治家たちはこれほど世間の「空気」を読めないのだろうか。前出の記者が言う。

「その背景には彼らが身を置く政界の常識が、一般社会の常識とかけ離れている点があります。政治家にとって政治資金パーティーは、自らの勢力を維持し、次の選挙を勝ち抜くための生命線とも言える集金システムなのです」

 今回の政治資金パーティーは『松尾統章ビアパーティ』と名付けられ、アルコールを含む飲食付きの意見交換会として、会費は1人1万5000円で、500〜600人が出席したという。

 松尾会長は「やってよかった」と発言した自身の言葉に対し「被災して苦しんでいる方々にどれだけ失礼な表現だったんだろうと考えた」と述べ、会長を辞任する意向を表明するも議員辞職については否定している。

 今回の騒動は、決して一地方の県議による失言問題だけでは片付けられない。現在も国政では政治資金をめぐる問題が相次ぎ、国民には負担増を強いる一方で、政治家自身は特権に甘え続けている構図のままだ。

 被災地の涙や、日々の生活に苦しむ庶民の悲鳴よりも、自分たちの集金や身内の結束を優先する政治家たち。彼らが私たちの代表として税金を動かしているという事実に、国民の不信感は極限に達している。