8月5日に開幕した「第108回全国高校野球選手権大会」。今年も49代表校による“真夏の熱闘”が繰り広げられているが、読売ジャイアンツ・田中将大投手(37)が大会前に投じた“一球”が議論を引き起こしている。
日本高校野球連盟(高野連)が、2028年度の採用に向けて検討している高校野球「7イニング制」へのルール変更に、「野球は9回。そこを動かすのはどうなのでしょうか」と反対意見を示したのだ。
自身も駒大苫小牧高(北海道)のエースとして、2006年には夏の甲子園大会3連覇をかけてマウンドに立った田中。卒業後は東北楽天ゴールデンイーグルスの大エースとして、そしてMLB移籍後はニューヨーク・ヤンキースで7年間にわたってプレー。
NPB復帰後も楽天、巨人で勝ち星を重ねて、2025年に史上4人目となる日米通算200相を達成したレジェンド。その培った野球経験をして「普及面でもマイナスになる」と、野球界の未来も踏まえて「7イニング制」導入ではなく、阪神甲子園球場からドーム球場への開催地変更を提案してみせた。
田中とは真逆の意見だった斎藤
一方で「7イニング制」について、田中とは真逆の理論を唱えていたのが、元プロ野球選手で、引退後は実業家としてマルチな活動を展開する斎藤佑樹氏(38)。かつて早稲田実業高(西東京)の「ハンカチ王子」として甲子園を熱狂させ、早稲田大学卒業後は北海道日本ハムファイターズに入団した斎藤だ。
「ハンカチ世代」「マー君世代」としてご存知の通り、2006年の夏の甲子園大会決勝戦で、引き分け再試合を含めて2日間にわたって投げ合った、高校野球史に残る熱闘を繰り広げたライバル同士。その斎藤氏が2025年12月、高野連が設置した7イニング制検討会議を受けて『朝日新聞』12月6日付の記事インタビューに応えている。
【7イニング制に大賛成です。】
開口一番、7イニング制に「大賛成」と即答してみせた。現役引退後は各地の高校で取材活動を重ねているという同氏。これまでも「延長15回」「タイブレーク」「投球数制限」などのルール変更があったが、それでも直向きに野球に取り組む球児の姿勢を目の当たりにしてきたという。その上で、
【間近で球児と接しているからこそ、断言できます。「7イニング制になっても野球がつまらなくなることは絶対にない」と。】
9回から2イニングが減ることで「野球がつまらなくなる」との、各方面で上がる懸念に真っ向反論してみせた。
また自身の経験から、9回を投げ切るためにペース配分で力を分散させていたとして、【投手の球速が上がって、それに対応しようと打者も進化する。】と、逆に全力プレーが増えることで【よりレベルの高い野球が見られるようになるのでは】と分析。
甲子園出場のチャンスが広がる
さらに田中が「マイナスになる」とみた普及面においても、野球人口の減少を“現実”として受け止めた上で、
【野球人口の減少で部員数の確保も全国的な課題です。複数の投手を育てることが難しいチームも多く、その意味でもイニング数が少なくなることは、すごく合理的なことだと思います。】
逆に強豪校だけでなく、部員が少ない高校にも甲子園出場の「チャンス」と見ているのだろう。あくまでも7イニング制をポジティブに捉える斎藤だった。
プロ生活19年で日米通算200勝、今も現役のレジェンド・田中の裏で、10年間で通算15勝とプロとしては苦しんだ斎藤。それでも引退後は“野球人”として多くの現場を見て回った後者だからこそ、ライバルとは違う「野球観」からの意見なのだろう。
