2026年8月4日、スピードスケート女子で冬季五輪4大会に出場し、日本女子最多となる通算10個の五輪メダルを獲得した高木美帆さんに国民栄誉賞が授与された。スポーツ界では14例目の受賞となった。
包丁に込められた想い
そんな中、注目を集めたのが、表彰状や盾とともに贈られた副賞の記念品。高木さんが選んだのは、包丁10本セットで一本一本の刃には「国民栄誉賞 高木美帆」「内閣総理大臣 高市早苗」と刻印された特別仕様となっている。
高木さんらしい実用的な選択に好意的な声が寄せられる一方で、ネット上では、
《受賞者の名前だけでいいのでは》
《なぜ総理大臣の名前まで入っているのか》
といった疑問の声も上がった。
なぜ包丁10本だったのか。そして、国民栄誉賞の記念品はどのように決められているのだろうか。高木さんによると、副賞には複数の候補が用意され、その中から包丁を選んだという。
決め手になったのは、これからの生活の中で長く使えるものだったこと。「日常的に使えるものがいい」という思いと、競技人生を終え、実家で過ごす時間が増えたこともあり、「母親と一緒に料理をする時間をつくれたら」という願いを込めたという。
競技生活を象徴する特別な品ではなく、家族との時間を彩る身近な道具を選んだ氷上で戦い続けてきたトップアスリート。この選択にネット上では、
《素敵なチョイス》
《温かみのある最高の副賞》
などの称賛の言葉が多く上がった。
副賞は100万程度が目安
国民栄誉賞の副賞は、受賞者によってさまざま。金額は公表されていないが、100万円程度が目安とされ、本人の希望や受賞理由などを踏まえながら選ばれてきた。
「国民栄誉賞の記念品は、単純に高価なものを贈るという考え方ではありません。受賞者が人生の節目で大切にできるもの、その人の歩みを感じられるものが選ばれる傾向があります」(全国紙社会部記者、以下同)
歴代受賞者の記念品にも、そうした思いが込められている。
「1977年、第1号受賞者となった王貞治さんには、鷲が大空へ羽ばたく姿にちなみ“鷲の剥製”が贈られました。また、2012年に受賞したレスリング女子の吉田沙保里さんには、当時の世界大会13大会連続優勝という偉業にちなんで、13ミリの“金色の真珠”が贈呈されています。
すべての受賞者の副賞が公表されているわけではありませんが、選ばれてきた品々を見ると、記念品そのものにも受賞者への敬意や、歩んできた道のりへの思いが込められています」
今回の高木さんの包丁10本セットも、競技人生の証として飾るものではなく、これからの人生で家族との時間を刻むための品。刃に刻まれた「内閣総理大臣」の名前をめぐって広がった疑問も、国民栄誉賞という特別な賞において、記念品が持つ意味を改めて考えるきっかけとなった。
