パワハラ問題を抱える横浜市の山中竹春市長

 横浜市の山中竹春市長による職員や市議へのパワハラ疑惑を巡り、第三者委員会がハラスメント行為を認定した。「人にやさしい都市づくり」を掲げ、市民からの支持を集めてきたトップの陰の顔が、現役市幹部による決死の告発によって明るみに出ている。

2期目のトップを襲った異例の“実名告発”

 山中市長は2021年の横浜市長選挙で初当選。「子どもの医療費ゼロ」や「中学校の全員給食」といった子育て支援策を推進し、2025年の市長選では2位に40万票近くの差をつけて再選を果たした。

 しかし2026年1月15日、事態は一変する。当時の同市人事部長・久保田淳氏が記者会見を開き、山中市長のハラスメント行為を実名・顔出しで告発したのだ。久保田氏は当時を振り返り、「今、こうやって資料としてまとめて振り返ると、動悸や手が震えるとか、恐怖心を味わっていたんだなと思います」と胸中を明かしている。

 久保田氏によると、パワハラと疑われる行為は1期目から存在していたという。2期目を迎えた際にも、「市会議員や職員との関係性も安定してくるかなということで、改善を期待したんですけれど、残念ながらちょっと悪化しておりまして、看過できない水準に達しているというふうに私は考えております」と語り、改善の見込みがないことから告発に至ったと明かした。

「あいつポンコツだから」「死ねよ」恐怖支配の実態

 会見で明かされたハラスメントの具体例は極めて凄惨なものだった。労働時間外の頻繁な連絡など労働基準法に抵触する行為にとどまらず、市幹部に対する暴言が日常化していたという。

 久保田氏によれば、元副市長に対し代名詞として「ダチョウ」と呼び、「ダチョウがさ」「ダチョウのマネジメントが悪いんだよ」と揶揄。さらに「あいつポンコツだから」「〇〇はバカだ」と言い放ち、現職の副市長や幹部職員に対しても「人間のクズだ」と30分近く罵倒したとされる。

 暴言の矛先は市議会にも向けられていた。2025年2月、自民党の横山正人市議に対し、以下のような暴言を吐いたと告発された。

「なんで来てんだよ、あのデブ」「二頭身か?気持ち悪い」「死ねよ。あっ言っちゃった」

 久保田氏は「あまりに衝撃的だったので、私と秘書と目を合わせ、『さすがにないよね…』と」とその異様な雰囲気を語った(市長は「容姿や外見に関する誹謗中傷は行っておりません」と完全否定)。

 さらに、職員を恐怖で支配しようとする姿勢を示す音声データも公開された。2025年9月に録音された音声には、山中市長の次のような発言が記録されている。

「今までだったら俺が電話して“ふざけんなよ”って言えたんだけど、今言えないじゃない、どうすればいい?(市長)怒ってますよっていうことを、これ飛ばされるかもしれないっていうような恐怖を与える、人事部からのジャブ与えられない?」

 久保田氏は「そのあとは“粛清”という言葉も使われています。やっぱり職員を恐怖で支配しようという姿勢は、残念ながら変わっていない」と糾弾。また、市長室で1対1になった際、「お前裏切ったらコレ(銃撃ポーズ)だぞ」「俺との会話を録音したら許さない」「録音とかしてね~だろうな」「やったらコレ(銃撃ポーズ)だからな」と、指で銃の形を作って脅迫するような仕草を3回ほどされたとも明かした。

 ちなみに市長は「銃で撃つしぐさは、他人に対しては行えません。行政目線のやり方で進めるのであれば、選挙で評価された市長として“市民から退場を宣告される”、その意味で人差し指を私の頭に対して向けたポーズは、使っていました」と、自身に向けたものだったと釈明。

容姿を揶揄された市議は「市長は人間力がない」

 容姿を揶揄され暴言を吐かれた当事者である横山正人市議は、当時、週刊女性PRIMEの取材に対し、

「事実であるならば、とんでもない話ですが、怒りというよりも情けないという思いを抱きました」とコメント。「二頭身ということはミャクミャクと一緒だから、私も人気者の仲間入りができた」とユーモアを交えて返しつつも、「市長の“人間力がない”ということは先刻ご承知ですから、特段驚く話ではないです。起こるべくして起こった事案」と切り捨てた。

 また、リスクを冒して告発した久保田氏について「勇気ある行動ですし、今後は彼を守らなければいけません」と慮った。

第三者委員会の認定と今後の焦点

 今回の問題は、独立性の高い第三者機関による調査が進められ、正式にパワハラとして認定されるに至った。市議会は13日に総務委員会を開き、市長を招致して第三者調査報告書の内容に関し質疑する方針を固めたという。

「市長は今回の報告書について“重く受け止めている”と述べていますが、“自らの手で同様の問題を繰り返さない組織をつくる”と市長続投に意欲を見せています。しかし、あのあまりにもひどい暴言内容です。市民が許すとは到底思えませんね」(全国紙記者)

 約376万人の市民を抱える巨大自治体のトップが起こした前代未聞のパワハラ騒動。職員を恐怖と暴言で服従させようとした姿勢が白日の下にさらされた今、山中市長の進退を含めた責任追及の動きが議会や市民の間でさらに強まることは避けられない。