NHK職員が番組出演者から性被害を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されていた問題で、同局の対応をめぐり波紋が広がっている。
被害を訴えた職員は、休職後に復職を希望したものの、別の部署への異動が認められないなど、組織対応への不満を募らせていたという。NHKは一連の対応について「不適切だった」として謝罪したが、視聴者からは「なぜ被害を受けた側が苦しみ続けるのか」「問題が起きた経緯をもっと説明すべきではないか」といった声が上がっている。
さらにSNSでは、
《受信料を払っているのだから、説明責任を果たしてほしい》
《誰か公表して。集金の取り立てすごいんだからそれくらいは払ってる人達に対しての礼儀じゃない》
《都合の悪いことほど説明するのが公共放送では》
といった意見も見られる。NHKは、問題となった出演者について、被害者が特定される恐れがあることを理由に公表をせず、出演は取りやめ。NHKの聞き取りに対して出演者は「飲酒していたため記憶にないが、事実であれば申し訳ない」と話しているという。
「“実名を公表すべき”といった声もありますが、性被害をめぐっては被害を訴えた側のプライバシー保護や二次被害の防止も欠かせません。ただ、視聴者が求めているのは単なる人物特定ではなく、NHKが問題をどのように把握し、その後なぜ十分な対応につながらなかったのかという部分の説明。
NHKは民放のように広告収入で運営される企業ではなく、国民からの受信料を財源とする公共放送です。そのため、一般企業以上に組織運営の透明性や説明責任が求められる立場だといえます」(全国紙社会部記者、以下同)
今回、視聴者の間で広がっている不信の背景には、“被害を受けた職員がその後も苦しむことになったのではないか”という組織対応への疑問がある。
「問題は、誰か1人を追及すれば終わるものではありません。相談を受けた後、職員を守る体制が十分だったのか。組織として同じことを繰り返さないための仕組みを作れるのか。そこを具体的に示すことが、結果的にはNHKへの信頼につながると思います」
公共放送としての在り方
NHKをめぐっては、これまでも受信料制度や徴収のあり方をめぐり、視聴者からさまざまな意見が寄せられてきた。受信料を負担する側からすれば、「公共放送として求める水準の説明をしてほしい」という思いが強まるのは自然な流れともいえる。
「NHKは受信料によって成り立っている以上、視聴者から見れば、自分たちが負担しているお金で運営されている組織です。不祥事が起きた際には、経緯や対応について納得できる形で説明する姿勢が必要になる。今回の問題は、一職員の被害への対応だけでなく、公共放送として視聴者との信頼関係をどう維持していくのかが問われています」(前出・全国紙社会部記者)
被害を受けた職員へのケア、組織としての検証、そして再発防止への取り組み。NHKには今、問題の向き合い方そのものが問われている。
