中国上海市に本拠地を置くグローバル企業『楊国福グループ』。同グループは唐辛子の辛さと、花椒(ホアジャオ)と呼ばれる調味料が醸し出すしびれが人気の麻辣湯チェーン『楊国福麻辣湯』を展開している。
無断で著名人の名前を使用
8月18日、この『楊国福麻辣湯』の運営が、《臨時休業のお知らせとお詫び》と題した文書を公開し、《弊社の海外フランチャイズ店舗の開業に際し、本部の承認を得ず、ご本人の許可なく第三者の氏名を記した祝い花を店舗前に設置していたことが判明しました》などと綴った。
「8月に仙台にオープンした『楊国福麻辣湯仙台駅前店』で、鳩山由紀夫元首相や、羽生結弦さんの名前を使用した祝い花を店頭に飾っていたのですが、これらの祝い花は“店舗が独自に手配したもの”だったと説明されています。
仙台駅前店の公式Xでも謝罪の文章が公開されていましたが、多くの批判が寄せられている状況です。すでに祝い花は撤去されていますが、実際に訪問した人の中には勘違いをした人もいたようです」(スポーツ紙記者)
同店の対応について、ネット上では、
《あのフラスタ。店側がやったのか・・・。すぐにバレるのによくやるなぁ。》
《バレたら謝ればいいの精神でやってそうです》
《謝ればいいって思ってるよね。またやるでしょ。》
《こんな詐欺みたいなことやる店信用できないな 原材料とか何やってるかわかったもんじゃない》
など、厳しい声が並んだ。
著名人の名前を無断で使用し、さも、祝い花を贈られたように見せることについて、法的な問題はないのだろうか。消費者トラブルや労働問題などに詳しい、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に話を聞くと、
「著名人の名前を無断で祝い花に掲示しただけで、直ちに犯罪が成立するわけではありません。
“客をだましたのだから詐欺ではないか”という声もありますが、詐欺罪はハードルが高いと考えます。詐欺罪が成立するには、代金を支払うかどうかを客が決める際に“交付の判断の基礎となる重要な事項”を偽ったといえる必要がありますが、店頭の祝い花を誰が贈ったかは、通常、麻辣湯を注文して代金を払うかどうかの判断を左右する事柄とまではいえません。
加えて、個々の客が“祝い花を見て勘違いしたから来店・注文した”という関係を証明することも現実的ではなく、客は食事という対価も得ています。理論上の議論としてはあり得ても、実際に詐欺罪で立件されることは考えにくいというのが率直なところです」
“詐欺”以外の問題は
詐欺の罪に問うのは難しいとのことだが、別の問題があると続ける。
「むしろ現実的に問題になるのは、刑事責任ではなく『民事上の責任』です。著名人の氏名には、それ自体が客を呼ぶ力(顧客吸引力)があり、これを無断で広告・宣伝に利用することは『パブリシティ権の侵害』として不法行為(民法709条)にあたり得ます。
本人側からは、氏名の使用料相当額の損害賠償を求められる可能性があります(本件では既に撤去されていますが、掲示が続いていれば差止めを求めることも考えられます)。
また、消費者向けの表示という観点では、『景品表示法』も問題になり得ます。実際には店舗が自分で手配した花を、あたかも第三者である著名人から贈られたかのように見せる行為は、事業者自身の宣伝であることを消費者が判別できない表示、いわゆる『ステルスマーケティング規制』(2023年10月施行)に触れる可能性があり、消費者庁の措置命令の対象となり得ます」(前出・正木弁護士)
集客のための安易なウソは、有名人のファンや純粋にお店を楽しみにしていた客の信頼を一瞬で失わせる結果となるだろう。
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