物価高の影響で、回転寿司チェーンの値上げが相次いでいる。
値上げラッシュで打ち出した「くら寿司」の戦略
スシローは7月22日から一部商品の価格を改定し、「厳選まぐろ赤身」を120円(税込)~から150円(税込)~へ値上げ。うどんや味噌汁といったサイドメニューの一部も値上げした。一方で「サーモン」「いか」「えび」など人気商品は価格を据え置いている。
はま寿司も5月、「まぐろ」など一部商品を税込み110円から税込み132円へ値上げ。店舗の立地によって価格が異なり、もともとの価格設定が高い「都市型店」「都心型店」でも20~40円ほど値上げをしている。
そんな中、くら寿司が打ち出したのが、値上げだけではない“価格改定”だ。
9月4日から、110円(税込)で提供する商品を37品目に拡大する一方、115円の商品33品目を120円に値上げ。さらに、1皿で2種類のネタを楽しめる「相盛り」商品も新たに展開する。
値上げラッシュの中で、110円商品を増やすという価格改定に、SNSでは、
《娘がコーン好きだからありがとう》
《どこも値上げ一辺倒だけど、値下げも組み込んでいるからまだ納得感ある》
《子供連れで行くには助かる》
と歓迎する声がある一方、
《ド定番ネタは値上げかよ》
《結局、値上げじゃね?》
など、複雑な反応も見られる。
なぜ、値上げと値下げを同時に行うのか。くら寿司の広報担当者によると、今回、値上げとなる商品については、原材料価格の高騰が大きく影響しているという。
「物価高騰によって、どうしても値上げせざるを得ない商品が出てきたことが一番の要因です。ただ、単純に値上げするだけでは、お客様の足が遠のいてしまう。そこで、商品設計なども見直しながら、戦略的に価格改定を行っています」(くら寿司広報担当者、以下同)
今回、110円で提供される商品には、「たまご」「熟成びんちょうまぐろ」「ねぎまぐろ」「ハンバーグ」「コーン」など、子どもにも人気のメニューが含まれている。
「ご家族で利用されるお客様に向けて、できるだけお得に食べていただける商品は手ごろな価格に設定することで、家族で利用しやすい選択肢を残しました」
では、110円にできる商品は、どのように決めているのか。
「原価を安く仕入れているということではありません。全体の原価率とのバランスを見ながら、値下げできる商品については値下げしています。当社の原価率は43%ですので、仕入れ価格を抑えるというよりも、全体のバランスを見ながら商品設計をしています」
「反応を見ながら…」更なる価格改定について
さらに今回、新たに登場するのが、1皿で2種類のネタを楽しめる「相盛り」。
「サーモンを食べたいけれど、130円を出すのはちょっと……という、単品では価格が気になる商品も相盛りなどを通して、よりお求めやすい形で楽しんでいただければと考えています」(前出・くら寿司広報担当者、以下同)
今回の価格改定について、現時点での反響を聞くと、
「今のところ、特に大きな反響があったという認識はありません」とのこと。ただ、今後の価格改定については可能性を否定しない。
「今後、価格改定をする可能性はあると思います。ないとは言えません。お客様の反響を見ながら、価格や商品構成を微調整する可能性はあります」
物価高が続く中、今後も価格の見直しは避けられないようだ。一方で、キャンペーンなどで110円の商品が登場する可能性や、現在も実施している、QRコードをスキャンすることで一皿が無料になるサービスなど、同社は価格以外の部分でもお得感を打ち出している。
「できるだけ安くて、いい品質の商品を届けることを大事にしていきたいと思っています。厳しい状況ではありますが、価格改定だけではなく、商品設計を変えるなど、いろいろな工夫をして提案していきたいです。そうした取り組みを通じて、いろいろな方に足を運んでいただければうれしいです」
値上げか、値下げか――。二者択一ではなく、商品ごとに価格を調整することで、物価高の中でも「安心・美味しい・安い」のコンセプトを維持しようとするくら寿司。今回の“戦略的価格改定”が、今後どこまで消費者に受け入れられるのか注目される。
