デイサービス利用の男性とトイレの介助をめぐってトラブルに宿泊できるデイサービス施設で、職員が利用者に重傷を負わせる事件が起きた。自称・介護キャリア20年のプロは、なぜ自分をコントロールできなかったのか――。
「あのデイサービスは小規模ながら評判は悪くなかったよ。家族と同居している人も日中は家人が留守でひとりで過ごしていたりするから、施設に行って同年輩の人とおしゃべりするほうが楽しいみたい。職員は大変なことも多いだろうけど、プロなわけだし、65歳にもなってキレて手を上げちゃダメだよね」
と地元の自営業男性(74)は諭すように話す。
介助中に殴る蹴るの暴行
この65歳のプロこそ、埼玉県朝霞市のデイサービス施設の元職員・高宮昭二容疑者。今年6月、当時勤務していた同施設で利用者の男性(85)に暴行を加えてケガをさせた傷害の疑いで県警朝霞署に逮捕された。
「事件は6月24日午後7時半から翌朝7時ごろまでの間に起きました。宿泊サービスを利用していた男性のトイレ介助の際などに顔面を殴打したり身体を蹴るなどした疑いです。高宮容疑者は“言うことを聞かない相手にむかついた”と容疑を認めています」(全国紙社会部記者、以下同)
県警によると、被害男性は全治不詳の顔面皮下出血のほか、全治約3か月の安静加療を要する見込みの胸・腰椎の圧迫骨折、左肋骨の骨折を負った。ケガの程度でいえば重傷だ。
「被害男性の家族から“施設で職員から暴力を振るわれた可能性がある”などと警察に連絡が入ったのが捜査のきっかけでした」
同施設は24時間365日対応が売り。関係者などによると、容疑者は夜勤専門で週1日程度勤務する介護職員だった。身長170センチ以上で筋肉質というから、利用者の体重を支えるには頼もしい身体といえる。
「利用者向けの“クリスマス会”など季節に応じたイベントを実施していますが、容疑者は夜勤なので参加したことはないはずです。普通の職員というか、可もなく不可もなくといった印象です。乱暴な言葉は使いませんでしたし、接し方が手荒だったこともありません。逮捕後、利用者やご家族にはきちんと説明させていただきました」(施設の女性職員)
容疑者の仕事ぶり
同施設は一般住宅と変わらないつくり。ホームページでは《一見普通の民家ですから家族や親類・知人の家に遊びに来たように寛いでいただくことができます》と紹介している。
夜勤は職員1人で対応するのが基本で、事件当夜は容疑者が1人で4人の利用者を見守っていた。防犯カメラはなかった。
「逮捕後、防犯カメラを設置しました。ほかの職員はまじめに働いていますし、容疑者は結果的に事件を起こしてしまいましたが、仕事ぶりが不まじめだったわけではありません。介護キャリアは自己申告では20年です。ただ、理想が高く、こうあるべきとの思いが強いようでした。
例えば、認知症の利用者さんであれば、ある程度自由に振る舞うのはしょうがないと思いますし、決まった時間に食事をとらないこともあるでしょう。しかし、容疑者は頭の固いところがありました」(施設の責任者)
自宅は同施設から徒歩数分の賃貸マンション。「単身世帯が目立ち、入居者同士の付き合いはほとんどありません」(男性住人)という。
事件とは関係なく7月で施設を辞める予定だったといい、予定どおり退職した。アンガーマネジメントができない年齢でもないだろうに……。
