左から堺雅人、大沢たかお、鈴木亮平

 8月後半に入り、中盤戦を迎えた夏ドラマ。放送前の注目度は『VIVANT』の第2期が先行していたが、『Tシャツが乾くまで』(共にTBS系)の評価が急上昇! どちらも“考察系ドラマ”であることも話題を呼んでいる。

 もともとは『新世紀エヴァンゲリオン』『ひぐらしのなく頃に』など漫画やアニメの世界で使われ始めた、“考察系”というフレーズ。物語の随所に仕掛けられた謎や「伏線」を拾い集め、読者自身が真相や結末をあれこれ推理する作品を指す。

こだわった心理描写も高評価

 ドラマや映画に詳しいエンタメコラムニストの苫とり子さんによると、「近年はドラマでも広く使われるようになり、SNSで犯人や黒幕を予想し合うなど、新しい楽しみ方が定着しているようです」とのこと。

 そこで今回は、考察系ドラマの中で最も「よかった」ものを、30代~60代の男女500人にアンケート。あれって“考察系”なの!?と、意外な作品もランクイン!

 第5位は、主演の石原さとみが法医解剖医を演じた『アンナチュラル』(2018年/TBS系)。「不自然死究明研究所」を舞台に、解剖医たちが謎の遺体と日夜向き合う法医学ミステリーだが、「人間ドラマの要素もあって、見ていて飽きなかった」(神奈川県・女性・63歳)と、ミステリーに終始しなかった点も好評だったよう。

「まだ“考察系ドラマ”という言葉も浸透していなかった時期。謎解きだけでなく、登場人物の個性や背景も、とても丁寧に描かれていました」と苫さん。

石原や窪田正孝など豪華メンバーがそろった『アンナチュラル』

 一話完結型ながら、主人公の過去など物語全体を通しての謎も存在するのが大きな特徴だった。

「タイムリーな社会問題を取り扱うなど、物語に奥行きがあったのも魅力でしたね」(苫さん)

 第4位は、今年の冬ドラマで話題をさらった日曜劇場『リブート』(2026年/TBS系)。主演の鈴木亮平が妻殺しの罪を着せられた平凡なパティシエと悪徳刑事の一人二役を好演。整形で顔を変え、真実を追い求める異色のダークヒーロー役に挑んだ。第1話の見逃し再生回数は478万回を超え、歴代1位に。

「裏、そのまた裏、さらに先の展開を読む楽しさがあった」(千葉県・男性・65歳)など、60代男性からの支持率が高かったよう。

整形して違う人物になるという設定は、ともすれば都合がよすぎると解釈されてしまうことも。でもこのドラマは、それが効果的に機能していました。登場人物の細かい演技や心情が考察要素になっている点もよかったですね」(苫さん)

求めるのは物語としての完成度

 第3位にランクインしたのは、同名の大ヒット漫画を原作とした『ミステリと言う勿れ』(2022年/フジテレビ系)。

 物語の主人公である、ややコミュ障ぎみの男子大学生・久能整を演じたのは菅田将暉。最大の見どころは、整が自身の持つ膨大な知識と独自の価値観のみで、難解な事件の謎を次々と解き明かしていく姿だ。

「独創的な視点で事件を暴いていく様子が痛快で、毎回引き込まれた」(埼玉県・54歳・女性)と高評価も多い。

 第2位にランクインしたのは現在第2期が放送中の『VIVANT』(2023年・2026年/TBS系)。

ドラマ『VIVANT』キービジュアル

 堺雅人演じる主人公の乃木憂助は、商社に勤める平凡な会社員。しかし、国家の諜報部隊「別班」としての裏の顔も持つ。第1期では、乃木が勤務先で起きた巨額の誤送金事件の真相を追ううち、国家を揺るがす巨大な陰謀へと巻き込まれていく様子を描いた。

「最後まで誰が味方で誰が敵なのかわからず、毎回ワクワクしながら見た。第2期も楽しみ」(埼玉県・57歳・女性)など高い支持を集めた。

 見事、「よかった」1位に輝いたのは、ギャラクシー賞など数々の賞を受賞した、日曜劇場『JIN―仁―』(2009年・2011年/TBS系)。

 大沢たかお演じる脳外科医・南方仁が、ある事件をきっかけに江戸時代へタイムスリップ。満足な医療器具もない状況で市井の人々の命を救い、自らも幕末の動乱に巻き込まれていく。

「綾瀬はるか演じた咲さんの行く末がどうなったか、完結編できちんと伏線回収された点も素晴らしかった」(東京都・女性・56歳)と、第1期の放送から15年過ぎてもその感動は色あせない。

「この作品を“考察系”と捉えている人は多くないでしょう。私もそのひとりでしたが、冒頭に南方先生の前に現れた包帯の男の謎が最後に明かされるなど、謎解き要素も確かに含まれているんです」と苫さん。

 医療ドラマ、歴史ドラマ、ヒューマンドラマと、いくつもの顔を持ちつつ、一つの物語として美しくまとまっていた。

「脚本を担当したのは、映画『花戦さ』や、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』などで知られ“脚色の神”と呼べる森下佳子さん。構成力が冴えわたっていたこともヒットの要因だと思います」(苫さん)

 考察系ドラマは今まさに花盛り。ブームはまだまだ続きそうだ。

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