左から西島秀俊、広瀬すず、菅田将暉

 8月後半に入り、中盤戦を迎えた夏ドラマ。放送前の注目度は『VIVANT』の第2期が先行していたが、『Tシャツが乾くまで』(共にTBS系)の評価が急上昇! どちらも“考察系ドラマ”であることも話題を呼んでいる。

 もともとは『新世紀エヴァンゲリオン』『ひぐらしのなく頃に』など漫画やアニメの世界で使われ始めた、“考察系”というフレーズ。物語の随所に仕掛けられた謎や「伏線」を拾い集め、読者自身が真相や結末をあれこれ推理する作品を指す。

原作との違いが気になる

 ドラマや映画に詳しいエンタメコラムニストの苫とり子さんによると、「近年はドラマでも広く使われるようになり、SNSで犯人や黒幕を予想し合うなど、新しい楽しみ方が定着しているようです」とのこと。

 そこで今回は、考察系ドラマの中で最も「残念」だったものを、30代~60代の男女500人にアンケート。あれって“考察系”なの!?と、意外な作品もランクイン!

 第5位は、「よかった」ランキングで第3位に入った『ミステリと言う勿れ』(2022年/フジテレビ系)。

「原作のほうがよかった」(東京都・53歳・女性)との意見もちらほら。

原作との最大の違いは、恋愛要素を盛り込んだこと。そのため、伊藤沙莉さん演じる風呂光聖子のキャラクターが原作とは大幅に変更されました」と苫さん。

 そのほかの部分はほぼ原作に忠実だったことから、よくも悪くも目立ってしまったよう。

「恋愛要素を“ノイズ”と捉える視聴者は少なくない。賛否の分かれた大きな理由でしょう」(苫さん)

 ちなみに同じ菅田将暉主演の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)も同率5位にランクイン。

「考察に寄りすぎ」な作品も

 第3位となったのは、ベストセラー作家・湊かなえ原作の『Nのために』(2014年/TBS系)。

「ストーリーがよくわからなかった」(宮城県・男性・49歳)とあるが、同作はドラマファンにとっては長く愛され続けている名作の一つでもある。

物語の性質上、全体的に重く暗い雰囲気が漂っていたことは事実。それが敬遠されてしまった理由かもしれません。ただし、心理描写などは素晴らしかった。個人的には、大人になった今、もう一度見返してみたい一作です」(苫さん)

 同率の第3位は、「よかった」で2位に入った『VIVANT』

「話の内容が難しい」(神奈川県・32歳・男性)「堺氏の演技が暑苦しく、ワンパターン化しているように感じる」(大阪府・64歳・男性)などの意見。

 7月からは第2期がスタート。高い視聴率を維持しているものの、SNSでは、《観客の予想を裏切ることが目的となっている》と、辛口意見も少なくない。

7月26日からシーズン2が放送されている『VIVANT』(公式サイトより)

「主に第1期では別班の正体に関する謎と、主人公の別人格“F”に対する謎が考察されていました。すでにこの2つの謎が明らかになってしまったことも、第2期不評の要因かも」と苫さん。

 同作では一話ごとに一つ、大きな謎が明らかになる設定が続くが、これが裏目に出ている可能性も。

「番宣で謎解きの部分ばかりあおると、見ている側もそこさえかいつまんで理解できればいい、という気になり、全体はどうでもよくなってしまう。そうなると次第に見る気が失せてきます。第2期は今のところ、考察に寄りすぎの気もしますね」(苫さん)

 今シーズンは、2クール連続での放送となる。長丁場だけに、ここからどんな展開を見せるのか注目したい。

原作もの特有の難しさも

 第2位は、ある日突然失踪した家族を必死に捜す夫を描いた『真犯人フラグ』(2021年/日本テレビ系)。西島秀俊演じる主人公は、当初こそ世間の同情を集めていた。だが、ある日を境に状況は一変。「実は犯人では」と、疑惑の目を向けられることになる。

「最終回も含め、トンデモ展開すぎて拍子抜け」(神奈川県・69歳・男性)「奇人が多すぎ」(鳥取県・33歳・女性)と、厳しい意見が並ぶ。

 近年、“考察系”のブームを定着させたドラマは、秋元康氏が企画・原案を担当し、原田知世と田中圭がW主演を務めた『あなたの番です』(2019年/日本テレビ系)とされている。『真犯人フラグ』は、このときとほぼ同じスタッフで制作されているのだ。

『真犯人フラグ』(公式サイトより)

「“あな番”の成功体験を意識しすぎてしまいましたね。考察系では特に、登場人物の価値観や行動パターンが平凡な人間とあまりにもかけ離れることは好ましくない。“なんでもあり”になってしまい、もはや謎解きではなくなってしまうんです」(苫さん)

 奇をてらって自爆した!?

「残念」の第1位となってしまったのは、人気漫画を原作とした『クジャクのダンス、誰が見た?』(2025年/TBS系)。元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙をもとに事件の真相に迫るヒューマンドラマ。広瀬すず主演、共に事件を追う弁護士役を松山ケンイチが演じた。

「中だるみを感じた」(愛知県・59歳・男性)「こぢんまりとした展開だった」(愛知県・67歳・男性)と、酷評が並んだ。

「1~9話までは、ほぼ原作どおりで、最終回だけなぜか設定を変更していました。ただ、その意味があまり見いだせなかったところが残念でしたね」と苫さん。

 原作のある考察系ドラマはどうしてもネタバレしやすいため、爆発的なヒットとはなりにくいのだとか。

ラストを原作と変えるなら、最初からその伏線を張っておけば視聴者も期待を高めながら見ることができたはず。役者さんの力だけに頼り切った作品となってしまいました」(苫さん)

 考察系ドラマは今まさに花盛り。ブームはまだまだ続きそうだ。

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