川口春奈

 8月24日、厚生労働省が映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』とのタイアップ企画を中止すると発表した。世間からは「税金の無駄遣い」と批判の声が殺到している。

「いくら何でも不謹慎過ぎる」大炎上

 21歳でステージ4の大腸がんを宣告された、遠藤和さんの手記を原作とした同映画。主演を務めるのは俳優・川口春奈だ。

「遠藤さんはがんを宣告された後に結婚、妊娠。抗がん剤治療を中断して出産する道を選びました。そして2021年9月、24歳の若さで永眠。同映画は遠藤さんが亡くなる10日前まで書き続けた日記を元に、懸命に生きた姿を描いた作品です」(映画ライター)

 それがなぜ、批判の対象となってしまったのか――。

 騒動の発端は8月19日、厚生労働省が同映画とのタイアップを発表したことだ。厚労省は普及啓発ポスターの作成や、特設ページの開設を実施。2月に作成したパンフレット「がんの治療と暮らしを支える制度ガイド」の周知を目的とした企画だった。

 ポスターは各都道府県のがん診療連携拠点病院を中心に、関係団体にも掲出する予定だったという。ポスターには《AYA世代(15歳~30歳代)でがんと診断されたあなたへ》の言葉と共に、映画のタイトル『ママがもうこの世界にいなくても』を掲載。

「これに対して、“AYA世代ではないけど、私も癌サバイバーです。こんなポスターを病院で見かけたらショック以外の何物でもない”“いくら何でも不謹慎すぎる。亡くなること前提で治療に向き合えというのか?”“頑張って絶対に治すんだ!と思いながら日々の辛い治療を乗り越えている方に見せるポスターとしてはあまりに残酷”と、批判の声が噴出したのです」(前出・映画ライター)

相次ぐ国の“タイアップ中止”

 AYA世代のがんサバイバー・国民民主党の佐々木真琴議員は8月23日、Xに《作品のタイトルである『ママがもうこの世界にいなくても』という言葉を、国がAYA世代のがん患者に支援情報を届けるための入口として使うことには、当事者として強い違和感があります》と心情を投稿。がん闘病を経験した俳優の原千晶も《あまりにも配慮に欠けていませんか?》と訴えた。

 国とのタイアップといえば、法務省も8月21日にNetflixの恋愛リアリティショー『ラヴ上等』とのタイアップ取りやめを発表している。同番組は元暴走族や元ヤンキーなどの男女が共同生活を送り、本気の恋愛に挑むというものだ。

厚生労働省と映画『ママがもうこの世界にいなくても私の命の日記』とのタイアップポスター。批判殺到で企画は中止に(公式サイトより、現在は削除済み)

「法務省は8月5日に“更生保護”の取り組みを周知する狙いで、《更生上等!》とのキャッチコピーを掲げたタイアップポスターを発表しました。しかし、番組出演者が過去に“人に火を付けた”と明かしたことから事態は一変。大炎上となり、タイアップ中止が決定されました」(芸能ライター)

 相次ぐタイアップの中止に、ネット上では「浅はかなタイアップを中止した損失は誰が埋めるの?」「中止はいいけど、結局回収だなんだで税金の無駄違い」「どっちも普通に考えたら炎上するかもってわかると思うんだけど」など、批判の声があがっている。

 作品に罪はないが、即中止となるタイアップは“考え無し”と言わざるを得ない。