ついにセ・リーグ3位の横浜DeNAベイスターズまで1.5ゲーム差とした中日ドラゴンズ(8月26日時点)。借金14と大きく負け越してはいるものの、開幕前に野球解説者や評論家らが予想した「Aクラス入り」にも現実味ーー。
117試合を終えて51勝65敗1分けと、広島東洋カープとはゲーム差なしの最下位にいる中日。しかし序盤は首位を走っていた東京ヤクルトスワローズの失速によって、DeNAを含めた4チームによる3位争いが繰り広げられている。
2020年に与田剛氏(60)指揮の元で2位になって以降、翌年は5位。2022年から監督を務めた、立浪和義氏(57)のもとで3年連続の最下位。井上一樹監督(55)が就任した2025年も4位と“万年Bクラス”状態の中日。今シーズンもここまでBクラスが定位置となっているのだが、中日ファンは元気だ。
NPB(日本野球機構)が公式発表した、8月26日時点の本拠地・バンテリンドームでの入場者数は227万7003人と、12球団で最多の64試合消化ながら暫定3位。甲子園開催はまだ53試合と10試合少ないとはいえ、現時点では阪神タイガースを上回る入場者数。
2025年シーズンも観客動員数は252万832人と、これは実数発表が始まった2005年以降で最多の数字。つまり井上監督が就任したこの2年、中日が負けるほどにドームが埋まるという逆転現象が起きているわけだ。
さらにこの動員数は、2004年から2011年まで8年連続Aクラス入り、4度のリーグ優勝で“黄金時代”を築いた、落合博満氏(72)の“オレ竜”時代を上回る数字。この人気ぶりは井上監督の“功績”と言えるのかもしれない。
落合氏とは対照的な井上監督
「落合さんはとにかく結果にこだわった。よって現実的、時に冷酷とも言える選手起用や采配もあり、またマスコミやスポンサー対応も協力的とはいえず、“強いけども暗い”ドラゴンズの印象を与えてしまったことで爆発的人気にはならなかった。
一方の井上監督。ん?と思わせる采配も目立つも、持ち前の明るさと人間臭さもあって憎めないキャラクター。勝っても負けても感情をあらわにするだけに記事にもしやすい。そんな“弱いけども明るい”中日を応援したいファンも多い。ドームでは1試合勝っただけで、ファンはまるで優勝したかのような大騒ぎですよ」
とは、長らく中日球団を取材してきたベテランスポーツライター。なんでも井上監督は球団フロントからの覚えがめでたいようだ。
セ・パ交流戦を終えた6月14日、借金19を抱えたことで誰もが“休養”すると思われた井上監督だが、朝田憲祐球団本部長は「まだ(井上監督は)諦めていません」と涙ながらに続投を宣言。引き続き後半戦のサポートを明言した。
「かつてシーズン途中で“休養”した中日監督は、2006年に成績不信で事実上の解任となった谷繁元信(55)をはじめ数名しかいません。途中で監督を替えることは多大な労力とお金が必要。よってフロントとしては、なるたけ契約満了をもって次の監督に繋げたいのは当然のこと。
ましてや同じ最下位でも球場ガラガラの広島とは違って、黙っていてもナゴヤドームは連日の満員。経営面でもこんな“コスパ”が良い球団はありませんよ。フロントからすれば、下手にいじるよりも“このままでOK”なのでしょう」(前出・スポーツライター、以下同)
仮に阪神タイガースや読売ジャイアンツ、福岡ソフトバンクホークスなど毎シーズンのように優勝争いをするチームでは、自ずと個人タイトルに絡む選手も多くなり、当然、チーム全体の総年俸は高騰し続ける。
“ローコスト・ハイリターン”経営
片やBクラスのチームであれば契約更改も渋くなり、選手の年俸は抑えられる。2026年シーズンにおける12球団のチーム総年俸は、ソフトバンクが1位で約80億円。2位が巨人で約60億円、3位が阪神の約53億円で上位を占めている。片や中日はというと約32億円で、12位の広島東洋カープとは僅差の11位。
1位とは半分以下のチーム総年俸にも関わらず、冒頭の入場者数はソフトバンク、巨人に次いで3位。“ローコスト・ハイリターン”を実現する、フロントからするとコストパフォーマンスが高く優良経営ができているわけだ。こうなるとーー、
「一般企業なら、わざわざ上手くいっている人事を変更とはならないでしょう。となると中日でも、井上監督の続投が現実味を帯びてきます。3年契約を交わしているなら来シーズンの続投は言うまでもなく、2年契約なら今シーズンで退陣ですが、どうやら本人は折れることなくAクラス入り、すでに来季も見据えているようにも見えます。
溜まったものではないのが、中日ではいつまでもお金を稼げない選手と、最下位の現状をよしとしない、優勝を夢見て足を運び続けるファン。落合さんは“試合に勝つことが最大のファンサービス”として常勝軍団を築き、ファンを喜ばせて、選手にも稼がせてきました。しかしながらフロントは、それを第一とはしていないようにも見えますが、来シーズンはどうなることやら」
ファンはチームの勝利を臨んでドームを訪れているのは確かだろう。
