「あなたの作品もステキよ」――世界的な前衛芸術家・草間彌生さんが、かつてそう絶賛したのが、嵐の大野智。2012年の対談をきっかけに交流を深め、翌年には『24時間テレビ』のチャリティーTシャツを共同制作。草間さんが“大ちゃん”、大野が“彌生ちゃん”と呼び合うまでになった2人の、10年以上にわたる絆を振り返る。
「めったに人を褒めない」唯一の理解者
「草間さんはずっと描き続けている。その計り知れない迫力を作品から感じますね。これは中途半端では描けないなと。お話を聞けば聞くほど、深いですね」
8月27日、前衛芸術家の草間彌生さんが8月14日に97歳で逝去していたことが公式サイトで発表された。冒頭の言葉は、10年来の親交を深めていた嵐の大野智が、草間さんについて語っていた言葉だ。その迫力を思い起こさせるように、亡くなる直前まで絵筆を手放すことがなかったという。
「草間さんは、自然、愛、生と死を超えた無限をテーマに精力的に創作活動を続け、国内外で高い評価を受けていた世界的なアーティストです。めったに人を褒めないといわれ、人の作品を見ても“私の作品のほうがずっといい”と辛口な発言をすることも。
そんななかでもひときわ特別な視線を向け、作品を絶賛していたのが嵐の大野さんでした。彼に対しては“非常に才能のある方。もし芸術家になったとしても頭角を現す”と太鼓判を押し、“大ちゃん”“彌生ちゃん”と呼び合うほどの仲でした。今回の訃報を受けた大野さんのショックは計り知れないでしょう」(アート雑誌編集者)
2人の交流は、2012年に行われた対談をきっかけに始まったという。
「'12年末のNHK紅白歌合戦の企画で、当時、白組の司会だった嵐のメンバーがそれぞれゲストと対話を行い、日本やふるさとへの思いに迫るというものでした。そこから親睦を深め、翌年には大野さんが嵐としてメインパーソナリティーを務めた日本テレビ系の『24時間テレビ』のチャリティーTシャツを草間さんと共同制作したのです。
話題性はそうとうなもので、番組史上初となる100万枚を突破し、累計で124万枚以上が売れたといいます。この記録は現在も破られていません」(テレビ局関係者、以下同)
Tシャツの制作過程でも、二人の血の通ったやり取りが繰り広げられていた。
「当時、草間さんは大野さんからオファーが来たときの感動を“とてもうれしく心が高揚しました。自分の青春のまっただ中にいるようでした”と語っています。お互いの呼び方に関しても、大野さんははじめ草間さんを“先生”と呼んでいましたが、草間さんが“私のことを先生なんて呼ばないで。大したことないんだから”と拒否し、“彌生ちゃん”と呼ぶようリクエスト。
普段は見せない少女のような姿が話題を呼んでいました。大野さんも大御所の草間さんに臆することなく自然体で接していて、のちに“いい友達だと思っている”と語られるほどの存在になっています。Tシャツの完成時には抱き合って喜びを分かち合い、芸術家としてお互いが心を許し、敬愛している様子がよく伝わってきました」
大野智が打ち明けた想い
“アート”を愛する者として、分かり合えることが多かったのだろう。2人の絆は、それ以降も様々な場面で垣間見えた。
「'17年に、自身最大級の個展を開催する草間さんが大野さんと再び対談。そこで“あなたの作品もステキよ。素晴らしいと思う。歌もダンスもできて、そんなにいろいろできる人って珍しい”とベタ褒めしていました。
大野さんも草間さんの水玉模様に関して“あれはもう、すごいよね。草間さんは特別な人だから違うと思うけど、俺もね、〇を書いていて気分がいいの。ずっとできるの”と草間さんに対する畏敬と共鳴の思いを、自身の画集で打ち明けています」(前出・アート雑誌編集者)
草間さんの訃報を受け、SNS上では大野との関係性を懐かしむファンたちの投稿であふれた。
《逝去されたニュースを見て真っ先に思い出したのは智くんと24時間テレビでチャリティーシャツの制作です》
《今もホームウェアとして着ている》
《我が家の宝物です》
《天才が天才を認め「彌生ちゃん・大ちゃん」と呼べる関係になるとは》
《作成過程の彌生ちゃんと大野くんのほんわかした様子に爆笑した思い出》
《これからも伝説は永久に》
稀代の芸術家・“彌生ちゃん”と“大ちゃん”の絆は、これからも多くの人々の記憶に残り続ける――。
