10日、NHKは長期間にわたり受信料を支払っていない滋賀県の宿泊施設経営事業者に対し、約1140万円の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。対象は衛星契約50件分で、滞納期間は8年10か月に及ぶというがーー。
NHKの訴訟に疑念が再燃
NHKは訴訟にあたり「受信契約に基づく受信料の支払いを繰り返しお願いしていたが、ご理解を頂けなかったため、本日の提訴に至りました」「粘り強くできる限りの対応を行ったが、どうしてもご理解いただけなかったため、やむなく提訴に至った」と説明。
事業所を相手取った受信料訴訟は、今年に入って3件目となる。今年3月、滞納事業者への民事訴訟を7年ぶりに起こしており、以降、法的手続きを強化しているが今回の提訴の報道には受信料を巡った疑念が再燃している…。
《真面目に支払っている人との公平性を言うのであれば、まずは誰もが納得できる合理的な料金体系や、スクランブル化を含めた抜本的な改革を提示すべきで》
《ホテル旅館の受信料を間接的に支払わされてることに国民はもっと怒るべき》
《なぜ高額給与のNHK職員を給与低い庶民が養わないといけないのか》
などと、受信料への公平性を疑う声が後を絶たない。
多くの国民が受信料制度に納得していない
「NHKを視聴していなくても、テレビを持つだけで“ほぼ強制徴収”という形が不満の元でしょう。しかし、NHKの提訴は放送法という法律に基づく法的に正当な行為だという点だけに、ホテルの客室ごとの契約も最高裁が追認しています。NHKが支払いを求めるのは当然の権利行使ではありますが、多くの国民が受信料制度に納得していない点が、法的な正しさとは別問題です」(社会部記者)
NHKによれば受信料の未収件数は、2020年度以降の5年間で100万件増加。この事態を受け2025年には「受信料特別対策センター」を設置し、支払督促は前年度の約11倍となる1368件まで昇った。2026年度は全ての都道府県で支払督促による民事手続きを実施し、過去最多の規模に拡大する予定とのことだ。
宿泊施設への訴訟といえば、東横イングループとの争いだろう。客室に設置されたテレビの受信料を求めた訴訟で2019年7月、最高裁が東横イン側の上告を棄却し、計約19億3500万円の支払いを命じた二審判決が確定している。先例を見てもNHKからの訴訟に対して、大半のケースでNHK側が勝訴しており、今回提訴された滋賀の宿泊施設も厳しい立場に置かれる可能性が高いとみられる。
今年3月、スクランブル化及び受信料制度に関する見解について『読売新聞オンラインで』のインタビューでNHK・井上会長は次のように明言している。
「有料配信やスクランブル方式などとは相容れない」
法廷では勝っても、世論という土俵では厳しい目が向けられそうだ─。
