「ここまでやるか」VIVANTをパロディした鳥取県(公式Xより)

 日曜劇場『VIVANT』の作品の世界観に全力で乗っかったPRを展開する鳥取県が、SNS上で大きな反響を呼んでいる。

 9月6日、劇中のセリフにちなんだ「この鳥取砂丘を汚すやつは何人たりとも許さない!」という文面とともに、広大な鳥取砂丘を背景に、県職員10人がキャストになりきった写真が投稿された。その中には、ドラマロゴを意識したと思われる「土曜早朝 砂丘除草」の文字が。9月12日に行われる、鳥取砂丘の除草イベントの告知だ。

「別班鳥取県支部」の誕生秘話

 この高クオリティかつ清々しい“便乗”に、《平和で健全な任務の遂行、応援しています》《私も別班入りたい》《鳥取県ののっかりかた好き(笑)》といった好感の声が集まった。

 鳥取県では観光戦略課の取り組みの一環で、ドラマにちなんだ「別班鳥取県支部」を結成。阿部寛演じる野崎守役に「似ている」と評判の県職員がポーズを決める写真を次々にSNSで発信するほか、鳥取砂丘駐車場には『VIVANT』のロゴモニュメントを設置。県内で撮影に使われたロケ地を「考察」するキャンペーンなど、PR施策は盛りだくさんだ。

 そもそも、どのようにして、このような振り切ったPRが生まれたのだろうか。「別班鳥取県支部」が誕生したいきさつを、鳥取県観光戦略課に直撃した。

「『VIVANT』は、鳥取県内でも撮影が行われていることから、ドラマの注目が高まるタイミングで鳥取県の認知度向上や観光PRにつなげたいという思いがありました

 特にこの作品は、ストーリー展開やロケ地などについて、視聴者自身がSNSで考察合戦を繰り広げたり、情報を発信したりする傾向があるため、『鳥取県がロケ地になりました』『遊びに来てください』と一方的な発信ではなく、ドラマの世界観に入り込み、『別班鳥取県支部』というパロディ風の設定で情報発信することにしました。

 実際に、『VIVANTごっこ』や『別班鳥取県支部」の動画はSNS上でも大きな反響があり、『鳥取県、ここまでやるのか』といった反応もいただいて、多くの方に楽しんでいただいているところです」 (鳥取県観光戦略課担当者、以下同)

 この例を見ない画期的な取り組みに、地元の方や県職員の方はついていけているのだろうか。

「最初は、『ここまでやるのか』という戸惑いもあった職員もいたはずですが、平井知事も含め『VIVANTごっこ』に出演している職員も、やるからには中途半端にせず作品の世界観を楽しみながらやろう、という意気込みで収録を実施しました。実際、動画を公開すると、県内外からさまざまな反応をいただき、出演した職員自身も反響に驚いているところです。

 また、県民の皆さんからも、『面白い』『鳥取県らしい』『ここまでやるのがいい』といった反応をいただいています。

 これまで鳥取にあまり関心がなかった方にも、『鳥取県って面白いことをやっているな』と感じてもらえれば、それだけでも大きな意味があると思っています」

『別班鳥取県支部』による任務「砂丘除草」とは

 今回話題となった、「砂丘除草」。近年、鳥取砂丘は雑草の繁茂により砂の移動が減少して、美しい砂模様が見られにくくなっているようだ。美しい景観を保つために、除草が必須だという。

「2004年からボランティア除草を開始し、砂丘の景観や環境を守るため、県民の皆さんや企業・団体、学校、観光客など、毎年3000〜4000人を超える多くの方に参加していただきながら除草活動を行ってきております。

 一方で、今回、本県の『VIVANTごっこ』の取り組みがSNS上で大きな話題となったこともあり、これまで砂丘の環境保全に関心がなかった方にも、楽しみながら知っていただこうと考えました。そこで『別班鳥取県支部』による任務という設定を使い、『鳥取砂丘を守るための特別任務』という形で『砂丘除草』を発信しました。

 12日は、とっとり県民の日でもあります。実際に砂丘に来て、除草活動に参加することで、鳥取砂丘は当たり前に今の姿が保たれているわけではなく、多くの人が守っている場所だということを体感していただくほか、ふるさとの宝であり、わが県の一大観光地である鳥取砂丘の魅力を改めて知るきっかけとなることを願っています」

鳥取砂丘はラクダに実際に乗れるなど大人気の観光地

 ドラマの放送回数も重ね、熱量も高まる中、今後はどのような展開で鳥取を盛り上げていく予定だろうか。

「まずは『VIVANT』の放送を楽しみにされている皆さんに、鳥取県内のロケ地や観光地を実際に訪れていただきたいと考えています。

 また、『VIVANT』をきっかけに鳥取を知っていただいた方に、ロケ地だけでなく鳥取砂丘をはじめ、県内各地の観光地や食、温泉、アクティビティなどにも足を延ばしていただきたい。さらに『VIVANT』のふるさとでもある、お隣の島根県をはじめ、他のロケ地とも連携しながら、一人でも多くのファンに鳥取県を訪れてもらえるよう取り組んでいきたいです」

 12日には、平井伸治知事も「砂丘除草」に参加するとのこと。ボランティア除草は9月26日、10月3日にも予定されている。砂丘にいち早く駆けつけて、「別班員」として特別任務に励み、そして鳥取で羽を伸ばしてみてはいかがだろうか。