『風、薫る』毎週月〜土曜、朝8時〜(NHK総合)ほか放送中 ※土曜は1週間の振り返り

 放送中の朝ドラ『風、薫る』。日本初のトレインドナースとなったりん(見上愛)&直美(上坂樹里)は家族、仲間、愛する人……大勢に支えられながら“看護とは何か?”を模索し、派出看護の道を切り拓いていく。

『風、薫る』 クランクアップ後インタビュー

 9月25日の最終回を前に、先月クランクアップを迎えたふたりの心の内は?

■ ■ ■

─約1年にわたる撮影を終えた今、何をしたい?

上坂 何もしない(笑)。大きなものを終えて、ぽっかり心に穴があいて。寂しい気持ちもあるけど、やりきった実感や達成感があります。

見上 私は旅行に行きたいです。ちょうど1年前、那須でクランクインしたときには毎日、温泉に入れるのがすごく幸せだったので、また那須に戻って温泉旅行ができたら幸せだなと思います。

─バディとしての関係性や信頼はどのように深まっていった?

見上 日々の積み重ねの中で、どんどん信頼関係も芽生えていって。なんとなく、お互いに何を考えているかがテレパシーのようにわかってきて(笑)。それは、りんと直美の関係性につながるところでもあって。そして、自分のことよりも、“樹里ちゃんは今、何を考えてるんだろう?”と気にする時間が自然と増えていって。それはすごく幸せなことで、すごく不思議な感覚です。

上坂 お休みの日に、スーパーやお菓子屋さんで“これ、愛さん好きそう”とか、自然と考えるようになって(笑)。そして愛さんに月曜のリハーサルで会うと“これあげる”っておいしそうなお菓子をいっぱいくれたり(笑)。そんな掛け合いが当たり前のようになっていたのが、いちばん大きかったなと思っています。

─朝ドラの主人公を演じきった経験は、今後の俳優人生にどんな影響があると思う?

見上 まだあんまり終わった実感が湧いていなくて。その感覚を得るために、取材前に(NHKの)スタジオを見せてもらいました。もう、まったく何もない状態を見ても“来週からまた始まるんじゃないか”という気持ちになってしまって(笑)。

 本当にりんというひとつの役の人生に向き合い続けた1年でした。りんの強さや柔軟さ、その思考回路に助けられる瞬間がいずれ来るかもしれないなと思ってはいます。ただ、今はまだ本当に実感が……(笑)。なんだかひとりだけ取り残されちゃってるみたいで恥ずかしいし、寂しい(笑)。

上坂 私ももちろん寂しい! この直美という役と出会えて、1年間同じ役を生きさせてもらって。お芝居以外でも感謝しきれないぐらい、たくさんの方に支えてもらって。この先、お仕事でもそうじゃないときも、自分の中で悩みや大変なことにぶつかったときに、この1年間の経験が支えになってくれると思っています。

見上愛・上坂樹里が振り返る名場面

ふたりが振り返る名場面

見上愛:りんとシマケンの再会

 りんとシマケンの関係に、視聴者はやきもきさせられまくり。突然の別れを経て、約7年後に再会を果たす。

一ノ瀬りん役を演じた見上愛

見上「再会シーンは自分でもどんな表情をしているのかわからないくらい、何とも言えない気持ちになって。ものすごく気まずいのと同時に“生きていてよかった”という安心感。そして“そもそも、なんでいなくなったんだろう?”というモヤモヤが一気に頭の中を駆け巡るような感覚で。

 私自身もすごく胸がざわつくシーンでした。手紙ひとつくらいくれればよかったんですけど、シマケンさんも(笑)。

 “もう何も思ってない”とふたりとも心の整理がついていたと思うんですけど、いざ話すと、気まずさの中にあのころの思いや、恋愛感情とは別の軸でお互いを思いやる気持ちが出てきたなと思っています。またこれからふたりの関係性に変化も生まれるので、注目していただけたら」

上坂樹里:つらすぎた吾郎の死

 孤児として育った直美にとって、本当の家族ができた吾郎との結婚。しかし息子・明を産んでほどなく、吾郎の死が伝えられた。

小川直美役を演じた上坂樹里

上坂「本当に苦しかったですね。吾郎さんとのシーンは幸せな新婚生活から最後、直美がひとりでボタンをつけるまで、ほぼ順番どおりに撮ったので。この先の展開がわかっているから、何げないふたりのシーンは余計つらくて。

 私はその撮影期間中、泣くことを我慢するのにすごく苦労して。誰かに声をかけられるだけで、吾郎さんの姿が浮かんでしまって。やっぱり直美にとって、いちばん愛した人ですし、強さも弱さも教えてくれた大事な人。その死は受け入れがたく、苦しくてたまらない。そんな気持ちでした。

 いつもボタンが取れていたのも、吾郎さんが直美のつけている姿を見たかったからで。それも吾郎さんらしくて“ずるいな”“許したくないけど、そんなところを好きになったんだよな”と。ふたりらしい最後だったなと思います」