温かみのある低音ボイスと、どこか浮世離れしたチャーミングな人柄で親しまれた森本レオさんが、9月4日に83歳で亡くなった。所属事務所は「原因不明の突然死ではありましたが、とても穏やかな顔で旅立ちました」と発表した。
語り継がれる「異文化交流」発言
亡くなる2週間ほど前の8月下旬にも、マイペースな日常を過ごしていたと『NEWSポストセブン』が、9月2日付の記事で報じたばかりだった。
住み慣れた東京・高円寺の街をブラリと散歩していた森本さん。カフェに入ると雑誌や新聞を90分かけてじっくりと読み込み、帰路につくところで『ポストセブン』の記者に声をかけられ、身体を気遣う問いかけには「元気なふりをしている」と、独特の美学を込めた言葉で微笑んでいたという。
そんな森本さんだが、かつて世間を大きく驚かせた“騒動”があった。2002年、当時59歳だった彼が、自宅マンションで美術系の学校に通う20代の女性と同棲していると『女性セブン』(2002年5月9・16日号)が報じた。
当時、すでに妻子とは長年別居中だったとはいえ、30歳以上も年の離れた女性との生活に世間は騒然。しかし、『女性セブン』の直撃インタビューに応じた森本さんの受け答えは、どこまでも独特なものだった。
「彼女は絵描きで、絵の話をするのが楽しい」
「愛人というと失礼で、感覚的には友だち」
後日、集まった報道陣の前で放ったのが、語り継がれることになる「異文化交流」というワードだった。
連日ワイドショーをにぎわせて、今で言う“炎上”状態となったが、彼が語っていた真意はスキャンダラスなものではなく、極めて温かな人間讃歌でもあった。
後に『週刊現代』(2002年6月8日号)のインタビューでは、森本さんはこうも語っている。
「ふつう、ひとりでしょぼしょぼ食べてるより、楽しい人たちと、のどかに食べてるほうが幸せでしょ」
「物を食べるのも、人と人との関わりも異文化交流。お互いの“まなざし”を育て合うのが付き合いの基本なんだよ」
彼にとって、人と出会い、同じ時間を過ごし、一緒にご飯を食べることが人生最大の「異文化交流」だったのだ。世間が「不倫だ」「同棲だ」と騒ぎ立てようとも、森本さんは純粋に、誰かと温かい食卓を囲む幸せを大切にしていただけなのかもしれない。
その生き方は、人生の“ラストページ”まで変わることはなかったようだ。亡くなる直前も、女性マネージャーと仲よく昼食を済ませて、商店街で買い物をする穏やかな時間を楽しんでいたという森本さん。
世間の雑音に惑わされることなく、最後まで「誰かと楽しく食事を共にする」という“愛すべき言い訳”を貫き通したのだった。あの優しく包み込むような声とチャーミングな笑顔は、これからも私たちの記憶の中で生き続けていくだろう。
