9月1日、秋篠宮家の次女・佳子さまは、関東大震災と東京大空襲の犠牲者を追悼する「秋季慰霊大法要」に出席された。
「佳子さまは2019年以来2度目の参加となり、これまでに秋篠宮ご夫妻も参加されてきました。この日はグレーのスカートスーツに、黒い帽子とパンプス、一連のパールネックレスを合わせたフォーマルな装いで、手元には白い手袋を着用されていました」(皇室担当記者)
紀子さまや高円宮家の久子さまも手袋を着用しお焼香されていた
同大法要をめぐっては、ある場面にSNSなどで疑問の声が上がっている。
「佳子さまが手袋を着用しお焼香された場面に対して、《手袋をしたままご焼香ですか?》《また手袋したままご焼香してるよ》《こういうのを見る度に側近は何してるんだと思う》など、マナー違反を指摘する声が上がっています。初参加となった2019年にも同様の声が多く上がっていました。しかし、同大法要では、過去に紀子さまや高円宮家の久子さまも同様に手袋を着用しお焼香をされていたこともあります。佳子さまお一人だけでないことを踏まえれば、皇室のなかで共有されている作法と一般的な作法との間に、違いがあると考えるのが自然ではないでしょうか」(前出・皇室担当記者)
では、一体どのような皇室特有の背景が考えられるのだろうか。ある皇室ジャーナリストは次のように語る。
「これは葬祭に関する国際儀礼上の公式ルールであるプロトコルに則ったものだと考えられます。洋装は明治時代以降に取り入れられ、宮中では外国の賓客などに対応するために、時の皇后・昭憲皇太后が積極的に推奨してきた背景があります。近代化・国際化が進行していた当時において、洋装のプロトコルに従うのは当然のことでした。その慣例が現在にも引き継がれているというのが基本的な考え方で、今回に限らず、神社の玉串も皇族方は洋装の場合は手袋をつけてされています」
西洋のプロトコルではグローブをするのが正装
得度も修了したマナー解説者の西出ひろ子さんは、洋装のフォーマルな場面では手袋を着用するのが正式なプロトコルだとしたうえで、仏教におけるお焼香について次のように語る。
「お焼香には、香によって身や心を清め、仏さまや故人、ご先祖さまに敬意や真心を捧げる意味があります。仏教では、人の行いを「身・口・意」、つまり身体・言葉・心の三つに分け、「三業」と呼びます。お焼香の際にも、形だけではなく、姿勢や言葉、心を整えて向き合うことが大切です。また、仏教には「塗香(ずこう)」といって、香を身体につけて身を清める作法もあります。したがって仏教的な考え方でいけば、本来お焼香は直接手に取って行うのが好ましいと言えるでしょう。ただ、時代は多様化しており、ネイルを隠すために手袋をすることも問題視されにくい状況にありますし、そもそも怪我や病気など様々な事情で手袋を着用する方もいます」」(西出さん、以下同)
マナーに唯一の正解というものはなく、型ばかりに着目し「どれが正解か」と議論するのは本質的な問題ではないという。さらに、「どのように振る舞うかということ以上に大切なことがある」と続ける。
「仏教にも様々な宗派がありますが、どの宗派でも共通していちばん大切にしているのは"心"です。マナーはTPOだけでなく、立場や相手に応じても変わるものですから、今回のケースも慰霊大法要という場、皇室というお立場などの背景を踏まえれば、白い手袋でお焼香されることは当然成り立つと言えるでしょう。日本でお焼香する場面において違和感を持つ方が多くいらっしゃる気持ちもよく理解できますが、皇室の方々が公の場でお焼香をなさる際には、その場を踏まえ、事前に必要な確認や準備をなさった上で臨まれているものと考えられます。また西洋のプロトコルではグローブをするのが正装ですので、このようなケースも実際に不適切なことではないというのがというのがマナーの観点からお伝えできます」
一般的な常識と皇室の伝統――。マナーをめぐる批判は度々起こるが、相手を思いやり、想像する心こそがもっとも大切なマナーだといえよう。
