愛知県名古屋市で開催される第20回アジア競技大会(公式HPより)

9月19日に開幕する「愛知・名古屋2026」で、海外選手の宿泊をめぐる混乱が相次いでいる。中国選手が約12時間食事を取れなかったほか、タイの選手が宿泊先に入れず床で待機する事態も。約1万7000人が参加する大会で、開幕直前に浮かび上がった受け入れ態勢の実情とは――。

床で寝る選手たち

 9月19日に開幕する第20回アジア競技大会「愛知・名古屋2026」。45の国と地域から選手らが集まる一大イベントだが、開幕を目前に、海外選手の宿泊をめぐるトラブルが相次いでいる。

「中国男子体操の張博恒選手は、来日後の手続きに5~6時間を要し、予定していた宿泊先にもすぐ入れなかったとSNSで明かしました。結局、別のホテルの部屋を確保。食事も長時間取れず、約12時間空腹だったそうです」(スポーツ紙記者、以下同)

 タイのセパタクロー代表でも、宿泊予定だったクルーズ船「コスタ・セレーナ」で名前が宿泊者名簿に確認できず、チェックインできなかったと報じられた。選手らが船内のロビーらしき場所で寝ころびながら、待機する姿もSNSで拡散されている。

質素すぎるご飯を余儀なくされたスタッフや選手たち(Xのユーザーより)

「宿泊だけではありません。提供される料理も、ブロッコリーや鶏肉が数個と、春雨ときゅうりとみられるおかずが少量。それに白米がセットになった献立だったといいます。選手やスタッフが追加で取ろうとしても、『Only one』と制止される場面もあったそうです」

 開幕を前に、選手を迎える宿泊環境そのものにも厳しい声が出ている。

 約2000人を受け入れる予定の木造コンテナ型宿泊施設について、韓国バスケットボール協会のチョン・ジェヨン副会長が「歴代最悪」と指摘。身長2メートルを超える選手は、ベッドの上で足を伸ばすことさえできないと訴えている。

「韓国代表選手の部屋では配管から水が漏れ、床が水浸しになったとも。名古屋市を記録的な大雨が襲った際には、コンテナ型宿舎から一時避難した選手もいたそうです」

 こうした宿泊環境が用意された背景には、今大会ならではの事情がある。

 今回は通常のオリンピックのような選手村を新設せず、ホテルやコンテナ型宿舎、クルーズ船に選手・関係者を分散して受け入れる方式。クルーズ船には4000~5000人が滞在する予定で、コンテナ型宿舎には約2000人が入る計画だ。

運営との食い違い

宿泊施設にチェックインできず、床で寝ころんで待機する選手たち(Xのユーザーより)

 大会当初は約1万5000人の参加が見込まれていたが、OCA(アジア・オリンピック評議会)が「テックボール」と「パデル」を正式競技に追加。参加者は1万7000人近くになる見通しとなった。

大村秀章・愛知県知事は8月、当初確保していた予算は1万5000人分だったとして、増えた人数に対応する予算や宿泊施設の確保について難しさを示しました。

 しかし、その後、OCAと大会組織委員会は、7月の登録期限までに登録した1万7000人余りの選手・関係者全員について、大会にふさわしい宿泊施設を用意したと発表。最終準備も予定通り進んでいると説明していただけに、実際の現場とのギャップが浮き彫りになっています」

 競技追加や参加者数の増加が、個々のトラブルにそのままつながったと断定することはできない。ただ、当初の想定を超える規模となった大会で、選手を受け入れる準備がどこまで整っていたのか、疑問が残る状況だ。

 開幕後は、現場で何が起きていたのか。登録手続きや宿泊先への案内、OCAと日本側の情報共有などを含め、今回の混乱に至った経緯について、より詳しい説明が求められそうだ。