9月10日、「令和8年度第1回官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(国内)」が都内で実施された。
外務省に「差別的」の苦情
「今年が米国同時多発テロ事件の発生から25年、バングラデシュ・ダッカ襲撃テロ事件から10年の節目の年であることから開催されました。当日は、訓練のほかにも『たびレジ』という国外での情報を配信するサービスの広報活動も行われたようです」(全国紙社会部記者、以下同)
しかし、訓練の様子が外務省の公式SNS上に投稿されると、掲載された写真の内容が“差別的ではないか”との声が多く上がったのだ。いったいなぜかというと……。
「訓練でテロリスト役を務めた男性の服装が、特定の民族を想起させるという指摘が相次いだのです。犯人役の男性は、口元を黒い布で隠し、頭に『クーフィーヤ』というアラブ諸国の男性が使用するアイテムを身に着けていました」
実際にXでは、
《差別的な表現をやめてください》
《特定地域の服装をしている方をテロリスト役にするのは偏見を助長します》
《テロリストはこの衣装でなければいけない事情はあったのでしょうか?》
といった批判的な意見が。
バングラデシュ・ダッカ襲撃テロ事件の実行犯が公開された際には、犯人がそうしたアイテムを身に着けていたことはあった。しかし、わざわざその場面を想起させるような写真を、なぜ公式SNSへ掲載したのだろうか。『差別的』という指摘がされていることも併せて外務省へ問い合わせると、以下の回答が来た。
「令和8(2026)年9月10日に実施した“『たびレジ』及び在留届に関する広報動画の公開”及び“官民合同テロ・誘拐対策実施訓練(国内)”に関する外務省報道発表における犯人役の写真について、様々な発信がなされていることは承知しています。
今回の訓練における犯人役については、日本人及び外国人で構成される等、その衣裳も含め特定の民族や地域、宗教等を念頭に置いたものではありません。誤解が生じたとすれば全く本意ではなく、関連の写真を削除しました」
外務省が明かした訓練の裏側
実際、外務省のXとインスタグラムからは当該の写真が削除されていた。今回のようなテロを想定した訓練は、長年行われていたものだったと外務省は続ける。
「“官民合同テロ・誘拐対策実施訓練(国内)”については、緊急事態発生時における官と民の連携強化を目的に、平成28(2016)年7月のダッカ襲撃テロ事件の教訓を踏まえ、中堅・中小企業関係者を主な対象として平成30(2018)年から国内における訓練を、毎年実施しているものです。
海外に渡航・滞在する邦人への脅威が多様化する中で、当該訓練の意義は益々重要になっているものと認識しており、先般当該訓練を実施しました。海外邦人の保護は外務省の最重要責務の一つであり、今後とも引き続き全力を尽くして参ります」
SNS上では《外務省に問い合わせた》との投稿もチラホラ。どのくらい批判的な意見が来ているのかも尋ねたが、
「ご質問の照会の件数等については“批判的”の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかでないため、網羅的にお答えすることは困難です」
との回答だった。国外の人々にとって日本の顔となる外務省。テロ対策訓練の重要性が高まる一方で、多様性への配慮や発信方法のあり方も問われている。
