小磯勝弥 撮影/山田智絵

数十年前。今よりもずっと、みんながテレビに夢中になっていた時代に、画面の中でけなげな姿を見せてくれていた彼ら。親戚の子どものように感じていた人も多かったのでは? 今どうしているのか……。本人たちに直撃しました!!

小磯勝弥『たけしくんハイ!』(NHK)

 日焼けした顔に、はにかむような眼差しの少年が日本中を魅了した昭和の夏。最高視聴率は25%という、国民の4人に1人が見ていた計算になる「怪物番組」の主人公、後に「世界のキタノ」となるビートたけしの少年時代を演じた小磯勝弥。

 あの印象的な表情について、「父ちゃん(故・林隆三さん)の酔っている演技がおかしくて、笑うのを我慢していただけなんです」と、撮影当時の思い出を話してくれた。

 2歳半のころ、人見知りを案じた母が、児童劇団に入れたことがきっかけで芸能界へ。「『ヴイックス ヴェポラップ』のCMの撮影では、ベッドに入ったら、本当に寝てしまって(笑)。目覚めて、子どもながらにとても焦ったのを覚えています」(小磯、以下同)

 以降、順調な子役人生のスタートを切ったが、中学1年で抜擢されたのが、ビートたけしのエッセイをもとにしたドラマ『たけしくんハイ!』だ。オーディションではなく、以前仕事をしたことがあるNHKのプロデューサー直々の指名だったという。

「小学生の役を、中学生の僕が演じることにちょっとびっくりしましたが、僕の雰囲気がいいんだ、ということでオファーが来たそうです」

 大ヒットとなり続編まで作られることになった同ドラマでは、原作者であるビートたけしや、第二の母として今も親交が続く木の実ナナらとの出会いがあった。

「たけしさんは、当時から超有名人だったのにとにかくシャイで。でも僕には優しくしてくれました。別の仕事でお会いした際も気さくに声をかけてくれましたね」

 ドラマのスタート時、木の実ナナは39歳。初の母親役だったが、下町が舞台の本作は、下町出身の彼女にぴたりとハマった。

「結婚の際にはナナさんに証人になってもらいましたし、『たけしが“兄ちゃん”に結婚報告する』というテレビの企画で、たけしさんの実兄の北野大さんに会いに行ったこともありました」

「役者を続ける」理由

 俳優としての心構えを授けてくれたのは前出の父ちゃん・林隆三さんだ。

「『この世界(芸能界)は浮世離れしているから、自分をしっかり持て』と。僕の信念である『納得いくまでやり通す』というスタンスは、この言葉があったからこそ。僕は自分が売れたいとかではなく、人の役に立ちたいと思って役者を続けているんです。

 不動産広告の校正や、イベントの企画運営、そして10年ほど続けている合気道の指導も、誰かのためになることだからと思って続けています」

「たけし」として数々のCMにも出演した

 同じく俳優の妻との間に、5歳、3歳の息子2人がいる。

「彼らが芸能界に入りたいと言ったら、止めはしませんが、厳しい世界ですから親としては複雑に思うかもしれません。でも先日、長男が保育園で、『桃太郎』の桃太郎役を演じたんです。一緒に練習していると、もう、グッときちゃってね(笑)」と、目を細める。

 芸歴50年を超す彼が、一つ後悔していることがあるという。『続・たけしくんハイ!』から「たけしの初恋の相手」として出演した後藤久美子と、ある雑誌の撮影でのこと。スタッフに彼女の肩に手を回すポーズを求められたものの、「たけしくん」そのままのシャイさがたたり、触れることさえできなかったという。

「やっておけば、いい思い出になったんですけどね(笑)」

こいそ・かつや 1972年生まれ、埼玉県出身。日本大学芸術学部映画学科演技コース卒業。2歳半で「東京宝映」に入団。大正製薬「ヴイックス ヴェポラップ」のCMでデビュー後、子役として『宇宙刑事シャリバン』(テレビ朝日系)、『愛の滑走路'81』(TBS系)などに出演。1985年『銀河テレビ小説 たけしくんハイ!』(NHK)の主人公のたけし役で一躍人気者に。北野武監督『あの夏、いちばん静かな海。』にも出演。現在は俳優と不動産広告の仕事を両立。

出演情報 ・ユーキース・エンタテインメント製作のプライスレス企画第5回公演『ウィル(will)』 日時:10月28日(水)〜11月1日(日) 場所:東京・アトリエファンファーレ高円寺


取材・文/合田みれい