細山貴嶺 撮影/佐藤靖彦

数十年前。今よりもずっと、みんながテレビに夢中になっていた時代に、画面の中でけなげな姿を見せてくれていた彼ら。親戚の子どものように感じていた人も多かったのでは? 今どうしているのか……。本人たちに直撃しました!!

細山貴嶺『おはスタ』『世界一受けたい授業』

「太いけど細山です!」

 お坊ちゃま風の服に大人顔負けの口調で、バラエティー番組に引っ張りだこの存在だった細山貴嶺。当時「ぽっちゃり子役」というキャラクターといえば「細山くん」だった。だが、年齢を経てダイエットに成功。「普通の体形」になる。

「テレビの企画でダイエットをし、すぐに痩せることができたんです。その後、高校の夏休みに本格的に取り組み、最大時の108キロから、最終的には54キロまで落としました。

 確かに太っていることは仕事において僕の特性でしたが、仕事が減る不安よりも、僕自身がどういう姿でいたいか、そして自分に自信を持ちたいという思いのほうが強かったです」(細山、以下同)

 体形と、芸能界にいるという立場のせいで、学校では壮絶ないじめも受け、自殺未遂もしたという。

「ですが、子役の仕事を否定するつもりはありません。仕事を通して、周囲の大人の意図や要求を読み、それに応える受け答えをする力をつけたことは、大学の入試や、就職活動の面接でも活かされました」

 慶應義塾大学に現役で合格。新卒で外資系金融機関に入るものの、現在はスタートアップ起業家として、獣医師と飼い主に向け、診療についてイラストやアニメーションを使ってわかりやすく説明するITサービスを提供する仕事に舵を切った。

 それは、特殊な環境ゆえに孤独でもあった幼少期、寄り添ってくれた動物たちの役に立ちたいという「心の声」に従った結果だ。

「母が動物好きだったこともあり、猫や犬、アヒル、ピグミーマーモセット、ミニチュアホースなど、いろんな動物を飼いました。金融業界で、大企業を相手にお金を動かすのは大きな仕事ですが、それをやるのが僕である必要はないと思いました。収入は減りましたがこれが僕の道だと胸を張って言えるよう、課題に取り組みます」

今は母の方が有名!?

 芸能界で過ごしたことは、大きな財産だ。

「同じく子役だった杉田かおるさんは『インターナショナルスクールで培った英語力を披露するのは今ではなく、先までとっておいたほうがいいよ』と助言してくれました。

 また、くりぃむしちゅーの有田哲平さんは、『これからもこの世界でやりたい』とお伝えした僕の声を覚えていてくれて、番組の共演の後押しをしてくれたそうです。芸能界に入れてくれた母も含め、僕を守り、育ててくれた大人たちがいることに感謝しています」

子役時代に神木隆之介とドラマで共演したことも

 そんな彼の母は、Netflixの恋愛リアリティー番組『あいの里』シーズン1に出演した「みな姉」だ。

「母があの番組の収録に参加していた際は、僕と妻で母の家の猫を預かっていました。今では母と街を歩いていると『みな姉ですか?』と声をかけられ、誰も僕には気づきません(笑)。でも、それでいいんです。自宅では妻と保護猫と穏やかに暮らしながら、仕事ではしゃべることができない動物たちを幸せにしていきたいと考えています」

 蝶ネクタイならぬ、会社のロゴ入りTシャツで胸を張る「細山さん」だ。

ほそやま・たかね 1994年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業。赤ちゃんモデルを経て2歳からタレント活動を開始。「ぽっちゃり子役」として一躍人気者に。新卒で外資系金融機関「ゴールドマン・サックス」に就職。資産運用会社、京都大学イノベーションキャピタル株式会社を経て、現在は動物医療のITサービスなどを手がける「VetsBrain」の副社長に就任。

取材・文/合田みれい