左から明石家さんま、木村拓哉、松嶋菜々子

 公開中の映画『さとこはいつも』でトリプル主演の一人、石田ひかりの夫役を筒井道隆が演じている。1993年の大ヒットドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)で恋人役だった2人が、33年を経て夫婦に。“あすなろ世代”には、たまらなくエモいキャスティングだ。

 そこで、50~60代の男女500人を対象に、ドラマ史に残る名コンビの中から「再共演が見たいベストカップル」を調査。あの恋の続きを見たいのか、まったく別の関係を演じてほしいのか。寄せられた声とともに、テレビウォッチャーのカトリーヌあやこさんにトップ5の魅力を聞いた。

曖昧なままの2人に決着を

 5位は木村拓哉&松たか子(43票)。『ラブジェネレーション』(1997年/フジテレビ系)では、反発しながらも惹かれ合う哲平と理子を演じ、『HERO』(2001年ほか/フジテレビ系)では型破りな検事・久利生と、彼に振り回される事務官・雨宮として絶妙なバディぶりを見せた。

「2人ともコミカルで息がぴったりだった」(大阪府・65歳・女性)、「『HERO』が大好きなので、続編が見てみたい。年月がたった今、しっかり結ばれた赤い糸を描いてほしい」(神奈川県・54歳・女性)と、今も“その後”が気になる人が多い。

「'07年の映画ではキスをしたのに、'14年の第2シリーズでは松たか子さん演じる雨宮が不在。'15年の映画で再会したときは8年間会っていませんでした。2人は結局どうなったのか、一番気になるカップルです」(カトリーヌさん)

 木村と松なら、久利生と雨宮の続編でなくても見てみたいという。

「小泉今日子さんと中井貴一さん主演の『最後から二番目の恋』(2012年ほか/フジテレビ系)のように、友達以上恋人未満の大人が会話を重ねる物語も似合いそう。今の2人だから出せる空気感を味わいたいです」(カトリーヌさん)

 4位は『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)の木村拓哉&山口智子(48票)。結婚式当日に花婿に逃げられた南と、彼女が転がり込んだ部屋に住むピアニストの瀬名の恋模様が社会現象に。

「当時を思い出してワクワクする。どちらもまだ若々しいから楽しそう」(東京都・62歳・男性)、「今でも実力があるから安心して見ていられる」(沖縄県・51歳・女性)という声が。

「“何をやってもうまくいかないときは、神様がくれた長い休暇だと思って”という瀬名の言葉や、アドリブといわれるキスシーン。最終回は視聴率36・7%を記録し、まさに国民的ドラマでした。『ロンバケ』と『SMAP×SMAP』が同じ1996年4月15日に始まったことも、木村さんとフジテレビの黄金期の幕開けを感じさせます」(カトリーヌさん)

 2人は2018年の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)で元夫婦役として再共演している。見逃した人はこちらも必見だ。

 今回、木村は2組でランクイン。「相手役が誰でも、見ている側を恋している気持ちにさせる力がある。ラブストーリーが似合う人なんです」とカトリーヌさんは分析する。

華やかな時代を映した名作

 3位は『やまとなでしこ』(2000年/フジテレビ系)の堤真一&松嶋菜々子(55票)。貧しい少女時代を送り、玉の輿を狙うCAの桜子と、数学者への夢を断念して鮮魚店を継いだ欧介。住む世界の違う2人が恋に落ちる姿に、「本当の恋人のように感じた」(京都府・60歳・女性)、「経験を重ねた2人のかけ合いが見たい」(愛知県・62歳・女性)との期待が集まった。

松嶋菜々子と堤真一、『やまとなでしこ』の制作発表会見('00年)

「華やかな服を着て合コンに励む桜子が、実は古いアパートで暮らしているというギャップも面白かった。条件のいい男性との結婚を目指してCAになる設定には時代を感じますが、計算高いヒロインなのに、視聴者は欧介と結ばれてほしいと願った。夜の公園に忍び込む場面なども印象的で、きれいなラブストーリーでした」(カトリーヌさん)

 2位は『東京ラブストーリー』(1991年/フジテレビ系)の織田裕二&鈴木保奈美(65票)。「今度はぜひドラマの中でくっついてほしい」(福岡県・50歳・女性)、「年月を経た2人の物語を見てみたい」(東京都・55歳・男性)と、結ばれなかったリカとカンチの未来を望む声が目立つ。

「小田和正さんの主題歌のイントロが流れただけで、当時の記憶がよみがえります。携帯電話がなかったから、すれ違いがドラマになり、配信もないから月曜9時に間に合うよう帰宅した。みんなが同時に見て、翌日は職場や電車の中で話していました。ハッピーエンドではなかったことも、いつまでも心に残る理由でしょう」(カトリーヌさん)

 柴門ふみの原作には、50歳になった2人が再会する続編もある。ただし、カトリーヌさんは「再ドラマ化して安易に恋の決着をつけなくてもいい気もします」と話す。見果てぬ恋だからこそ、リカとカンチは永遠なのかもしれない。

1位は離婚しても“最強のコンビ”

 そして1位は、『男女7人夏物語』(1986年/TBS系)、『男女7人秋物語』(1987年/TBS系)の明石家さんま&大竹しのぶ。2位に40票差をつけ、105票を獲得した。

 ドラマの共演を機に結婚し、離婚後も家族ぐるみの交流を続ける2人。「離婚したけど、なんだかんだ仲がよさそう。微妙な関係で共演してほしい」(鹿児島県・61歳・女性)、「年齢を重ねてからの再会シーンに共感できそう」(栃木県・59歳・男性)など、劇中と現実が重なる2人ならではの声が並ぶ。

「言い合いながら惹かれ合う様子は、アドリブかと思うほど息がぴったり。大竹さん演じる桃子は、“面白い女だから好きになる”というヒロインの元祖かもしれません。大竹さんには、共演者を好きにさせてしまうような魔力があります」(カトリーヌさん)

 近年もさんま出演のCMに『男女7人』の名場面が使われるなど、愛され方は変わらない。

「別の作品でも見たいと思わせるのは、俳優同士の相性がよく、2人がそろったときに魔法のような相乗効果が生まれたから。場面とともに、見ていたころの自分まで鮮明に思い出せるのだと思います」(カトリーヌさん)

 石田&筒井も、今なお『あすなろ白書』の共演者と連絡を取り合い、石田は筒井を「みっちゃん」と呼ぶという。若い日に同じ作品に参加した関係は、学生時代の仲間にも似ている。年齢を重ねた俳優同士が再会するとき、視聴者の思い出をなぞるだけではない、新しい名カップルが生まれるかもしれない。

取材・文/西野風代

カトリーヌあやこ 
漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など