この秋こそ効く値上げ対策

「以前は4月と10月が価格改定の山でしたが、今年はすでに9月から大きな波が来ていて、10月もさらに続きます」

値上げはこの秋も止まらない

値上げラッシュの一方、お米は価格が下落傾向。主食に上手に取り入れて食費を抑えよう

 こう話すのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。帝国データバンクによると、10月に値上げが予定される飲食料品は3033品目。9月の4923品目に続き、2か月連続で3000品目を超える。2026年の値上げ品目は11月までの判明分で1万9083品目に達し、年間では前年の2万609品目を上回る見通しだ。

「原材料だけでなく、包装資材、物流費、エネルギーコストなど、複数の負担が商品価格に転嫁されています。食品と光熱費を合わせると、家庭によっては月5000~8000円ほど生活費が増える可能性があります」(丸山さん、以下同)

 10月は、しょうゆ、みそ、つゆなどの調味料、冷凍・チルド食品、菓子、ヨーグルトなどが対象に。江崎グリコは「ビスコ」など169品目を3~15%、東洋水産は「マルちゃん焼そば3人前」など生麺・チルド商品195品目を約8~14%引き上げる。ライオンも「クリニカ」など歯みがき、洗剤を含む159品を4~25%値上げする。

加工食品の“常連組”から距離を置く

特売の肉や野菜は小分けして冷凍。安い日にまとめて買ってしっかり節約

 丸山さんがまずすすめるのは、買う量をただ減らすのではなく、値上がりしやすい商品の選び方を変えること。

「パン、冷凍食品、菓子、カップ麺など、小麦や油を使い、加工の工程が多い食品は値上げの常連です。できるだけ加工されていない食材を選び、自炊の割合を増やすことを意識するといいでしょう。

 代わりに、昨年より価格が落ち着いてきた米に注目。主食を米に戻し、比較的価格が安定している豆腐や納豆などの大豆製品、もやし、きのこ、卵、鶏むね肉、豚こま肉を組み合わせれば、栄養と食べ応えを保ちながら食費を抑えやすいと思います」

 生鮮品は安い日に買い、食べ切れない分を冷凍。きのこや小松菜、いんげんなどを小分けしておけば、弁当や副菜にもすぐ使える。冷凍食品を買うのではなく、“自分で冷凍食品をつくる”のもよさそう。

PBは製造者を確認 “安さだけ”で選ばない

「PB商品(スーパーなど小売業の独自ブランド商品)を選ぶのも手。ナショナルブランドが先に値上げし、PB商品の値上げは少し遅れることがあります。裏面の製造者を確認すると、大手や老舗メーカーがつくっている商品もあります。

 まずは調味料や日用品など、試しやすいものからお気に入りを探すといいでしょう。ただ、大容量のものは、使い切れず捨てると節約は逆効果なので、家族の消費量と保存場所を考え、期限内に使えるかも考慮しましょう」

 パッケージ変更に伴う、旧商品などが並ぶ見切り品棚も一度確認するとよさそう。今回の値上げで気をつけたいのが酒類。10月1日に酒税も改正される。350ミリリットル当たり、ビールは約9円減税される一方、発泡酒は約7円、新ジャンルは約16円、缶チューハイなどは7円増税される。

「“お酒が上がるから”と全部を買いだめするのは早計です。発泡酒や缶チューハイは値上げ前の購入も選択肢ですが、ビールは減税されるので待ったほうが得。晩酌をするなら、焼酎などを炭酸水やお茶で自分好みに割る方法もあります」

 嗜好品をすべて禁止すると、節約は長続きしない。飲酒の回数や量を決め、“何を残し、何を減らすか”の優先順位をつけることが肝心だ。

日用品は“いつもの品”だけ買いだめ検討

 買い置きに向くのは、食品より腐りにくい日用品。毎日使う洗剤や歯みがきなど、値上げ対象になっている定番品なら、置き場所を確保したうえで少し多めに買うのは有効だ。丸山さん自身も、洗濯洗剤は4リットルの業務用を購入し、普段のボトルに詰め替えて使っているという。

「通販サイトのセールやクーポンで業務用が安くなる場合があります。でも、“安いから”初めての商品を大量に買うのは失敗の可能性もあるので、使い慣れたものに限りましょう」

 自治体指定のごみ袋も、地域によって10月から値上げされる。自治体の発表を必ず確認し、対象なら必要量を前倒しで買う手もある。
“買わない日”は節約をゲームに変える

 丸山さんが実践しているのが、買い物に行かず、お金を使わない「ノーマネーデー」だ。冷蔵庫や食品庫にあるものだけで献立を考え、次の買い物までの間隔を延ばす。

「買わなければ、お金は減りません。家にある食材をどう組み合わせるか、ゲーム感覚で考えると楽しいですよ。使い切りたい食材をレシピアプリや動画サイトで検索すれば、献立も見つかります」

 ねぎや青じそなどの薬味は、少量でも買うと高く、余らせがち。ベランダや窓辺で育てれば、必要な分だけ摘める。丸山さんは100円ショップの種からオクラや青じそを育て、食卓に活用している。無理な我慢より、買わずに済む小さな仕組みを増やすことが、値上げに負けない家計につながる。

「予算が限られるときほど、お金の優先順位を見直して。あるものを最後まで使い切り、食品ロスを減らす。節約は“使わない苦しさ”ではなく、“工夫する楽しさ”に変えられます」

教えてくれたのは丸山晴美さん

節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん

節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費節約アドバイザー。雑誌やテレビ、講演会で節約術やお金の管理運用などのアドバイスを行う。『50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します』『節約の作法 年100万円必ず貯める55の知恵』など著書多数。