「やっぱり、美空ひばりさんの歌は本当にいい歌がたくさんあって」
と、穏やかに話し始めた氷川きよし。『東京キッド』から『川の流れのように』まで、ひばりさんの名曲をカバーした新アルバム『氷川きよし 美空ひばりを歌う』(9月2日発売)が好評を博している。
「戦いながらスターの道を歩まれたことをひしひしと感じました」
「ひばりさんがご健在だったら、今年は歌手生活80周年なんです」
氷川とひばりさんは直接的な面識はないが、レコード会社の先輩・後輩。昨年の『NHK紅白歌合戦』ではひばりさんの『愛燦燦』を、4月まで行った座長公演(『氷川きよし特別公演』)ではひばりさんの名曲メドレーを披露した。カバーアルバム制作にあたり、息子の加藤和也さんにも会いに行ったという。
「日本中、世界中……万人の心に残る名曲をたくさん残されて。他界されて37年になりますが、ずっと歌い継がれ、決して忘れられることのない伝説のアーティスト。でもひとりの人間としての加藤和枝さん(ひばりさんの本名)も知りたいなと思って。お話を伺うと、戦いながらスターの道を歩まれたことをひしひしと感じました」
少女時代には、その圧倒的な歌唱力に“バケモノのたぐい”と言われたり、公演中に観客から塩酸をかけられたこともあったひばりさん。
「ご本人の歴史を思うと、ものすごく傷ついただろうなと思います。カリスマ的成功の裏では、嫉妬もされていて。苦しみも哀しみも、すごくあったんだと思います。だからこそ、人の心を打てる歌をたくさん歌えたんだと思います。
自分はそんなひばりさんがひとりの人間として好きで。この1曲1曲を、ひばりさんの人生と重ねながら、そしてみなさんの人生とも重なるように、氷川きよしという歌声を通して聞いていただきたいと思いました」
互いにさっぱりとした性格ゆえに、もし、実際に会えていたら意気投合し、可愛がってもらえたことだろう。きっと本作を、ひばりさんは天国で喜んでくれているはずだ。
「そうだったらいいなと思います。“あなた、ちょっと歌下手じゃない?”って思われていたら、どうしよう(笑)」
ひばりさんが健在だったら、今年89歳。
「まだまだ元気な方も少なくないご年齢。改めて、本当にお会いしたかったです。ひばりさんは52歳という若さで旅立たれましたが、自分もあと3年したら52歳。だから、いろいろ考えるんですよね。
その年までに何を残せるか? どういう目標を立てるか? 氷川きよしという看板を背負いながら、ひとりの人間としての幸せとのバランスをどう取っていくのか? 歌手としての充実も、人間としての充実も大事だから。日々、人間性を磨きながら、心身共に健康に。長く歌い続けていきたいと改めて思っています」
49歳の誕生日は?
9月6日、49回目の誕生日にはLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でライブを行った氷川。公演の後はどう過ごしたの?
「友達がお祝いをしてくれました! 回転寿司にパッと行って。いちばん最初に食べたのは、芽ネギ。さらに芽ネギ、芽ネギ! 大好きなんですよ。お寿司屋さんに失礼かもしれないんですが(笑)。あとは納豆巻きやマヨコーンなんかも好きですよ」

