あごの歪み(写真はイメージです)

症例数42万件から導き出した全身の不調に関わる原因、それは「あご」にあり。あごが歪んだままでは疲れは取れず、さらにメンタルにまで悪影響を及ぼす。モデルやスポーツ選手も多く施術する柔道整復師・歯学学士である薩摩先生がたどり着いた、あごの歪みをリセットする、最良のメソッドをお届けする。

長年酷使されてきたあごは非常に歪みやすい

「“ストレートネックで首や肩がこる”、“疲れが取れない”、“太りやすい”、“不眠ぎみ”など、30代後半以降の心身の不調の根源の9割は“あご”にあります。個人的には、あごを正せば老いが止まるとすら感じています」

 そう話すのはさつま骨格矯正グループ総院長で、柔道整復師であり歯学学士でもある薩摩宗治先生。薩摩先生は42万件以上の症例を診る中で、あごが心や身体に大きな影響を与えることに気づいたそう。

「いろいろな症状を訴える患者さんに施術をする中、あごをしっかり整えた患者さんの状態は目に見えて違ったんです。つらい症状がらくになるのはもちろん、むくみが取れて小顔になったり、顔や身体の左右の歪みが整ったりと、いい意味での副作用がたくさんもたらされることを実感しました」(薩摩先生、以下同)

 薩摩先生いわく、あごは身体イチの働き者だそう。

「あごは頭蓋骨とあご関節でつながり、口を開閉するだけでなく、左右にも動く複雑な構造をしています。不安定な構造でありながら、食べ物を食べるだけで一日に1800回以上も動かしている部位です。

 ものを噛む力は男性で約70キロ、女性で約40キロともいわれており、相当な負荷がかかっています。また、話す、笑うときも、あごは顔の筋肉と連動しながら常に動いています。長年酷使されてきたあごは、個々のくせも影響し、非常に歪みやすいのです」

 薩摩先生の患者は8:2の割合で女性が多く、女性の中でも40代以降の年代がボリュームゾーンだという。

「スマホやパソコンの長時間使用の影響でストレートネックになり、食いしばりであごが歪んでいる方が多いですね。ストレートネックと聞くとあごは関係ないと思われるかもしれないのですが、ストレートネックで頭が前に出ると、首だけでなく、あごを支える筋肉にも負担がかかります。

 その結果、あごの位置や噛み合わせのバランスが崩れ、食いしばりやあごの緊張を招くこともあります。また、あご周辺の緊張は首の筋肉に影響します。首とあごは互いに関連し合っているんです」

 なぜ、あごを整えると心身の不調が緩和されるのだろうか。

「あごは顔だけでなく頭や首、肩の筋肉とも連動しています。例えば、食いしばりであごが緊張したり、長年にわたって片側だけで噛むことであごのバランスが崩れたりすると、その影響が周囲にも広がり身体や心の不調につながることもあります。あごをゆるめてバランスを整えることで全身の余計な力が抜け、心身の不調の軽減につながるんです」

 あごの歪みを改善するために、薩摩先生がおすすめするのが左ページの「あごトレ」。

「日々、食事をしたり話をしたりする上で酷使されているあごは、毎日リセットをしないと歪んでしまいます。ぜひ2週間あごトレを続けてみてください。顔や身体に何らかの変化を実感できるはずです」

 マッサージをしても、すぐにこりがぶり返す、身体の疲れが取れないといった人はぜひトライして。

あごが歪む習慣

・下を向いてスマホを使う
・片方で噛む
・頬づえをつく
・足を組む
・座りっぱなし
・片側だけでカバンを持つ

2週間で効果を実感!? 薩摩先生流のあごトレメソッド

 あごトレでセルフケアを行うとあごの歪みが改善され、不調の緩和に。身体の不調だけでなく、小顔効果も期待でき、変化を実感できるはず。

1・目の周辺や側頭部の緊張具合をチェック

「両手の指の腹を両目にあてて眼球をやさしく押し、目の出っ張り具合をチェック。交感神経が優位な状態では目の周囲や側頭部、あご周辺の筋肉が緊張しやすくなるため、眼球が前に張り出しているような感覚を覚えたり、左右で眼圧の違いがわかることも。やさしく押すだけで目の疲れも取れます」(薩摩先生)

2・首の後ろをつまんであごを自然な位置に

「首の後ろを10回ほど手のひら全体を使ってつまみましょう。首の後ろには頭の位置を細かく調整する筋肉があるため、この周辺が緊張すると、頭や首、あご周辺にも力が入りやすくなる。首の後ろをつまんで刺激を入れると力みが抜け、首とつながる頭や顔まわりがはずんで、あごが自然な位置に戻りやすくなります」

3・耳回しであごをゆるめる

「両手の親指と人さし指で両方の耳をしっかりとつかみ、前回し、後ろ回しに10回ずつゆっくりと回しましょう。耳のまわりにはあごを動かす筋肉があり、耳を回して刺激を与えることであごまわりの緊張や、癒着がほぐれ、あごの疲れや歪みをダイレクトに緩和できます」

耳まわしであごをゆるめる イラスト/二階堂ちはる(『疲れはあごが9割』より)

4・側頭部を上に向かってマッサージしてあごを動きやすく

「両手の人さし指から薬指までを両側の側頭部(耳の上からこめかみ周辺)にあて、軽く力を入れて引き上げるような感覚で10回ほどマッサージを。側頭部には下あごにつながる“側頭筋”があり、上に向かってやさしくほぐすとこわばった筋肉がゆるんであごが動きやすくなり、歪みの緩和につながります」

5・ベロ体操で筋膜をリセットする

「足を腰幅に開いて立ち、利き手で反対側の手首をつかんで下に引っ張り、同時にあごを上げて舌を天井に向けて伸ばし、30秒キープ。あごや顔と関係が深い背中から額へとつながる筋膜のバランスを整えることで全身の歪みにアプローチします。終了後は1と同様に、眼球の状態をチェックすると変化を感じられるはず。1~5のトレーニングを1日3回行って」

ベロ体操で筋膜をリセットする イラスト/二階堂ちはる(『疲れはあごが9割』より)

目も一緒に

「目と首の筋肉は連動しているので、ベロ体操をしながら目を左右に動かすと首の深部にも刺激が伝わります。目の下のたるみにも効果があります。首の緊張はあごの位置や動きにも影響するため、目を動かすことで首からあごにかけての緊張がゆるみ、左右のバランスが整いやすくなりますよ」

『疲れはあごが9割 24時間戦う脳と身体をリセットする技術』薩摩宗治著/東洋経済新報社

取材・文/熊谷あづさ 

薩摩宗治先生 さつま骨格矯正Group総院長。柔道整復師・歯学学士。帝京医学技術専門学校卒業後、接骨院での修業を経て2002年に開業。43歳で歯科大学に入学し歯学学士を取得。柔道整復師と歯科咬合学を融合させた「さつま式メソッド」を提唱。現在は渋谷恵比寿本院ほか、4医院を経営。