9月29日、中日ドラゴンズの井上一樹監督が2年連続のBクラスの責任をとって、今シーズン限りでの辞任を表明。同時に、10月のドラフト会議に向けて現戦力を整えるかの如く、6選手に対して来季の契約を結ばない、いわゆる「戦力外通告」を伝えたことも併せて発表された。
2023年のドラフトで2位指名された津田啓史選手をはじめ、飛躍が期待された20代半ばの選手も“クビ”を通達されたとあって、あらためてプロの世界の厳しさが物語られる。CS終了後にも再度、人員整理が行わる見込みだが、今回の「戦力外」に名前がなかったことで“逆に落胆する”野球ファンもいる。
《根尾は戦力外になるかと思ってた なんにせよ、中日からは出た方が良いと思う》
《根尾残すんだ。早く手放してやれよ。育成能力ないんだから》
《根尾はもう名古屋から解放してあげてほしい》
2018年のドラフトで4球団競合の末、ドラフト1位で中日に入団した「根尾昂投手が戦力外にならなかったこと」を不満とする、一定数の声がXで上がっているのだ。もちろん、彼らは“根尾憎し”ではなく、むしろ“根尾のため”に声を上げている。
2019年から指揮をとった与田剛監督のもと、入団会見での「ショート一本」との本人の宣言通り、遊撃手のポジションでプロ生活をスタートした根尾。2軍で練習、実戦を積み重ね、一軍でもシーズン終盤に2試合に出場してルーキーイヤーを終えた。
立浪政権下で「投手転向」も
すると2年目の2020年、与田監督は根尾の遊撃手に見切りをつけたのか、早くも外野手にコンバート。それでもプロ初安打を記録すると、翌年にはキャリアハイの72試合に出場してプロ初本塁打もマーク。打率.178と打撃に課題は残ったものの、プロ3年目の選手としてファンも成長を暖かく見守った。
転機を迎えたのは4年目の2022年シーズン。新たに立浪和義監督が就任し、当時の片岡篤史2軍監督のもとで「投手転向」を指示されたのだ。大阪桐蔭高校時代には甲子園で2年連続の優勝投手も経験しているだけに、確かに投手としてのポテンシャルは高かったが、この決断が野球人生を大きく変える。
主に中継ぎとして25試合に登板して防御率3.41と、まずまずの結果を残してみせるとオフに年俸550万円アップの1850万円で契約更改。投手としての可能性を見出すも、2023年から2025年までの登板はわずか9試合。2026年も9試合の登板に終わり、シーズンのほとんどを2軍で過ごした。現時点で1850万円がキャリアの最高年俸となっている。
プロ野球選手として全盛期を迎える20代後半に差し掛かり、“球界の至宝”は未だ輝くことなく、平均年俸5000万円の職場において今季は1050万円と稼げているとは言い難い。それだけに根尾に環境を変えることを薦める、中日球団にも「解放」を求められているわけだ。
球界のファーム事情にも詳しいスポーツライターは「もちろん、岐阜県出身だけに中日でスターになるのが理想」と前置きしつつも、
「球界関係者、野球ファンから将来を嘱望された甲子園のスターだけに、与田さんや立浪さんら首脳陣、そしてフロントも“1日でも早く、どのポジションでもいいから一軍で活躍させなければ示しがつかない”、そんな焦りにも近い育成、起用法にも見えました。
そもそも野手は大学か社会人から指名することが多い中日で、高卒野手で絶対的なレギュラーに育ったのは近年では岡林勇希くらい。来季で27歳を迎える根尾です。もし球団に“覚醒”させる手立てがなく、このまま2軍で選手寿命を費やすような状況ならば、戦力外でなくとも、せめて現役ドラフトに出してあげてほしい」
中日で躍動する“現ドラの星”
戦力外通告の第1次期間は10月9日まで、2次期間はCS終了後から10月30日までで、その間に放出がない場合はトレード、もしくは12月に予定されている「現役ドラフト」が移籍のチャンスとなる。
「今シーズンも24本塁打(9月30日時点)を打って気を吐いた細川成也も、24歳の時に横浜DeNAベイスターズから現役ドラフトで中日入り。2023年から4年連続20本塁打を打つなど移籍で野球人生が変わった1人で、今季も年俸1億3000万円とプロ野球選手としてのリスタートを成功させました。
正直なところ、私には根尾が中日で躍動する未来は見えませんし、4球団が1位指名したポテンシャルがあれば、他球団で投手としての再生、また野手への再転向も可能性がないわけでもない。おそらく井上監督の後任に委ねることになると思いますが、まずは10月のドラフト会議の成果次第になるのではないでしょうか」(前出・スポーツライター)
ストーブリーグの主役として、再び争奪戦になるのだろうか。
