9月の東京都心で毎日降水が観測されるなど、長雨が続いた2026年の秋。天気予報などで繰り返し報じられたのが「線状降水帯」というキーワードだ。気象庁の発表によると、今年5月以降、北海道から沖縄まで、日本各地で線状降水帯による記録的な大雨が発生したという。
河川の氾濫や土砂災害など、甚大な被害をもたらした「線状降水帯」とはどのような現象なのか。気象予報士の山口晃平氏に聞いた。
「線状降水帯とは、雨を降らせる積乱雲が次々と発達し、列のように線状に並んだ雨域を指します。同じ場所で積乱雲が何回も発生し、停滞することで、広い範囲で長時間にわたって激しい雨が降るのです」
では、これまでよく耳にしてきた「ゲリラ豪雨」とはいったい何が違うのか。
「線状降水帯」と「ゲリラ豪雨」との違い
「『ゲリラ豪雨』という言葉自体、気象庁が使用している正式な用語ではないのですが、積乱雲が狭い範囲で急速に発達して起こる、局地的な激しい雨という意味で使われています。それに比べて、線状降水帯は発生する積乱雲の数が多く、長時間に及び広範囲で雨が降り続くという特徴があります」(山口氏、以下同)
一般的にゲリラ豪雨と呼ばれる“局地的な大雨”と比較して、線状降水帯は規模が大きいことが特徴として挙げられるようだ。近年は「線状降水帯」という言葉を耳にする機会が増えたように感じるが、これには理由があるという。
「気象庁が線状降水帯に関する情報を発表するようになったからでしょう。発生情報や、最近では半日前予測や直前予測も出されています」
今年5月から気象庁は、線状降水帯が発生する可能性が高まっていることを発生の2~3時間前を目標に知らせる『線状降水帯直前予測』の運用を開始。今夏に例年よりも身近に感じられるようになったのは、こうした背景によるものだといえそうだ。
一方で、線状降水帯による大雨の発生自体が増加しているというわけではないのだろうか。
「気象庁が線状降水帯の発生を発表し始めたのが最近のことなので、昔と比べることが難しいんです。ただ、1時間に80ミリ以上降る“猛烈な雨”は、これまでよりも増えているといえます」
日本中で「経験したことのない大雨」
千葉県では浸水や冠水、土砂崩れなどの被害が頻発しているが、山口氏は全国的に警戒が必要だと話す。
「今後も線状降水帯を含む極端な大雨が増えていく可能性があるので、警戒が必要です。雨の日が増えるというよりも、降るときは一気に大量に降るというイメージでしょうか。雨の降り方も変わってきているように思います。条件さえそろえば、豪雨はどこでも起こりうるものです。すでに被害が出ている地域に限らず、経験したことのない大雨が日本の至るところで発生する可能性は十分にあるといえます」
地域を問わず、大雨への油断は禁物ということ。各自がしっかりと対策を取っていく必要がありそうだ。
