「もっとお金があったらいいのに」と願う人は多いもの。しかし、真言宗天明寺の住職・鈴木べんもうさんは、「金運アップを願うなら、お金そのものを追いかけてはいけない」と語る。では、豊かさを招くにはどうすればよいのだろうか。仏教の教えから、そのヒントを探ってみたい。
お金を追いかけるより人のために行動する
お金は人生に欠かせないものだが、日本では「お金を稼ぐこと」や「お金の話題」を直接、口にするのを避ける風潮がある。
一方、心の中では「もっとお金が欲しい」「金運を上げたい」と願っていたりもする。では、お金とどう向き合うのが、正解なのだろうか。今回、そのヒントを、仏教の教えから示してくれたのが、真言宗の阿闍梨・鈴木べんもうさんだ。
「仏教では、必要以上にお金を追い求めることは、“執着”につながると考えます。お金そのものを追い求めても、金運はつかめない。まずは人のために行動する。その積み重ねが“徳”となり巡り巡ってご利益として返ってくる。その結果のひとつがお金なのです」(鈴木さん、以下同)
お年寄りに席を譲る、困っている人に声をかける。そうした小さな行動でよい。農家なら、自分が作った作物を人に分ける。大工なら、自分の技術を人のために生かす。大切なのは「自分が持っているものを、人のために差し出すこと」だという。
「もちろん、だからといってすぐに『お金』が返ってくるとは限りません。『ありがとう』の言葉だったり、相手の喜んでいる姿だったり、返ってくるものはさまざまです。それでも、そうやって人のために何かをしていると、周囲の人との間に『お互い様の関係』ができていきます。そこから人との縁が生まれ、結果として仕事や金運にもよい影響を与えるのです」
人のためにしたことが、巡り巡って自分にも返ってくる。そうした循環こそが、金運につながっていくのである。
金運を支える柱は健康・人間関係・仕事
金運アップを考えるとき、まず大切にしたいのが「健康」「人間関係」「仕事」の3つだと鈴木さんは語る。しかもこの3つには順番がある。
「すべての土台になるのが『健康』。体調が悪ければ、人に優しくしたり、誰かのために行動したりする余裕もなくなります」
心と身体を満たし、健やかな状態をつくること。そのうえで大切にしたいのが「人間関係」だ。自分にできることを人のためにする「利他の心」が、人との縁を育んでいく。そして、その縁がやがて「仕事」にもつながっていく。
「仕事の基本は、『世の中にあったら便利なもの』『人が喜ぶこと』を提供することです。そこから生まれた評判や信頼がまた新しい仕事の縁を呼ぶのです」
金運アップのためにも、こうした日々のあり方を整えることを意識したい。
仏教には、心を整え、日々の行動を後押ししてくれる「真言」という言葉がある。そこで今回、鈴木さんに、「健康」「人間関係」「仕事」それぞれにまつわる真言を教えてもらった。
「真言は、サンスクリット語(古代インド語)に由来する、仏様の知恵そのものを表した言葉です。仏教では、悩みや願いに応じて真言を使い分けてきました。真言を唱えることで、仏と心が通じ合うとされています。気持ちを落ち着けるために、ふとしたときに何回か唱えてみる。日常生活に真言を取り入れることをおすすめしています」
必ずしも仏教を信仰する必要はないという。
「仏教以外の信仰をお持ちの方でも、唱えていただけます。真言には、それぞれゆかりのある仏様がいますので、その仏様がまつられている寺院をお参りする際にも、ぜひ唱えてみてください」
「足るを知る」が豊かさにつながる
最後に鈴木さんは、現代社会を生きる私たちに、こう語ってくれた。
「今は、SNSなどを通して、人の暮らしや持ち物、仕事ぶりが目に入りやすい時代です。すると、つい他人をうらやましく感じたり、『自分には足りないもの』ばかりを探したりしてしまいがちです。人のことがよく見える世の中だからこそ、自分がすでに持っているもの、自分の足元を見てほしい。『足るを知る』という気持ちがあれば、必要以上にものを欲しがったり、不必要な買い物をしたりして、お金を失ってしまうこともなくなります」
お金を増やすことだけに目を向けるのではなく、すでに自分が持っているものに気づき、それを人の役に立てるように生かす。その視点こそが、豊かさへの第一歩なのかもしれない。
「整理整頓」の習慣が金運を整える
金運アップの習慣として、心がけたいのが身の回りの整理整頓。財布やバッグの中を整理し、持ち物やお金の出入りをしっかりと把握することが、お金とのよい関係をつくる近道だ。
金運を引き寄せる3つの真言
金運をもたらす柱となるのは「健康」「人間関係」「仕事」。心を整える真言を、それぞれゆかりのある仏様とあわせて紹介。生活の合間に、何回か唱えてみて。
●健康を願うとき/薬師如来
オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ
心身の病を癒したいときに。自分自身の健康だけでなく、家族など大切な人の健康を願うときにも。
●人間関係を整えたいとき/観音菩薩
オン・アロリキャ・ソワカ
人間関係の苦しみを根本から改善したいときに。観音菩薩は、悩みを抱える人に慈悲の心で寄り添い、導いてくれる存在とされる。
●仕事で力を発揮したいとき/虚空蔵菩薩
オン・バザラ・アラタンノウ・オン・タラク・ソワカ
記憶力や才能を開花させたいときに。勉強や創作活動、仕事で自分の力を発揮したいときに唱えるとよい。
取材・文/田島えり子
鈴木べんもうさん
真言宗豊山派天明寺住職。2004年、檀信徒数26件で無住職だった天明寺(群馬県前橋市)の住職に就任。2022年には檀信徒数3000件を超える寺へと再生させる。YouTube「丸儲け住職-ブッダの教えで人生好転-」は登録者数17万人を超える人気チャンネル。
『読むだけで金運が上がる! 仏教的お金の引き寄せ』(KADOKAWA/税込み1980円)
