9月25日、千葉市の幕張メッセ国際会議場で開かれた「世界医学検査学会」にご出席された愛子さま

《女性天皇を認める皇室典範の改正を行うこと》

 南信州にある人口約9000人の町、長野県飯島町議会で女性天皇を認める旨を盛り込んだ意見書が9月17日に可決され、国会に提出された。

地方から国に波及していけば、“愛子天皇”実現の可能性も

「地方議会は自治体の意思として意見書を国会に提出することができます。国民の8割以上が支持しているにもかかわらず、女性天皇についての議論は“棚上げ”にされてきました。だからこそ、意見書という形で一石を投じた今回の動きは全国初の事例として注目されています。こうした声が地方から国に波及していけば、“愛子天皇”実現の可能性も高まっていくかもしれません」(皇室担当記者)

 発起人は共産党の浜田稔議員。その背景について、国会に対する問題提起がしたかったと語る。

「国会での審議は非常に短く終わったうえに、国会議員が地元の生の声を聞いたわけでもない。一方でネット上では皇族への中傷も目にし、さまざまな議論が飛び交って話が錯綜する中で、一度“論点の整理”を投げかけたいと思いました。天皇の地位を規定しているのは憲法であり、われわれは憲法の下で暮らしています。その土台に立ち返ってみると、第1条には“天皇は日本国民統合の象徴”、第14条には“男女平等”が謳われており、“国民の統合の象徴であるにもかかわらず、国民の約半分にあたる女性を排除するのはおかしくないか”と。地方自治法では、国・県・市町村の関係に上下は定めておらず、住民は地方議会を通じて国会に意見書を提出できるので、この権利を最大限活用し、地方議員の賛否も公表すべきだと思いました」(浜田議員、以下同)

 この事例を参考にしようと、浜田議員のもとには複数の訪問者があったという。

いくつかの自治体から“意見書の文案を見せてほしい”と連絡が

「いくつかの自治体から“意見書の文案を見せてほしい”と連絡がありました。草案も共有していますので、すでに実現に向けて動いている議会もあるのだろうと思います。当議会の本会議の様子も動画で公開予定ですので、今後こういった動きは全国的に増えてくるかもしれません」

5月27日、晩餐会で隣の男性と笑顔で会話される愛子さま(宮内庁提供写真)

 7月の改正皇室典範成立時にもその手法が後押しとなったと解説するのは、成城大学文芸学部の森暢平教授だ。

「改正を推進した日本会議のフロント組織にあたる『皇室の伝統を守る国民の会』は全国35府県議会で改正を推進する意見書が採択された旨を報告しています。母体である日本会議が同じ保守系の議員を使って、各地方議会で同じ文面を用いながら各地方の実情に合わせて文面を修正して決議を進めていく、いわば地方から世論をつくろうという組織的な運動で、過去に皇室典範以外にもこういった事例はあります。影響力はかなりありますし、仮に今回も意見書が広がっていけば、当然国政に対してもなんらかの作用はするでしょう」(森教授、以下同)

 一方で、今後の広がりについては現実的な目線も必要だという。

「現段階ではひとつの町議会が単体で動いたという形で、組織性は薄いため、これだけで大きな影響を期待するには疑問が残ります。ただ、この動きとは関係なく、そもそも世論は女性天皇容認派が8割以上と明らかですから、ほかの地方議会でも意見書提出が相次ぐなど組織的な広がりを見せれば、国民感情がさらに高まる可能性はあります」

 女性天皇をめぐる草の根からの国民の声は国会議論の後押しとなり得るか。注目が集まる。

森 暢平 成城大学文芸学部教授。元・毎日新聞皇室担当。CNN日本語サイト編集長を経て、現在はジャーナリズム論を専門とし、近代皇室の社会史などを研究。著作には『天皇家の財布』(新潮社)『天皇家の恋愛』(中央公論新社)など