座り方、歩き方、歯ぎしり…姿勢動作ひとつで変わる疲れない身体の使い方

「疲れた」と感じると、マッサージなどで疲れをとろうとしがち。しかし、夏嶋隆先生は「そもそも、身体が疲れる動作をしていないかを確認してほしい」と強調する。そのチェックポイントは、身体の“シワ”だ。

首・手首・靴の“シワ”が疲れのサイン

「首に深いシワがあったりしませんか。下を向いて作業をする時間が長いと、首に横ジワができがち。首の骨の自然な湾曲が崩れ、いわゆるストレートネックになりやすく、首や肩のこり、頭痛、めまいなどを引き起こします」(夏嶋先生、以下同)

 シワは首だけではない。

「手首に深いシワがあると、スマホを見るときなど、手首を身体向きに折っている動作が多く、これも肩こりや首こりの原因になります。首も下がっているので、首のシワと手首のシワは、両方にできていることが多いですね」

 さらに、靴も重要なチェックポイントだという。

「靴の甲の部分に折りジワができていて、かかとが斜めにすり減っている人は、疲れる歩き方をしている可能性があります」

 歩き方に問題があると、特に下半身に疲れを感じることが多いという。

「『かかとから着地しましょう』と、よく言われますが、そうすると、つま先を反り上げて、かかとだけドンとつく人が多いんです。これだと下半身が疲れやすくなります。かかとから入って、足全体を地面につけるようにしましょう。また大股歩きも、疲れのモトになります」

座っているだけなのに疲れるのはなぜ?

 イスやソファに座っているだけで、腰や背中がつらくなる人も多い。

「座っているのに疲れるのは、前かがみの姿勢になっているから。上半身に重力がかかっているので、身体の負担が増します。自分の真上からカメラで撮影されていると仮定して、頭、肩、お尻など、カメラに映る面積が広いと疲れやすく、反対に面積が狭いと疲れにくい姿勢になっています。

 特に、ソファはお尻が沈み込み、ひざよりお尻が低い状態で前かがみになると、背中や腰が痛くなります。背もたれが腰に当たるように、座るようにしましょう」

 さらに、全身の疲れの原因になるのが、気づかぬうちにやっている「食いしばり」にあるという。

「黙々と作業しているときやスマホを見ているときなど、奥歯と奥歯を食いしばっていたりしませんか。食いしばる時間が長くなると、首や肩の筋肉が張り、片頭痛につながることもあります。日中の無意識の食いしばりに注意しましょう」

 特に、「寝ても疲れがとれない」という人は、睡眠中に歯ぎしりをしているケースもある。ただし、いつもと違う頭痛や強い痛みを感じる場合は、医療機関へ。

 疲れない身体づくりの第一歩は、自分の動作や姿勢の“クセ”に気づくこと。そのクセを修正して、正しい身体の使い方を身につけよう。

部位別疲れない姿勢動作のポイント

肩・腰が疲れないコツ

肩・腰に負担をかけるクセをチェック!

スマホは正面に向けて操作

スマホは正面に向けて操作(イラスト/『体の仕組みを解析し導き出された疲れないコツ大百科』(アスコム)より提供)

スマホはできるだけ目の高さに近づけ、首や手首に負担をかけないようにする。頭のてっぺんが上から引っ張られているような、背すじが伸びた姿勢をキープしながら、スマホを操作するとよい。

前かがみをやめて、身体はコンパクトに

前かがみをやめて、身体はコンパクトに(イラスト/『体の仕組みを解析し導き出された疲れないコツ大百科』(アスコム)より提供)

前かがみの姿勢など、重力を受ける身体の面積が大きいと疲れやすくなる。真上からカメラで撮影したときに、身体がコンパクトに見えるような姿勢を意識すると、疲れにくくなる。

下半身が疲れないコツ

足裏全体でポンと着地

足裏全体でポンと着地(イラスト/『体の仕組みを解析し導き出された疲れないコツ大百科』(アスコム)より提供)

歩くときは、つま先を反り上げず、かかとから足裏全体をほぼ同時に着地させる。つま先を反り上げて、かかとだけで着地すると、ふくらはぎに負担がかかり、疲れやすくなる。

抜き足、差し足、忍び足と音を立てて歩かない

抜き足、差し足、忍び足と音を立てて歩かない(イラスト/『体の仕組みを解析し導き出された疲れないコツ大百科』(アスコム)より提供)

ドスドスと大きな音を立てて歩くと、その衝撃が身体に返ってくる。少しの距離を歩いただけで疲れる人は、抜き足、差し足、忍び足と、家の中で音を立てないように歩く練習を。

台所仕事はファイティングポーズで

台所仕事はファイティングポーズで

台所作業などのとき、両足が平行に並び、前かがみの姿勢になると腰に負担がかかる。ファイティングポーズをとるように、どちらかの足を少し後ろに引いて前後に開くと、身体が安定して疲れない。

全身が疲れないコツ

顔を上に向けて、首のシワを伸ばす

顔を上に向けて、首のシワを伸ばす(イラスト/『体の仕組みを解析し導き出された疲れないコツ大百科』(アスコム)より提供)

仕事などに集中し、下向き姿勢が続いたら、楽な姿勢で顔をゆっくり上に向けて、首の前側のシワを伸ばそう。上下の歯は接触させず、口元の力を抜くことを意識すると、食いしばりを避けられる。

疲れをためないために「生活習慣」も見直そう

「疲れたから」と一日ゴロゴロしていると、さらに身体を動かしにくくなり、疲れが抜けきらなくなる。ウォーキングなどで身体を軽く動かし、適度に疲れることも大切。また、濃い味の料理にも注意。塩分をとりすぎると、身体がむくみ、疲れやすさに直結する。疲れが続くときは、病気が隠れていないか受診することも重要。

教えてくれたのは夏嶋 隆先生

メディカルトレーナー・夏嶋隆先生

メディカルトレーナー、動作解析専門家。旧日本軍の軍医を務めた医師から学んだ手技療法をもとに、人間の持つ力を最大限に引き出す動作解析の専門家として活動中。サッカー、プロ野球をはじめ、指導経歴は多岐にわたる。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)など、テレビ番組でも活躍。

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取材・文/池田純子 イラスト/『体の仕組みを解析し導き出された疲れないコツ大百科』(アスコム)より提供