左から鈴鹿央士、織田裕二、中島健人

 世界的ヒットを果たした韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』をリメイクし、放送前から注目を集めているのが10月19日スタートの『南田南弁護士は天才肌』(フジテレビ系)。自閉スペクトラム症の新人弁護士の奮闘を描く法廷ドラマで、芦田愛菜がヒロインを演じる。

 弁護士や検事を主人公にした法廷ドラマは数あれど、名作もがっかり作品もあって─。そこで、30〜60代男女500人にアンケート。「がっかり」法廷ドラマは何ですか?

法廷モノなのに軽すぎる

 5位は『99.9 ─刑事専門弁護士─』('16年/TBS系)。

「ギャグが多すぎ」(兵庫県・60歳・女性)、「演技も役柄も松潤には荷が重すぎ」(東京都・65歳・男性)と、「よかった」と同時に「がっかり」でもランクイン。

「大胆なコメディータッチだったので、重いテーマでも気軽に楽しめる一方、本格的な法廷ドラマを期待する人にとっては遊びが多すぎた。どちらも取ろうとした結果、中途半端になってしまった」(苫さん)

松本潤

 がっかりの過半数が男性票。日曜劇場枠で、視聴者層とのズレもあったようだ。

「やはり『半沢直樹』のようなドラマのほうが男性受けはいいのでしょう。法廷ドラマにしても、男性はもっと重厚なものが好みなのでは。ターゲットを考えるとノリが軽かったですね」(苫さん)

 4位は『HERO』('01年/フジテレビ系)。

「いかにもキムタク主演のドラマという感じで代わり映えしない」(兵庫県・47歳・男性)、「キムタクありきの脚本、演出」(東京都・46歳・男性)と、「よかった」の1位に続き「がっかり」でもランクイン。

「評価している人と批判している人の見ているポイントは同じ。木村さんのスター性が強く出たドラマで、型破りでカッコいいと受け取れば作品の魅力になるし、検事に見えない、キムタクありきと感じればマイナスにも」(苫さん)

木村拓哉

 がっかりの票で目立ったのが、「何をやってもキムタク」という声だ。

「木村さんは役ごとにがらりとイメージを変えるタイプではない。軽さのあるイケメンで、そこが彼の有無を言わせない魅力でもある。このころは彼がノリにノッてた時期。個性が強いからこそ、好き嫌いもはっきり分かれます」(苫さん)

法廷でラップ披露?

 3位は『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』('24年/テレビ東京系)。

「弁護が主流ではなく軽く感じた」(大阪府・57歳・男性)、「おままごとすぎてリアルさがまったくなかった」(神奈川県・54歳・女性)、「イメージが原作とかけ離れていた」(静岡県・56歳・男性)と、ワースト3に。

「エンタメに振り切っていて、そこがハマるかハマらないか。ポップでコミカルな演出で、重厚な弁護士ドラマを求めていた人にとってはがっかり度が高かったのでは」(苫さん)

中島健人

 原作は累計210万部超の大ヒット漫画。「しょせん他人事」がモットーの弁護士を中島健人が演じた。

「中島さんは華やかでスター性があるけれど、原作の主人公はもっと飄々としてつかみどころのない雰囲気。原作とのイメージのギャップが大きく、中島さんはキラキラしすぎている感じがありました」(苫さん)

 2位は『リーガルビート ―逆転の法廷―』('26年/テレビ東京系)。

「役者の実力不足を感じた」(大阪府・61歳・女性)、「設定に無理がある」(埼玉県・57歳・男性)と、厳しいコメントが。

「吃音症の主人公が法廷で声が詰まってしまったとき、ラップのリズムに乗せて話すのだけれど、はたから見るとかなりカオス。ドラマにリアルを求める視聴者にとっては没入を妨げるところがありました」(苫さん)

『リーガルビート-逆転の法廷-』(テレビ東京)は稲垣吾郎、小雪、鈴鹿央士の組み合わせ

 鈴鹿央士は本作でゴールデン帯連ドラ単独初主演で、吃音症の弁護士を演じた。

「鈴鹿さんの演技力は高いと思うけれど、やはりまだ若い。法廷ドラマで主役を張る俳優としては、知名度が浸透していなかったのかもしれません」(苫さん)

リメイクならではの苦戦

 1位は『SUITS/スーツ』('18年/フジテレビ系)。

「アメリカ版を見た後だとギャップがある。本家は超えられない」(埼玉県・40歳・女性)、「(踊る大捜査線の)青島のイメージが強すぎる」(神奈川県・62歳・女性)とワースト1に。

「海外ドラマのリメイクの難しさに直面した作品。ニューヨークの大手法律事務所のスタイリッシュな世界観やスピーディーな会話がオリジナルの魅力。それをリメイクし、日本のドラマとして成立させる難しさがありました」(苫さん)

人気リーガルドラマの『SUITS』。日本ではリメイク版も(公式HPより)

 アメリカの同名ドラマをリメイク。大手法律事務所を舞台に、主人公の弁護士を織田裕二が演じている。

「織田さんは『踊る大捜査線』のイメージがやはり強い。海外版のキャラクターと比べ、違和感を持つ人が多かった」(苫さん)

「よかった」から「がっかり」まで、ずらりと出そろった法廷ドラマ。そこには共通点があるという。

「『HERO』のヒットで、法廷ドラマのフォーマットが確立されました。変わり者の主人公と、個性的な仲間がいて、わちゃわちゃの群像劇で見せていくという、『HERO』を下地にしたドラマが多く見られます。ただ、主人公のパターンも出尽くして、最近は差をつけるのが難しくなってきた。フォーマットの中でどう変化させていくかが、今後の課題となりそうです」(苫さん)

 今期、『南田南弁護士は天才肌』は過去作を越えられるだろうか─。

「がっかり」法廷ドラマTOP5
苫とり子 2019年からフリーライターとして活動中。Webメディアや雑誌に多数寄稿している。ジャンルは、エンタメ全般を広く網羅

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取材・文/小野寺悦子