織田裕二

 シリーズ14年ぶりの新作映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が9月18日に公開され、大型連休のシルバーウィークを挟んで、すでに20日余りが経過した。

『踊る』新作の“ヒットの伸びしろ”は

 1997年のドラマ開始以来、日本中に空前のブームを巻き起こしてきた同シリーズ。映画8作品の累計動員は3863万人、興行収入は524.1億円という大記録を誇る。

 なかでも2003年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』は興収173.5億円を叩き出し、2025年に映画『国宝』に破られるまで、22年もの間「邦画実写1位」の座に君臨し続けてきた。

 この伝説的な“国民的シリーズ”の復活とあって、公開前から世間からの注目度は高かった。9月25日から27日の全国映画動員ランキングでは、公開2週目で1位に躍り出て、興収も21億円を突破。

 ネット上では、「走る織田さんを見るだけで昔を思い出して胸アツ」「歳を重ねて変わった部分もあるけど“踊る”らしさを楽しめた」と懐かしむ声があがる一方で、「今まではリアリティーがあったのに今回はコメディ要素だけが一人歩きしている」「刑事ものとしてのハラハラ感がない」といった厳しい声も飛び交い、評価は割れている。

 気になる今回の“ヒットの伸びしろ”はどうなのか。映画ライターのよしひろまさみち氏が解説する。

「初日3日間で約9億円ですからスタート自体は悪くありません。ただ、製作側の本音としては、もうひと声ほしかったところでしょう」

マンネリ感と主要キャストの不在

 シリーズの興収は1作目が101億円、2作目が173.5億円、3作目が73.1億円、4作目が59.7億円。2作目をピークに右肩下がりなのは否めない。しかし、よしひろ氏は「『踊る』のブランド力は今なお絶大」と強調する。

「テレビドラマの映画化で初めて100億円を突破した功績は絶大でした。この大成功によって、テレビ局がドラマを映画化し、関連グッズやテレビ放送などで多角的に稼ぐというビジネスモデルが定着したのです」(よしひろ氏、以下同)

 それほどの大ヒット作でありながら、かつてのような爆発的な勢いが見られないのはなぜなのか。

『踊る大捜査線N.E.W.メトロポリスを駆け抜けろ!』(映画公式サイトより)

「熱心なファン層は昔を懐かしむ傾向が強く、おなじみキャストの続投やお約束のストーリー展開には好意的です。ですが、どうしてもマンネリ感は否めず、何より深津絵里さんや故・いかりや長介さんといった主要キャストの不在も響いている。新規ファンの獲得につながっていないのが、数字に表れている印象です。このままだと興収は多めに見積もって40億から50億円、今後のプロモーション次第では30億円台後半にとどまるかもしれません」

 とはいえ、依然として『踊る』の看板はフジテレビにとって大事の切り札だという。

「2作目を頂点に数字は落ちているものの、タイトルのネームバリューはいまだ衰えていません。フジテレビの映画ビジネスの土台を作った象徴であり、今でも非常に重要なコンテンツであることは間違いないでしょう」

 かつてのような“社会現象”レベルの旋風とまではいかずとも、30年近く愛され続けてきた人気シリーズ。今回の最新作は、その威光がどこまで健在なのかを証明する試金石となりそうだ。