江口洋介と松嶋菜々子

 10月12日に13年ぶりの新作が始まる『救命病棟24時』(フジテレビ系)。江口洋介(58)と松嶋菜々子(52)が揃って復活し、放送枠も初の月9で、フジテレビの期待値の高さがうかがえる。1990年代に始まった名作の復活でいえば、前クールでは反町隆史主演の『GTO』が(連ドラとしては)27年ぶりに復活したものの視聴率は苦戦したが、『救命病棟24時』の勝算は?

1999年にスタートした『救命病棟24時』

昨年には新シリーズの放送もあるかも、と話題になった『救命病棟24時』シリーズ(FODのHPより)

『救命病棟24時』は1999年に江口と松嶋の共演でスタート。研修医として救命救急センターに配属された松嶋が、指導医である江口の厳しい指導を受けて成長するとともに、植物状態の妻を抱えた江口の医師としての生きざまも描かれた。

 以後数年おきに、舞台となる病院も移動しつつ、連ドラ5シリーズと5回のスペシャルを放送し、今回は第5シリーズから13年ぶりの新作となる。そんな最新第6シリーズの見どころはどこかというと…。

 まずは、江口と松嶋の16年ぶりの共演が挙げられる。

『救命』の異色なところは江口か松嶋の片方しか出演しない作品も存在することで、そうした回は少しトーンダウンを感じたので、やはり2人が揃ってこその『救命』といえよう。

 第1シリーズでは江口が松嶋を「そこのデカい女」と呼ぶなど、今ならコンプライアンス違反を問われそうなシーンもあった。上下関係が歴然としていたが、年を重ねるごとに松嶋が医師・人間として成長し、2人の関係性や信頼感も変わってきていた。第6シリーズでは救命救急センターの副センター長に出世した松嶋が江口と再会する設定で、どんな会話が交わされるのかが楽しみだ。

 続いて、第1シリーズに出演していた沢村一樹(59)と八嶋智人(56)が27年ぶりに再登場すること。舞台が第1シリーズと同じ都立第三病院に戻るからで、昔からの番組ファンにとっては嬉しいサプライズ。

 沢村は第1シリーズでは女たらしで、恨みを買った男に刺されてしまう医師を演じていたが、今回は院長に上り詰めているというから驚きだ。

 八嶋は松嶋の1年上で、自信家なのにミスで患者の命を危険にさらしてしまう研修医を演じていたが、今回は松嶋の上のセンター長に就任している。

 そうした過去を踏まえつつ、2人がどんな管理職になっているかを見ると面白そうだ。

 また『救命』といえばDREAMS COME TRUEの主題歌で、今回も『サヨナラとバトン』を提供している。『救命』の世界観を表現してきた『朝がまた来る』や『何度でも』を超える名曲の誕生に期待がかかる。

 と、楽しみな要素は多いが、この10年ほどで視聴率事情は大きく変化し、さすがに従来のような高視聴率は難しいだろう。

夫・反町隆史『GTO』のリベンジなるか

 1999年の第1シリーズでは平均視聴率20.3%、2013年の第5シリーズでも平均視聴率14.6%を記録していたが(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)、10%台に乗せればヒット作といえるドラマ界の現状で、どんな数字を記録するのか。

 松嶋の夫の反町が『GTO』で苦戦した直後だけに、リベンジとなるかに注目したい。

 思えば『救命』が始まった1999年当初は、ジョージ・クルーニーらが出演し大ヒットしたアメリカの医療ドラマ『ER緊急救命室』(日本では1996年に放送スタート)のパクリだと言われ、緊迫感や迫力では『ER』に及ばないという声も聞かれたものだ。番組取材時は『ER』の話題はご法度だったのも懐かしい。

 だが今になってみると、アメリカの『ER』が15年で終了したのに対し、『救命』は27年続いているのだから、既に独自の道を歩んでいるといえる。第6シリーズでは働き方改革が進む中で、江口・松嶋らベテラン勢と、若手との衝突もありそうだ。長く続けたからこそ、『ER』では描かれなかった医師の老いや引退といった問題にも踏み込めるかもしれない。

『ER』は撮影用に病院の巨大なセットを構築。患者を乗せたストレッチャーとともにカメラが移動し、その前後を他の医師やスタッフがすり抜けるなど、救命現場のリアルな臨場感が大評判だった。医師やスタッフたちの私生活も描かれ、家族や恋人との関係が大変な中でも、過酷な現場で懸命に働く医師や看護師たちのプロ意識が魅力的で、筆者も好きな回は繰り返し見た一人だ。

 一方で『救命』も好きだったのは、日本ナイズされてはいるものの、『ER』と同じ精神(プロ意識)が『救命』にも流れているのを感じたからだ。

 そのスピリッツが受け継がれていれば、視聴率も大崩れすることはないだろうと予測するが、まずは第1話に注目したい。

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。「3年B組金八先生卒業アルバム」「オフィシャルガイドブック相棒」「ヤンキー母校に帰るノベライズ」「IQサプリシリーズ」など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に「風景印ミュージアム」など。歴史散歩の会も主宰している。