総務省によると、日本の住宅の7戸に1戸は空き家状態になっているといい、今や国家レベルの大問題になっている。特に親の死後に残る「親の家」はいちばん身近な“空き家予備軍”。「片づけが大変」「遠方で管理ができない」「解体費用が……」などの理由から、実家を放置してしまう人も少なくない。では、親の死後、大切な家をよりよく活用するためにはどうすればよいか。

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イラスト/上田惣子

まずは、家を活用できる状態に片づけることから

 遺品整理師の上東丙唆祥(じょうとう・ひさよし)さんはこう話す。

「親は“もったいない世代”。物が多すぎてイライラし、心も身体も疲れてしまう人が多いですね。親の家の片づけを単なる掃除ととらえず、親を悼み心を整理する時間と考えること。好きな音楽やお菓子を用意し、ストレスフリーで行うことがおすすめですね」

 片づけが終わった家は、住居にしたり、管理できない場合、こまめに通って空き家にしないための対策をとるべき。住宅ジャーナリストの山本久美子さんは次のようにアドバイスする。

「空き家は防犯上の心配や老朽化によるご近所トラブルなど、マイナスだらけ。売る、貸すなど、その家に合った有効な活用方法を考えましょう。親を失った喪失感の中で、実家の処分方法を考えるのはつらいもの。親が存命中のうちから検討することが大切です」

※具体的な「片づけ」と「空き家対策」について、19日から8回に分けて掲載します。