総務省によると、日本の住宅の7戸に1戸は空き家状態になっているといい、今や国家レベルの大問題になっている。特に親の死後に残る「親の家」はいちばん身近な“空き家予備軍”。「片づけが大変」「遠方で管理ができない」「解体費用が……」などの理由から、実家を放置してしまう人も少なくない。そうなる前に、できることはないのだろうか? 

親と約束事をするだけでも立派な“生前整理”

 親が元気なうちに、少しずつ片づけを進めておけば、死後に行うより負担が減少。しかし、「これ、いらないよね?」と、どんどん捨ててしまってはケンカの種になる。遺品整理師の上東丙唆祥(じょうとう・ひさよし)さんによれば、

「“これは残してほしい”など、約束をするだけでも立派な生前整理。親の死後にこの約束を達成するだけで、子どもも気持ちが救われますよ。家の整理はその後でも大丈夫です」

「親の家」問題に加えて「親の墓」問題も…

 問題は「親の家」だけではない。死後の家である「親の墓」問題に悩む人も増えている。

 お墓の移転には、自治体の改葬許可証が必要。現在のお墓の管理者に「埋蔵証明書」を書いてもらい、遺骨を移す先(霊園など)の「受入証明書」と一緒に、現在墓地のある自治体へ提出し、改葬の申請を行う。

 そのうえで遺骨を取り出し、墓石を撤去する(撤去費用は1平方メートルあたり10万円程度)。お寺にお墓がある場合は“離檀料”が必要なことも多い。トラブルを避けるためにも、兄弟姉妹はもちろん、親戚関係にも事前に墓を移すことを伝えて了承を得ておくことが大切だ。

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 最近は、新たにお墓を設けないという選択もある。お墓を処分する「墓じまい」と呼ばれる動きだ。海や山への散骨を専門に行う『やすらか庵』では、墓の撤去から散骨までをトータルで行っている。

「ここ5年、希望する人が増えています。跡継ぎがいないというだけでなく、お墓という荷物から解放されたい、子どもに押しつけたくないという気持ちの方も多いのでは。無縁仏になるのはいちばん悲しいこと。お墓の片づけは、自分にとってもご先祖にとっても幸せな選択のひとつだと思います」(やすらか庵・清野さん)