去就が注目される坂倉将吾、森下暢仁(森下の公式インスタグラムより)

 今シーズンで国内FA(フリーエージェント)権を取得した坂倉将吾捕手、森下暢仁投手、床田寛樹投手の動向が注目される中、所属球団の広島東洋カープが「宣言残留」を認める、球団としては異例の方針を発表した。

 これまで原則、FA権を行使した選手はすなわち移籍と見なされ、宣言後の残留を認めなかった広島だが、10月15日に鈴木清明球団本部長は3人が他球団と交渉に臨んだ上で残留することも容認した。

 しかしながらファンが引っ掛かったのが、同日の取材に応じた鈴木本部長から出た「(FA宣言しても)残りたいのであれば、残ればいい」との言葉。

《どんだけ上から目線なんだよ ファン、選手に感謝の意はないんかい これだから、カープは変われないんだ》
《相変わらず、物言いが偉そうだな。「FA宣言残留を認めるから、是非残って欲しい」と言えないのか。》
《残って欲しいじゃなくて、残りたいなら残ればいいなんだw何でこんな強気なのw》

 この発言が「残りたいなら残れば?」とも受け取られたのか、SNS上では選手を下に見るような“上から目線”とされ、SNS上で批判が大きくなっている。

小園ら“解雇”に「契約は我々の権利」

 鈴木本部長といえば10月1日、“ゾンビたばこ”騒動に関与したとされる小園海斗、矢野雅哉、前川誠太、田村俊介らに来季契約を結ばない「戦力外」を言い渡した際も、記者団に「白か黒かと言えばシロ」としつつも「信頼関係を築くのが難しい」と、戦力外を言い渡した理由を説明。

 つまり現時点で選手側に“落ち度”がないにもかかわらず、“クビ”にしたことで「選手会」からの反発も予想されるが、

「いや、ないです。これ(契約)は我々の権利で、この時期は我々が契約するかどうかの判断は我々の権利ですから。更新しないという判断は普通の戦力外選手もそうですし、今回の選手も我々の判断でするということですから」

 選手との契約更新は「球団の権利」であって、選手側に“異議”を唱える権利はないとも断じた人物。確かに“上から目線”とも思える強気な姿勢だが、どうやら広島東洋カープという、プロ野球でも“特殊”な環境にある球団故の事情もあるようだ。

始球式を務めたSnowMan阿部亮平と記念撮影をする森下暢仁(森下の公式インスタグラムより)

 スポーツマーケット、経営事情に事情に詳しい野球ライターによると、

「広島はソフトバンクホークスや読売ジャイアンツといった、親会社を持たない“市民球団”なのはご存じのとおり。広島の市民、企業、街全体の支えがあって経営が成り立っている球団であり、それを誇りともしています。

 したがって他球団との資金力は雲泥の差で、選手総年俸を比較してもソフトバンクが81億円でトップに対して、広島は32億円の最下位。個人としても森下、大瀬良大地の2億円(推定)がチームトップですが、これもソフトバンクでは11番目と決して高額ではない。

 よって一定の高額年俸になった時点で自ずと選手はFAとなり、球団としてもマネーゲームに参加することはありません。これまで宣言残留を認めなかったのも、一旦FAになった選手には“再契約金”かかます。これを“ケチ”と言われたらそれまでですが、街から“預かった”資金を無駄遣いできない、シビアで健全な球団経営が求められるのです」

「残って欲しい」とも伝えていた

 しかし今回、鈴木本部長をはじめとするフロントは一転して選手の宣言残留を容認した。これは選手への最大限の敬意の表れだという。

「各メディアでは“残りたいのであれば、残ればいい”とのインパクトある見出しが踊りましたが、鈴木本部長は“当然、(3人には)残って欲しい”と前置きしていますし、すでに坂倉、森下本人とも面会して“残って欲しい”と球団の思いを伝えています。同様に床田とも話し合いの場を設ける予定です。

 ただFA選手に捻出できる年俸も限り、その上限の変更はできません。それでも他球団との交渉を終えた上で、金銭面や条件面で満足いかなかったのなら、大型契約で迎えられなくともいいのなら、やっぱり“カープでプレーしたい”と思ってくれるなら“残りたいのならば、残っていい”との発言として出たのでしょう」(前出・ライター)

 広島ファンのため、街のための球団であり続ける一方で、シビアな経営を迫られる広島東洋カープ。FA選手たちが求めるのはお金か、それともーー。