松下奈緒、小芝風花、中島健人、斎藤工

 韓国の大ヒットドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が芦田愛菜主演で『南田南弁護士は天才肌』としてリメイクされ、10月19日より放送されている。しかし、韓国ドラマとしては好評でも、日本版が成功するとは限らない!? 歴代で期待はずれだった作品を視聴者500人に聞いてみた結果は……?

「本家のほうが中身が濃かった」の声も

5位は『誘拐の日』('25年・テレビ朝日系)。

「ストーリーがいまひとつ」(埼玉県・65歳・男性)、「面白くない」(大分県・66歳・男性)、「展開がおかしい」(北海道・68歳・女性)との声が集まりランクイン。

「誘拐犯と少女の奇妙な関係性がもともとの作品の魅力。それを日本に置き換えたとき、何を新しくするかが大切になる。その何かが感じられなかった。今は動画配信で本家を手軽に見ることができ、日本版ならではの魅力がないと、視聴者にとってリメイクを見る理由が弱くなってしまいます」

 と言うのは、テレビウォッチャーの苫とり子さん。主演は斎藤工、共演は永尾柚乃。誘拐犯と誘拐された少女が疑似親子関係になり、逃亡劇を繰り広げる。

「永尾さんの演技は素晴らしく、説得力があった。ただ本家で11歳だった少女を8歳にしたことで、多言語を操る天才少女という設定に違和感が生まれてしまった。日本版は笑いの要素も多く、誘拐サスペンスとして緊張感が薄まってしまったところもありました」(苫さん、以下同)

 4位は『スカイキャッスル』('24年・テレビ朝日系)。

「本家のほうが中身が濃かった」(神奈川県・65歳・女性)、「日本は韓国ほど進学への熱量がなくドラマが成立していない」(福岡県・51歳・女性)、「迫力が本場のほうが圧倒的」(広島県・37歳・男性)との声が。

「日本は韓国ほど学歴や階級に対する意識がなく、母親たちの争いが極端であればあるほど、ここまでするのかという違和感につながってしまった」

 高級住宅街に暮らすセレブ妻たちが、マウントバトルを繰り広げるサスペンスドラマ。主演は松下奈緒。

「本家は時間をかけてじっくり一人ひとりの人物像を描いていたけれど、日本版は対立や言い争いなど過激な部分だけを強調していた。そうではなく、その奥にある登場人物の背景を深掘りしてほしかった」

 3位は『彼女はキレイだった』('21年・フジテレビ系)。

「ストーリーが短くなって見たい場面がカットされてた」(広島県・37歳・男性)、「大人っぽさがなく青春ものみたいでイメージが違った」(大阪府・55歳・女性)、「俳優の演技力がなく、面白くなかった」(宮城県・58歳・女性)と、ワースト3にランクイン。

「韓国とはドラマの尺が違い、日本版にするとき削ることになる。こうしたラブストーリーは相手を好きになる心情描写が大切だけど、ヘタに削ると説得力が弱まってしまう。結果、物足りなさにつながった」

 幼いころと容姿の変わった男女が再会し、切磋琢磨するラブコメディー。中島健人と小芝風花がW主演を務めたが、本家とのイメージの違いも多く指摘された。

「中島さんが演じるのは、ファッション誌の副編集長を務める若きエリート。けれど彼は童顔でアイドルのイメージが強く、こんな若い人がエリートなの、という齟齬が表れていたように感じます」

2位はキャストがミスマッチの声多数

 2位は『美男ですね』('11年・TBS系)。

『美男ですね』で主演を務めたのは瀧本美織だが、男性陣のキャスティングに疑問の声が複数あがった

「キャスト。あれはないと思いました。ひどかった」(東京都・62歳・女性)、「イケメン役がイケメンじゃなかった」(神奈川県・40歳・女性)、「話が面白くない」(大阪府・42歳・女性)と、残念な声が。

「日本中から注目されるトップバンドという設定で、見るからにスターでなければいけないのだけれど、玉森裕太さん、藤ヶ谷太輔さんは放送当初はまだCDデビュー前。韓国版の強烈なスター性と比べると、印象の差が出てしまった」

 双子の兄の替え玉としてバンドに参加するヒロインを瀧本美織が、玉森、藤ヶ谷、八乙女光がバンドメンバー役で出演。オリジナルではチャン・グンソクが人気に。

「チャン・グンソクさんのイメージがあまりに強すぎた。韓国の俳優の魅力は、顔はきれいだけど骨格はしっかりしていて、大人の男性の色気も感じさせるところ。けれど日本のアイドルは線が細く少年っぽさが前面に出る。本家を知る人からすれば、幼い印象になってしまった」

説得力を持って演じられる人が少ない

 1位は『六本木クラス』('22年・テレビ朝日系)。

「韓国とは根底的なカルチャーが違うため違和感だらけだった」(東京都・52歳・男性)、「韓国版はあんなに面白かったのに日本版はチープ」(大阪府・59歳・男性)、「オリジナルに比べると疾走感や高揚感がなかった」(静岡県・57歳・女性)と票を集めた。
 

「梨泰院はかつて近隣に米軍基地があり、多彩な国籍や文化的背景を持つ人が集まる場所。六本木が舞台となると、そうした文化的な背景に結びつきにくい。巨大企業の社長に対する復讐劇が描かれるけれど、日本版は予算が足りず、チープになりました」

 人気韓国ドラマ『梨泰院クラス』を竹内涼真主演でリメイク。舞台を梨泰院から六本木に置き換えた。

「物語の骨格やキャラクター、印象的な場面など、かなり本家を忠実に踏襲しています。ただ同じように再現するだけならモノマネになってしまう。そうすると本家には勝てない。舞台を日本に移したことで日本特有の社会問題が見えてきたり、日本の俳優が演じることでキャラクターに新しい魅力が生まれたりと、リメイクした意義が何かしら必要でした」

期待はずれだった韓国ドラマリメイクTOP5

 本家がいくらヒット作でも、日本版が人気を集めるとは限らない。韓国ドラマのリメイクで、残念な結果を生む要素は何だろう。

「韓国本家のスター性やカリスマ性を再現できる日本人キャストがいるかどうか。同年代でも、日本の俳優はどうしても幼い雰囲気がある。韓国ドラマに登場する、天才やエリートといった役柄を説得力を持って演じられる人が少ない。そこが難しい」

 注目の『南田南弁護士は天才肌』は芦田愛菜が主演。自閉スペクトラム症の新人弁護士の奮闘を描く。

「愛菜ちゃんは好感度も演技力も高く、安心感がある。問題は、話がどうか。オリジナルは障害への向き合い方も丁寧で、社会問題も深掘りしてる。けれど日本の場合軽くエンタメにしがちなところがあるので、そこは心配な部分」

 その心配は、はたして杞憂に終わるのか─。

取材・文/小野寺悦子

苫とり子 ドラマ・映画・音楽・漫画・舞台とエンタメ全域のフリーライター。リアルサウンド、WEBザテレビジョン、映画チャンネルなどにエンタメコラムを寄稿中