『映画ちいかわ人魚の島のひみつ』(公式サイトより)

 今年も残り2か月に差し掛かろうとしている。『トイ・ストーリー5』や『プラダを着た悪魔2』、『キングダム 魂の決戦』など、数々の話題映画が公開されたが、興行収入ランキング2位の『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』に50億円以上の差をつけて、トップを独走しているのが、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』だ。

映画『ちいかわ』好調の背景

 公開初日に9.9億円を記録し、30日で100億円を突破。10月18日までの興収は181億円に到達し、これは歴代すべての映画の興行収入ランキングでも12位に位置する特大ヒットとなっている。

『ちいかわ』は、原作者・ナガノ氏が手掛ける“なんか小さくてかわいいやつ”の略称。ちいかわや、ハチワレ、うさぎなど、その名の通りかわいらしいキャラクターの日々を描いた作品だが、ダークファンタジーの要素も含まれており、子どもだけでなく、大人からの支持も集めている。

『映画ちいかわ人魚の島のひみつ』特典第1弾(公式サイトより)

「『ちいかわ』初の映画となった今作は、原作の人気長編エピソード・セイレーン編を映像化。高額な報酬が得られるという招待状を受け取ったちいかわ一行が、とある島に出向くことから始まります。その島で起こる“謎”を解明していく物語です。

 しかし、その結末は誰も幸せにならないものなのです。この不条理なラストが大人たちにも刺さる要因のひとつ。子ども向け作品ではわかりやすく善悪がつけられますが、『ちいかわ』はそうではない。その深みが大人の心を揺らしているのかもしれませんね」(映画ライター、以下同)

 原作やアニメ、映画にとどまらず、オリジナルグッズや企業コラボなどが発売される度に注目が集まる『ちいかわ』。今作でも、入場者特典が配布されているが、10月24日からは“第7弾”として、《ナガノ氏描き下ろしクリアカード(全4種)》が配られると発表があった。

「これまでミニチャームや、ボンボンドロップシールなどが配られました。この2つのアイテムは、社会現象となるほど人気を集めており、『ちいかわ』に限らず、どの商品でも売り切れになる事態が相次いでいます。

『ちいかわ』人気に元々の商品人気が手伝って、多くの人が劇場に駆け込むことに。歴代12位という好成績はストーリーだけでなく、“特典”もひとつの要因になっているのです」

「なんかもういいよ」呆れ声

 傘やペットボトルなどに付けて楽しむミニチャームにいたっては、第1弾・第4弾・第6弾と3度にわたって実施された。当然のごとく、数量限定であるため、なくなり次第終了だった。

 第7弾の特典が告知された今回、歓喜の声が寄せられた一方で、

《なんかもういいよ、疲れた。》
《ファンから搾り取るだけ搾り取ろうとしているのが見え見えでちょっと引く》
《もうほんとずる賢い一部の大人の部分見えて辛い》
《そろそろ配布終わりにしてほしい》

 と、一部からは批判的な意見も。中には、《このままいくと特典30弾とか出てもおかしくない》という懸念や、ネット上では《気が付いたら48回観てるよ、ちいかわの映画》という驚異の投稿も見られた。

『映画ちいかわ人魚の島のひみつ』特典第7弾(公式Xより)

「もちろん“映画を見たい”“特典が欲しい”人だけが映画館に行けばよいという話ではありますが、呆れに似た声が上がるのも納得できます。

 現在、歴代興収ランキング1位は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車』ですが、これは第6弾まで特典が配布され、2位の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』においては、第17弾まで実施されていたのです。これに倣って、『ちいかわ』も特典配布は続けることでしょう。

 しかし、このままでは“特典ありき”の映画が続出してしまいます。それを、さも映画人気のように見せることに対して、疑問を抱く人も少なくありません。売上を上げることで、続編映画の制作等、次に繋げることができるでしょうが、その方法については、議論する余地がありそうです」(前出・映画ライター)

 コレクターやファン心理を的確に突いているとも評価できる特典ビジネスだが、そのスタンスに疑問の目も向けられている。ファンの“作品愛”がすり減らないことを祈るばかりだ。