母ザルに育児放棄され、ぬいぐるみを抱きしめる姿で人気を集めたニホンザルのパンチ君。千葉県の市川市動植物園では、工事のため観覧休止となっていたサル山が10月21日に再開され、待ちわびていたファンからは、成長したパンチくんへの喜びの声が上がっていて……。
新ルール導入の背景にある混雑と観覧トラブル
今回の観覧休止は、日除け設備の設置など、サルたちの生活環境を整える工事に伴うもの。当初は9月1日から18日までの予定だったが、天候不良などの影響で工事が遅れ、休止期間が延長されていた。
そして10月21日、ようやく観覧が再開。撮影可能なエリアと撮影禁止の観覧エリアが設けられ、撮影エリアは整理券による完全入れ替え制となった。1回の撮影時間は20分間。撮影を希望する人は整理券を受け取り、指定された時間に利用する仕組みだ。
撮影禁止の観覧エリアは3か所から出入りできるが、周回はできず、柵の最前列での観覧は10分以内。ほかの来園者に場所を譲ることも求められている。こうした変更の背景には、パンチくんをひと目見ようと来園者が殺到したことによる混雑がある。
同園は3月19日、サル山の観覧方法について公式に声明を発表。ニホンザルへのストレス軽減を最優先に観覧ルールを設けてきたものの、守られていない場面があり、ルール違反について来園者から意見や苦情が寄せられていると明かした。
当時は最前列で滞留する人や、注意した飼育員・警備員に対して暴言を吐く人がいたことも報じられた。
「今回のルール変更は、観覧客の過熱やトラブルへの対応でもある」と話すのは動物ジャーナリスト。
「動物園で暮らす動物たちにとって、来園者の視線や周囲の音、急な動きなどはストレスにつながる可能性があります。特にニホンザルのように群れで生活する動物は、個体同士の関係性が重要です。人気の動物を見たいという気持ちがあっても、動物たちの生活を優先し、決められたルールを守ることが大切です」
赤ちゃんザルと並ぶと成長が一目瞭然
そんなサル山で、改めて注目されているパンチくんの成長ぶり。
生まれたばかりの頃は小さな体でぬいぐるみを抱きしめていたパンチくんも、今では赤ちゃんザルたちと比べるとひと回り大きくなったように見える。まだまだ小さく愛らしい姿ながら、幼いサルたちと一緒に過ごす様子にSNSでは、
《すっかりお兄ちゃんになってる》
《手足長くなってる》
《ベビちゃん達よりちょっと大きいけど、まだまだ小さくて可愛い》
といった、以前とは違う成長した姿に喜ぶ反応が上がっている。
中でも関心が寄せられているのが、パンチくんが身を寄せて休む岩の隙間。かつては小さな体をすっぽりと収められた、安息の地であり秘密基地のような場所。しかし、成長した現在では、その隙間がパンチくんの体とほぼ同じくらいの大きさになっているのだ。
「同園が公式Xで公開した動画には、赤ちゃんザルがパンチくんとみられるサルに飛びつく様子も。小さなサルたちと関わる姿からは、群れの中で過ごすパンチくんの新たな一面が垣間見えました。
人気は海外にも拡大され、中には『パンチくんに会うために韓国から来ました』といった人もいます。小さな体で懸命に生きる姿だけでなく、成長とともに変化していく様子を見守れることも、多くの人を惹きつける理由なのではないでしょうか」(前出・動物ジャーナリスト)
久しぶりにパンチくんの姿を見て、成長を実感できることは、ファンにとって何よりうれしいことだろう。成長したパンチくんを温かく見守るためにも、動物たちの平穏を守る新たなルールを、来園者全員で支えていきたい。
